整備情報のニュースを見ていたら、日産から以下のアナウンスがありました。
リコール作業を実施したお車に貼付しておりましたリコールステッカーを令和2年11月1日より、令和2年10月31日までのリコール届出を含め、一律に貼付を廃止します。
日産HPより引用
最初は日産だけなのかなと思っていたら、続々と各社も同じアナウンスを出してきました。ホンダ、マツダ、トヨタ、三菱、スズキ・・・。
どうして急にステッカーを廃止するのか考えてみました。
目次
リコールの台数が大幅に増えた理由は?
車にはリコール制度があり、発生した場合は無償でその部位を修理することができます。
そして印象ですが、昔に比べてリコールの数がものすごく増えたと思います。僕が整備士になった頃って、リコール自体は少なくて珍しいものでした。
ですが、今は相当な数出ています。明らかに台数が増えています。これはどうしてなのか?
推測すると、車の不具合が発生した場合SNSの影響で即座に情報が出回っているからではないかなと。ユーザーからの不具合報告がSNS上でどんどんとあがってくると、メーカーも無視していられません。
なので、昔ではリコールにならないようなトラブルであっても、早めにリコールに踏み切るようになってきたんじゃないかなという点。
言い方が悪いですけど、インターネットが一般家庭に普及する前って、車の不具合情報はユーザー側では検索することすらできませんでした。たまたま故障しちゃったんだで済まされていたものが多かった。
メーカーは隠そうと思えばいくらでも隠せたわけですね。
いい意味でSNSやインターネットが業界を動かしたというわけです。
リコールステッカーも馬鹿にならない費用がかかる?
リコールのステッカーは形やデザインはどこのメーカーも同じです。それもそのはず自動車安全対策協議会と銘打って、リコールナンバーが印字したものなので、出所が同じ。
色やリコールナンバーが違うんです。
OEM車でスバルとダイハツで同じリコールがありました。ステラやムーヴのリコールNO.4471でカウルトップに水が入ってブレーキブースターの機能を損ねる恐れというもの。
この作業って町工場でもできたんですが、リコールステッカーを見るとダイハツのほうが色が濃くてスバルは色が薄いものを使っていたのが印象的でした。
リコールNOは同じにもかかわらずです。ちなみにこの3つのステッカーは上からスズキ、三菱、ダイハツです。
リコールステッカーの色についてはスズキからアナウンスがありました。
昭和47年より、リコール対策を実施した車両に対して改修作業が実施済みであることを表示(識別)する目的で、自動車安全対策協議会の名称とリコール届出番号を記載し各社統一様式のステッカーを貼付していました。
スズキHPより引用
やはり、自動車メーカーで決まった色のものを使っていたという事ですね。
それにしても新しいリコールが発生したら、また新しく作らないといけないということで種類は相当膨大になります。
費用もかさむのは容易に想像つきますね。
リコールステッカー廃止の理由は?
リコールステッカー廃止の理由についてもスズキのHPには以下のように記載がありました。
今般の通信技術の進歩により、車両の入庫を伴わないリコール作業(電子機器のソフトウエア更新)について、検討が進められています。
また、インターネットやスマートフォン等の普及に伴い、お客様ご自身がホームページ等でリコール対策の実施状況を確認できることから、リコールステッカーの貼付を廃止いたします。スズキHPより引用
そうなんです、今ってリコールの検索が昔に比べてすごく簡単で早くわかりやすくなっています。自動車業界の人間でなくても、整備士でなくてもすぐにその場で確認ができます。
スマホアプリを使って調べることもできますし、パソコンで調べることもできます。
その際車検証か車体番号のどちらかが分かれば検索は簡単です。
スマホアプリは車検証についているQRコードをスマホでスキャンさせるだけで、その車のリコール一覧を調べることが可能です。
スマホアプリではなくて、スマホやパソコンを使ってネットで調べる方法は各自動車メーカーのHPから確認が可能です。
ネットでリコールを調べる方法
それでは最後にネットでリコールを調べる方法を記載しておきます。
国産の主要自動車メーカーのリコールページへのリンクです。
ここから自分の車の車体番号を打ち込んで検索すれば、すぐに内容が紹介できます。
車検証が見当たらない場合でも、車体番号が分かれば検索ができます。
11月1日からのリコールは、リコールステッカーがなくなるということになります。リコール部品をディーラーに手配する時も、部品と同梱されていない手違いがあったりしたので、これは現場サイドからも助かります。
俺の車はリコールまみれだぜ!と、たまにリコールステッカーをたくさんはった車両の人が言ってくることがありましたが、あれももはや時代の流れでなくなっていくということですね。
費用削減と検索が容易になったということで、ステッカーはなくなるという事だと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。