ホンダ オデッセイ
型式 LA-RA6
エンジン F23A
15年式
ということで、本日はオデッセイRA6の
タイミングベルト交換をレポートします。
これは結構大作になる記事だ!
俗に言う2代目の涙目オデッセイ。積んでいるエンジンはF23Aというもの。
F23Aは左回転をするエンジンで、バランサーシャフトでエンジンの振動を低減させています。
F23A。助手席にエンジン。運転席にミッションというレイアウト。
なのでエンジンは左回転です。
手始めにアンダーカバーを外しましょう。大体左右分割タイプをつかっているが、
オデッセイのは一枚もの。全てクリップでとまっているのではずすのが大変。
ヘッドカバーを外します。ヘッドカバーを外さないと、タイミングベルトカバーが外れないため。
なのでオデッセイのRA6のタイミングベルト交換時にはヘッドカバーのパッキンも一緒に交換したほうがいいといえます
ヘッドカバーを外したら、エンジンにゴミや物が落ちないようにウエスを被せておきましょう。
続いて補機類のベルトを2本外します。オルタネーターとエアコンが一緒に駆動。あとはパワステベルトになります。
パワステベルトを外します。赤丸が手前のネジ。12mm。
黄色丸は見えないけれどその裏側に12mmのネジ。
裏側の12mmのボルト。ちょうど見難いけれど真ん中の黒いのがそう。
これでパワステポンプを物理的にスライドさせてベルトを外します
続いてオルタネーター・エアコンベルトを外す。これはオルタネーターにアジャスターがあります
オルタネーターの下をみると赤丸のナット12mmがある。これを緩めて
黄色の10mmのアジャスターボルトを緩めていく。これでオルタネーターは緩みの方向へ動かせるはず。
もし固着していたら、赤丸の対角線上にあるボルトを緩める必要がある。
でも大抵この2本だけでいけると思います。2本緩めたら、ベルトを思い切り引っ張ってみると
緩むと思います。
続いてクランクプーリーのネジを外す。
これがかなり強敵だ。
プーリーのボルトは19mm。エンジンは左回転ですが正ネジです。
左へまわして外しますが、締め付けトルクが
25,0kgf・mというかなり強いトルクで締まっているので、そう簡単には緩みません。
このとおりプーリーロックツールを用いて相当長いパイプで緩めました。
ソケットの厚みが薄いものを使うと割れることもあると思います。ここが第一の難関。
クランクのボルトが緩んだら、クランクプーリーを外す
この段階になって気がついたけれど、フェンダーライナーが視覚的に邪魔になるので、バンパーのほうから半分くらい
クリップやネジを外して曲げてスペースと視界を確保しましょう。
続いてエンジンマウントの取り外しにかかります。
エンジンマウントを外したらエンジンが下へ下がってしまうので、オイルパンなどに木片を当てて下からエンジンを
支えておく。この状態でエンジンマウントをはずしていきます
17mmのボルト1本。ナット2本。だけど12mmのナットを緩めてプレートをどけないと
上には上がってこないエンジンマウントのブラケット
取り外したエンジンマウントのブラケット。これでジャッキを下まで下げても、エンジンはさほど下がらないので
エンジンを支えているジャッキは取り外してしまいます。
続いてタイミングベルトカバーの取り外しに入ります
その前にオイルレベルゲージを外しておきます。これが邪魔してカバーのネジを外せないため。
10mmボルト一本で止まっている。ボルトを外したら上へ引っこ抜きましょう。
タイミングベルトカバーの上をはずします。10mmのボルト2本で止まっています。
ここでも気付いたのですけど、パワステポンプが邪魔でベルトカバーのネジにアクセスができない。
なので12mmのボルト2本外してパワステポンプをステーから外してエンジン中央のほうへ
移動してスペースをつくります。
続いてベルトカバーの下側を外します。
まずはテンショナーの14mmの突出したボルトとベルトカバーの隙間を埋めているゴムのパッキンを外す。
そうしたら下側のベルトカバーのネジを外していく。10mm。クランク角センサーの配線がクリップ止めされているので
それも外しましょう。
手前の短いベルトがバランサーとクランクシャフトのタイミングを取っているベルト。
その奥がカムとクランクをつないでいるベルトになります。
まずはNO1シリンダーを圧縮上死点に合わせます。クランクのボルトを仮締めしてエンジンを左回転させる。
