年に数回あるトラブルなので、改めて書いておきたいと思います。
車を車検に出していただく時、たまにお客さん自身で新しい自賠責保険の加入証書を持参される時があります。
自賠責保険というのは、強制保険と言われるもので車検時には必ず車検期間をカバーするものを用意しないといけません。
車検を行ってる工場なら、工場で自賠責を加入する事ができるので、本来自賠責保険は持ち込んでもらわなくても大丈夫なんです。
しかし、お客さんによっては、保険屋さんとの付き合いで自賠責も加入して持ってくる事があったり、会社で加入しないといけないために、持ってくる方もいます。
自賠責を先方で持ち込まれると、困ることは何か?
一つ目は締め切りが決まってしまうということ。車検って新しい自賠責保険の加入期間で満了日が左右されるところがあります。
新しい自賠責がスタートする日を最終申請日と呼びますが、例えば今日車検に入ってきた車で、車検は明日切れる。自賠責は明後日から新契約がスタートします!となった場合、24ヶ月の通常で加入している場合明後日までに登録しないといけなくなります。
だけど、部品を変えないと車検が通らない場合があります。その部品が明後日間に合わなかったら、せっかく加入してもらってる自賠責の保険期間が足りなくなってしまう。
すると、追加で1ヶ月加入してもらわないとダメになることがあります。
車検工場ではこれを恐れています。
たとえ車検が切れている車であっても、自分たちで自賠責を切れる場合、検査の日に合わせて加入することで24ヶ月ちょうどの加入であっても問題ないんです。
車を分解もしていない時点で、自賠責を切られてしまってると、最終申請日に間に合わなくなる可能性がある。
このため、できれば自賠責の持ち込みはご遠慮していただけると嬉しいです。
自賠を持ち込んでくる場合は、車検が切れるよりも2週間以上前くらいに入庫してもらえればいいんです。
車検と古い自賠責が切れる2日前とかに、新しい自賠責を切って持ってくるのは困ってしまいます。
締切に間に合うかどうかの判断がつかないからです。
そしてもっと重要なのは、自賠責をすでに用意してあるにもかかわらず、それを工場に伝えてないケース。
この場合、自賠責は持ち込んでこないと思って、工場で新しい自賠責を発行します。
そしてその自賠責の証書番号をもとに、陸運局にデータを飛ばして新しい車検証を発行するんです。
前もあったんですけど、納車の直前に、
「そういえば前に自賠に加入していたから、それを納車時に持って行って」
というもの。
もうどうしようもないです。同じ保険会社であれば、重複契約を言われなくても後々見破れますけど、保険会社が違う場合は、重複して自賠責が存在している事実に気がつく事ができません。
車検の検査では適合証に自賠責の証書番号と、保険期間を入力してデータを陸運局に送ります。新しい車検証になるタイミングで、今更実は自賠責を持参しようと思って切ってあったと言われても、訂正する術がない。
自賠責を車検時に持ち込むのなら、車検が切れる2週間以上前に入庫してもらいたいです。もし自賠を持ち込むのであれば、車を入庫する前にそのように伝えて欲しい。
工場側の勝手な都合だろ!と言われてしまうかもしれませんが、結果保険期間が足りなくて1ヶ月単体で加入して負担がかかってしまうのはお客様側なので。
お願いします。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。