米国にてトヨタが相当なバッシングを受けた事例の一つに、アクセルペダルが戻らないというものがあった。
第一段階はフロアカーペットの形状が良くないので、アクセルペダルにひっかかるというものだった。
それがエスカレートして今度は電制スロットルの制御に問題があるとまで叩かれた。電子制御スロットルに問題は無く、アクセルペダルが戻らない原因はヒューマンエラーが大きなウエイトを占めるということになった。
びっくりした。
今日、お客さんの車を1000km点検で引き取りに行った際に、これと同様のことが起きたのである。
そこの道路の最高速度は60km/hだ。比較的大通りのバイパス道路。ここでわき道から合流するためにアクセルを踏み込み速度を上げた、僕が運転するお客さんの車に異変が起きた。
アクセルペダルを放しているのに、速度がどんどんと上がるのである。
!?一体何が起こっているのか?その状態でブレーキングをするも、ブレーキブースターが利かない状態になっているようなペダルタッチだ。いわゆる倍力装置が利いていなくてペダルタッチが固かった。
そりゃそうだ。ブレーキ倍力装置というのはインテークマニホールドの負圧から制御している。アクセルペダルが戻ってこないようなワイヤー式のスロットルボディを採用しているこの車種は、アクセルが開けられていることによりインマニに負圧が発生しない。
なので事実ブレーキブースターが利いていない状態に陥っていた。
前走車が近づいてくる。このお客さんの車は身障者マークがついている。もしかして左側がアクセルペダルか?
とも思った。うちのお客さんの一人に右足の不自由な方が居る。その人の車は左足にアクセルペダルがあり、右側のアクセルペダルを踏み込むと戻らない状態になった。
左のペダルからロッドが延びて右のペダルを押さえつける構造なので間違って直接右のアクセルを踏むとペダルは戻ってこないのだ。
これと似たような状態なのだろうか?とりあえず車速を落とすにはどうするかを考えて、すぐにNレンジに入れた。
エンジン回転がオーバーシュートする。何でアクセルが戻ってこないんだ!?と足元を見たらなんのことはないフロアマットが3枚引かれていて、そのうちの一枚がアクセルペダルに引っかかっていたのである。
もしこれが整備士でない時代のボクに起こったらどうなるか?恐らく冷静な対処ができなくて、もっと危険な目にあったかもしれない。アクセルペダルが戻らないという事例を会社に入って2回目の体験をしてしまった。
アメリカのような高速域でこれが起こったらと思うと確かにぞっとするかもしれない。
フロアマットは純正以外のものをひくっていうのはやっぱりお勧めできないんだなぁと再認識した。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。