検で預かった、三菱キャンターのキャリアカー
ブレーキ警告灯が点等してしまったとのこと。
いやーな予感をしながら、確認していくと
全滅
クラッチレリーズシリンダー
平成2年式のキャンター
走行9万キロ
一体何故ここまで放っておかれてしまったのか・・・・
ブレーキ警告灯が点灯したその理由は
クラッチレリーズシリンダーからのフルード漏れ
リヤのドラムブレーキのホイールシリンダーのカップからのフルード漏れ
いわゆるブレーキ系全滅に近い状態でした。
そしてもっと驚いたのが、フルードの状態。
こんな状態のフルードでよくパスカルの原理が働いていたな・・・と
驚くばかりの状態
今まで見た中で最悪のブレーキフルードです。
マスターからのフルードが流れてくるんですが、
流れても流れても真っ黒なフルード
どうですか?これ、ブレーキオイルです。
ここまで真っ黒なブレーキオイルは見たことがない
18年間おそらく一度も交換していなかったんだろうブレーキオイル。
おそらくリヤのホイールシリンダーのカップが漏れたら
修理。その時に漏れた箇所だけエア抜き
を繰り返した状態だと思われます。クラッチオイルに至っては18年間一度も交換されていない模様。
このキャンターはブレーキとクラッチのフルードのタンクは同じリザーブタンクを使っています。
ただそこからクラッチへ行くものとブレーキへ行くものと分かれているだけ。
一番最強だと思ったのはコレ。
コレを見た瞬間、MHOはレリーズシリンダーASSY交換以外ありえないと思った
カップだけ交換することも可能ですが、これはもはや再利用など出来るはずもない状態
これが18年間走行9万キロの間一度も交換されなかった
ブレーキオイル(クラッチオイル)の状態
ブレーキオイル(クラッチオイル)は、吸水性の高いフルードです。
水に溶けてしまいます。なので水を吸ってくると、沸点が下がって
ベーパーロック現象を引き起こしやすくなります。
それを防ぐためにカーメーカーは車検ごとのブレーキオイル交換を推奨しているというわけですね。
ブレーキオイルを交換しないと、どんどんと沸点が下がり、ベーパーロックを起こしやすくなるほか、
ホイールシリンダー内はブレーキオイル循環されることがないので
熱を加えられ、カップが少しずつ溶け始めへ泥状態になっていく。
その前に普通は漏れてきますが、良くここまで持ったものだ。
当然クラッチが上手く切れませんでした。あたりまえです。
パスカルの原理どころじゃありません。
ブレーキオイルを定期交換することは知られていますが、
クラッチオイルもまったく同じ。定期交換をおすすめします。
でないと、シリンダー内が腐食して漏れて最終的にはクラッチが切れない状態になってしまいます。
リース車などはクラッチオイルは5万キロに一度交換が義務付けられているのが殆ど。
ブレーキと違って、クラッチが切れなくても命に直接かかわる故障ではないですが、
やはり使われているフルードは同じなので
早期交換をするに越したことはないということですね。
以上、最強のクラッチオイル画像でした。
このあとブレーキオイルを3リットルくらい使って
各ブレーキラインを清掃して
当然クラッチラインも清掃して組み付けました。
今ではとても調子よく止まってくれるキャリアカーになりました。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。