カムシャフトのアイマーク。スプロケットのUPという刻印が上部にある時、ちょうど9時と3時の方向に切り欠けのマークがあります。
このマークをシリンダーヘッドの上部の直線に合わせる。これがカムの合いマークです。
ちなみにクランクの合いマークはバランサーシャフトベルトを外して、クランクの手前のスプロケットを外さないと
見えない。だけど、カムとバランサーがあっているということで、ここがNO1圧縮上死点で間違いないはず。
タイミングベルトが切れているわけじゃないしコマズレを起こしているわけでもないですからね。
ここを基本にベルトの交換に入ります。
が、このオデッセイのタイミングベルト交換のマニュアルを見ると一つ不可解な点がある。
それはリヤ側のバランサーシャフトの合いマークを記載していないことだ。
リヤ側のバランサーシャフトのタイミングの合わせ方は、シリンダーブロックのメクラネジを外して
そのあなからボルトを通す。そこでボルトが通っているところが間違いなくリヤ側のバランサーのタイミングが合致しているということに
なっているけれど、これじゃ分かりにくいので僕はベルトにマーキングをした
マニュアルには記載されていないけれど、NO1圧縮上死点に合わせると、リヤ側のバランサーのスプロケットとシリンダーブロックに刻まれている
線とが合致する。おそらくここがR側のバランサーの合いマークなんだとは思う。
でも不安なので、バランサーシャフトのタイミングベルトにそれぞれ白のマーカーでベルトとそれぞれのスプロケットに
あいマークを自分でも作る。このベルトに書いた合いマークを新しいベルトに書き写して、それぞれのスプロケットの印にあわせれば
タイミングはまちがえないということだ。
今回は各オイルシールとウォーターポンプも交換するため、とりあえず
フロントバランサーのスプロケットをベルトがかかっている状態でネジを緩めておく
おくにあるオイルシールを交換するため。ネジは仮止めしておく。
カムシャフトのスプロケットもタイミングベルトがかかっている状態でカムスプロケットロックツールを用いて
ボルトを緩めておく。そのほうが安全
驚くのはバランサーのベルトのテンションが相当弱いことだ。
テンショナーを緩めるまでもなく手前に取り出せるので、外してしまう。
バランサーのベルトを外したら、クランクシャフトのバランサーベルトがかかってるスプロケットを外す
これで残るはカムシャフトとクランクシャフトをつないでいるタイミングベルトだけになる。
理屈上はクランクのアイマークも合致しているはず
当然タイミングは合っている。これでタイミングベルトの張りを参考までに覚えておいて
テンショナーの張りを解除してタイミングベルトも取り外す
このオデッセイに搭載されているF23Aというバランサーつきのエンジンの特徴は
同軸上のテンショナーでそれぞれのタイミングベルトに張りを与えているということ。これがなかなか革新的なのである。
バランサーベルトのほうのテンショナーに張りを与えているテンショナーの補助具を取り外す
テンショナーの14mmのネジを外してバランサーのテンショナー。
そしてタイミングベルトのテンションを緩めてタイミングベルトを取り外す
ただタイミングベルトを変えるだけでなく、オイルシールとウォーターポンプも交換するため
まだ折り返しではない
ウォーターポンプを外すのに邪魔なので、エンジンマウントのエンジン側ブラケットを取り外す
14mmのボルト3本
カムのスプロケットも取り外す。さっきネジを緩めておいたから簡単に外れる
続いてタイミングベルトのインナー側のカバーを外す。10mm2本。
続いてカムシャフトのオイルシールを交換します
カムキャップの締め付けトルクが調査していなかったので、上手くこじってはずす
次はウォーターポンプだ。ああ忙しい。
カムのオイルシール交換前の画像にもどすけど、赤丸がウォーターポンプでっす。10mm5本だったと思う。
ウォーターポンプを外すとエンジンの中の冷却水が出てしまうので
下に桶を用意する。
ネジをはずしたウォーターポンプをハンマーで軽くこんこん叩けば外れる。
固着が激しいときはタイヤレバーなどでこじってみてください。エンジンを傷つけないように
取り付け面を綺麗に清掃して新しいポンプをつける。ガスケットが脱落しないように注意。
タイミングベルトのインナーカバーを取り付けて、カムのスプロケットを仮固定する。
ベルトをかけてからのほうがネジを締めるのはいいと思う。もしロックツールでカムのスプロケットを固定していて
