本日はターボタイマーについてです。ターボ車に乗っている人ターボタイマーつけていますか?
ターボチャージャーです。
まずはターボタイマーの役割をさっとおさらいしてみます。
ターボエンジンのターボチャージャーは、エンジンの排気ガスを動力としてタービンを回転させます。その回転数はエンジンの回転数なんかと比べ物にならないほど。そのため走行後は相当高熱になっています。
ターボチャージャーにオイルを供給するユニオンボルトの穴はとても小さく詰まりやすい
ターボチャージャーを保護・冷却するという目的のためエンジンをきる前に少しアフターアイドルをしたほうがいいんです。加熱したターボをアフターアイドルさせることでオイルと冷却水で潤滑させて冷却する。
これを自動化してくれるのがターボタイマーです。ターボタイマーを取り付けると、エンジンキーをOFFにしてもエンジンが切れずにアイドリングを続けます。ターボタイマーには時間の設定が任意にできて、例えば1分後にオフにするとか、走行に合わせて時間を調整するという機能ももっています。
ちなみに僕がFD3Sにターボタイマーをつけていた頃、思いっきりエンジンをぶん回して家に帰ってくると、ターボタイマーが7分とかそういう時間を表示してアフターアイドルをしていました。タービン保護のためにもエンジンのアフターアイドルをするのは間違いない。
ですが、現役整備士になってからというものターボタイマーをおすすめできないケースもあるということが経験の中でわかりましたので今回はそれをお伝えします。
ターボタイマーは本当に必要なのか?
いざという時にエンジンが切れないと困る
整備士になってからわかった、ターボタイマーを取り付けないほうがいい理由。それはいざという時にエンジンが止められないという点です。
例えば、ターボタイマーをつけている車が事故をしたとします。これはウチの工場で実際にあった話です。事故車がレッカーされてきました。フロントが若干曲がっていたが、何も漏れているものもなさそうだからエンジンはかけられる。とりあえずエンジンをかけて事故車を端へ移動させようとした時のことです。
エンジンをかけた瞬間、回転数が吹け上がりオーバーシュートを繰り返してしまったです。
エンジン回転数が一気にオーバーレブしたと思えば、フェールセーフが入って回転数が少しだけ下がる・・かと思いきやまたオーバーレブ・・また回転が下がる・・またオーバーレブの繰り返し。事故車はエンジンに損傷はないもののアクセルワイヤーの部分が若干押されていてスロットルが全開になっていたんです。
慌ててエンジンを止めようとキーを切ったらターボタイマー発動!しかも設定時間が3分とかってモニターにでてるわけです。
3分もこんな状況で放置したらそのままエンジンがぶっ壊れそうでした。すぐにターボタイマーをキャンセルしようとサイドブレーキを引いたり下ろしたりした・・が、キャンセルできない。通常ターボタイマーの取り付けは安全装置としてサイドブレーキから配線をとります。でもこの車はその配線を引いていなかったため、止めることができなかった。
仕方がないのでイグニッションスイッチのコネクターを引っこ抜いてエンジンを止めました。
万が一事故に遭遇して一秒でも早くエンジンを止めないといけない時。ターボタイマーが裏目に出てしまうということ。これがターボタイマーをおすすめできない最大の理由です。
まだある程度知ってる人が近くにいればいいんですけど。ターボタイマーを知らない人は、サイドブレーキが安全装置になってるなんか知らないです。
それこそ事故にあってオイルパンをぶつけてオイルが漏れている。エンジンを止めようとしてもターボタイマーが働いてエンジンが止まらない。その間もオイルは漏れ続けている・・最終的にはエンジンを壊してしまう?
こういうケースだって十分に考えられます。車の知識を持った人がエンジンを止める状況にあるかといえば必ずしもそうとは限らない。いくらサイドブレーキの安全装置を結線してあったとしても、それを知らなければエンジンはターボタイマーが切れるまで止められない。
これがターボタイマーをおすすめできない最大の理由です。
もしターボタイマーをつけたいというのであれば、きちんとサイドブレーキの結線もしておくということですね。今ではリモコンエンジンスターターにターボタイマーの機能を付加しているモデルは当たり前に売られています。
ターボ車でエンジンスターターをつければ自動的にターボタイマーもついちゃってるわけですね。
できれば、運転し終わった後自分で運転の余韻に浸りながら1分程度アフターアイドルを心がければいいのかなって思いますし推奨します。
余談ですが、某自動車エンジンチューナーの本を読んでいたら、街乗りレベルではターボタイマーが必要になる程ターボが加熱することはないということが書いてありました。
ちょっと古めの本ですけど、レースシーンなどではきちんとアフターアイドルさせないとターボが焼き付いちゃうということはままあるみたいですから。
もしターボタイマーが本当に必要であればメーカーで最初から設定してくるはずですからね。どこの自動車メーカーもオプションパーツですらターボタイマーはありません。
そして、アフターアイドルをしないがためにターボを壊してしまった人は今まで見たことがありません。ターボをダメにするのはやっぱりオイル交換を怠ったケースだけです。
オイル交換を怠って、タービンの軸をダメにしてしまい、ブレードが壁に接触して壊れることも多いですね。
いずれにしろアフターアイドルも大切ですが、オイル交換が命!というのがターボチャージャーです。ターボタイマーをつける時は、こういうリスクも念頭に置いて取り付けるようにしてください。
取り付けることと役割自体は車に優しい制御であるということは間違いないんですけどね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
集中車検工場にいる時は、サイドブレーキで強制解除か
本体スイッチで解除してましたが、たまに忘れて
リフトの上で車輪が回るドッキリがありました。
速度感応式ドアロックが付いていると、窓を閉めたままリフトに乗せてタイヤを回すと、ドアロックが働いて絶句してしまうことがありますね。
最近、ターボ車を買った素人の僕です。
社外パーツのターボタイマー、かっこいいし
タービンにもやさしいなら付けるしかないじゃん!と
思って色々調べたら、貴サイトへたどり着きました。
プロの実体験を聞かせてもらって、とても勉強になりました。
どうもありがとうございます!!
ターボタイマー自体はその効果、効能については推奨できますが、いざっていうときにすぐにキャンセルできるように取り付けておかないと困ります。サイドブレーキの配線は必ず引くようにしておきましょう。
ターボタイマーつけていますが、冷却のためなら電動のオイルポンプとウォーターポンプにして、そこにタイマーつけたらいいのではないでしようか?
電動ターボが出てくるようになると、そういう制御をするようになるかもしれないですね。サンバーについてるエンジンファンなんかエンジンを切った後でも10分くらい回ってることがあります