連日報道されている日産自動車の完成検査不正問題ですが、国土交通省にプレスリリースがでてきました。
日産自動車(株)の型式指定自動車の完成検査に係る不適切な取扱いについて
正式なリコールはこれから申請するとなっています。現在わかっている時点での対応について。
まず新車の型式指定自動車という聞きなれない言葉ですが、まっさらな新車ができたとします。このまっさらな新車にはまだ型式番号などが付いていません。
これを、自動車メーカーが型式申請をして型式記号など番号を取得する。仮にS16シルビアで例えるとすると、新型シルビアを日産が作ったとします。
その時まだS16という型式がないので、型式申請をとらないといけない。そして晴れて新型シルビアにS16という型式が取得できたなら、新車の新規検査を自動車メーカーの検査員が行い、現車提示なしで運行することができるようになる。
ということです。通常車検と呼ばれている継続検査はそれ以降の検査になります。今回日産で不正がでたのが、この型式指定をとった車の新規検査です。きちんとした資格を持っている検査員以外の人間がこの業務に携わっていたということですね。
ここで問題になるのは、市場に出回ってしまった不正車両は危険なのかどうか?という点について。これは、車自体に危険があるかというとそうではないと思って大丈夫。
継続検査のように使い込まれた車検とは違って、新品部品を組み上げた段階の完成検査です。よほどのことがない限り、なんらかのトラブルを抱えているとは考えにくい。ですが、無資格の検査員が検査しているというわけで100%の保証はない。
非常にグレーな言い回しになりますが、車自体に何かトラブルを抱えているかというとそうではないということです。
これ以降の対応については、リコールを国土交通省に正式に提出して内容が明らかになってくると思いますが、実際に日本中に販売された該当車両を自動車メーカーの製造ラインに戻して検査をしなおすという対応はかなり無理があります。
なので、販売店であるディーラーで完成検査を行えるリコールになるんじゃないかなと。費用が250億円だというので、相当な規模ですね。
国土交通省のHPから引用すると
○ 国土交通省は、今般、日産自動車(株)の型式指定自動車を生産している工場に対し、次の通り、立入検査
を実施したところ、社内規程に基づき認定された者以外の者が完成検査の一部を実施していたことを確認し
ました。
9月18日及び22日 日産車体(株)湘南工場
9月26日 日産自動車(株)追浜工場
9月28日 日産車体九州(株)
9月29日 日産自動車九州(株)
この内容でちょっとこれはまずいよな・・と印象を受けたのが、国土交通省の立入検査で明らかになったという点。
つまり日産の内部ではなんの疑問も持たずに120万台同じことを繰り返していたということ。うーん・・。内部監査とかやらないのかどうなのか・・。
うちの整備工場では何店舗か支店があるんですけど、合同監査を月に一回行っています。それは他の店舗の完成検査書類を違う店舗が監査する内容です。こうすることによって第三者の目から間違いなどがないか確認している。
自動車メーカーっていうのは車産業では頂点に位置する会社なんですけど、こういうリコールってとっても残念だなというのが僕の率直な感想です。
対応策がどうなるのか注目が集まるわけですが、誠意を持って対応していくしかないですよね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。