急にスプロケットが回っちゃったらバルブクラッシュしちゃうからだ。
ちなみにカムスプロケットの締め付けトルクは
3,8kgf・mだそうです。いわゆる37N・m
最後はクランクのオイルシールだ。実はスプロケットがかなり固着していてなかなか外れなかったのだ。
クランクのスプロケットを外すのにじゃまになるので、クランク角センサーと配線をはずしておく。
スプロケットにCRCを与えて、プラハンで衝撃を与えたりしてあくまでソフトに固着をはずしていく。
オイルシールを交換する。これは相当固着していた。かなり外すのに時間がかかってしまった
これもちょっとマニュアルと違うけれど、タイミングベルトカバーを締める相手側の穴を利用して
タイミングベルトテンショナーを仮止めして、ベルトをまずはかける
バランサー用のクランクスプロケットを被せると、タイミングベルトのクランクの合いマークが見えなくなってしまう。
なので、奥に印をずらして書き込んでおく。これなら上からタイミングベルトの合いマークを確認することができる。
づづいてバランサーのタイミングベルトをとりつけるけれど、その前にテンショナーを取り付ける。
あとクランクのスプロケットをつける
準備完了。バランサーのタイミングベルトをかける。これは合いマークは新しいベルトに書き写してある
それを各スプロケットに書いたマークと合致させる。
これで一応全ての合いマークはあっているはずだ。続いてベルトの張りに移る。
カムとクランクのタイミングベルトのテンショナーに仮止めしておいたネジをはずすのを忘れずに
ベルトの張り調整は2つ同時に行います。まずテンショナーのボルト14mmを緩めておく。
NO1圧縮上死点からクランクシャフトを一回転左回転でまわす。
そしてそこからカムシャフトのスプロケットの山3つすすませた場所でテンショナーをロックさせる。これで正規の張りの調整となる。
ボクはこれをちょっと好まない。圧縮がかかったときに一気にクランクが回って、テンショナーを固定していないから
ベルトが緩んでコマとびを起こす可能性があるからだ。
なのでMHO流は圧縮上死点になったらテンショナーのネジを緩める。そこからカム山3個進めてテンショナーをロックする。
クランクを1回転させているときはテンショナーのネジをロックしておく。これならコマとびをすることはない。
テンショナーの締め付けトルクは
4,5kgf・m
張り調整を行ったらもう1回転クランクを左回転させて、再びNO1圧縮上死点に合わせる。
ここで各合いマークがあっているかを確認する
クランク。合いマークは合致。この確認をするために、クランクスプロケットの奥にも印をマーキングしておいたのです。
続いてフロントバランサーシャフト
カム。これは鏡で見た図。シリンダーヘッドの上面とあっている。
R側のバランサーシャフト。これは僕が勝手にここだと思い込んでいる(笑
あっている
完璧に終わったらネジの締め忘れがないかを確認。カムとフロントバランサーボルトを締める。
あとは他にもネジの締め忘れがないように。
ということで、各合いマークが合致したので、エンジンマウントのブラケットを取り付ける。
あとからでも取り付くのでこの方がいいと思う。
エンジンを再びジャッキで持ち上げて、エンジンマウントを取り付ける
クランクボルトの規定トルクは25,0kgf・m
補機ベルトをつける
マニュアルで指定されているRがついた部分に液体パッキンを塗布してヘッドカバーをエンジンにつける
ここで使っているのはワコーズのガスケットメイクです。
クーラントを入れる。完全に抜いたわけじゃないのでそんなにたくさんは入らない
エンジンをかけてヒーターが効くことを確認。オイル漏れ・水漏れがないことを確認して
オデッセイのタイミングベルト交換は終わりになります。
ということで、オデッセイRA6のF23Aのタイミングベルト交換は終了です。
作業時間はカムのオイルシールの点数で3,9Hと定められているので、工賃は恐らく3万円くらいする仕事ですね。
部品が案外高くて4万円くらいはした。全部で8万円くらい見ておけばこの仕事がやってもらえると思います。
これをDIYでやるのは、結構熟練したプライベーターじゃないと難しいと思う。
カムロックツールやクランクの周り止めSSTなどは必須です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。