以前のことですが、お客さんから相談されました。
「僕の車はハイオク指定なんですけど、レギュラー入れたいんですよね。今、ガソリン高いし。」
と。
そのお客さんは、ある程度の知識を持っているようで、今の時代のエンジンはノックセンサがついていること。
そして、ノッキングが出たら点火時期を自動で調整してくれるから、エンジン自体は壊れないだろうと。
ノックセンサがついていることと、ノッキングを検知してコンピュータが点火時期を調整するところまではあってますが、基本ハイオク車にレギュラーを入れるのはNGです。
そもそも何故ハイオク指定車というものが存在するのか?
これは何度か書いてきましたけど、ハイオクを使用することで、エンジンのセッティングをスポーティに味付けしてあることです。
例えば燃料マップをイメージしてください。とある領域からそのエンジンではノッキングが出ることがわかっています。
しかし、このエンジンはスポーツカーに載せたいため、もう少し踏み込んだマップにしたい。
レギュラーだとノッキングが発生するが、ハイオクなら耐えてくれる。
昔でいうと、単純に圧縮比を上げられるということになります。昔のチューニングカーで、NAにボルトオンターボをつける時、圧縮比を落としていました。
過給されるために、そのままの燃料マップだとノッキングが発生します。なので、踏み込んだチューニングをすると、とりあえず燃調を合わせる。サブコンを使ったり。
さらに踏み込んだチューンをするにはフルコンで制御させて、チューナーが実走行やダイナを使って空燃比をモニターしながらセッテイングしています。
ハイオクを入れると言うことは、メーカーが狙っているエンジン性能を引き出すためです。
それをレギュラーにすると言うことは、狙った性能を発揮できない。
それどころか、最近の車にはノッキングに対して補正をかけています。
エンジンを制御してるコンピューターはノッキングが出ると点火時期を補正するだけでなく、ノック補正もしているんです。
具体的にはノック補正を学習させており、数値が変わっていきます。つまり粗悪な燃料を入れると、コンピュータは学習値を書き換えていくんです。
どういうことかっていうと、やっぱりレギュラーだとパワーが出なくなったな!とハイオクに入れ直したとします。
するとすぐにエンジン性能が戻るのかと言うと、そうではない。アンチノック性が低い燃料を入れ続けると、よりエンジンを保護するデータへ学習されるので、従来の性能がすぐにもどらなくなります。
こうなるとやはり再学習で、ノック補正学習値をいい数値へもっていかないとダメなんです。
どんどんと制御系は複雑になっていきます。
ハイオクが高くてレギュラーを入れると言うのはNGです。それが嫌だったら、そもそもその車に乗らないでくれよというのがメーカーの立場ですね。
燃料が高いと言うのならディーゼルに乗ってくださいと。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。