認知症の人に車を降りてもらうのを説得するのはなかなか困難だということ

ネット界隈でも議論がなされている、高齢者の運転ミスによる事故。中には認知症の人が車を運転して高速道路を逆走しているなんていうことも、多発するようになってきました。

まずなんでこんなことが増えてきたのかというと、高齢化社会になったから。

そもそも車が普及しだしたのって、それこそこの50年位からですよね。庶民の大半が車を所有するようになった。そして、平均年齢が上がって、高齢者も自らハンドルを握ることが当たり前になった。

この2つ。車を運転する人間が、若くて健康な人間であればこれほどの運転ミスやら事故というのは増えていないでしょう。それは高齢者の心体的な問題で増えているのは明白です。

実際に車がないと生活がなりたたない長野県で、車屋さんをやっているとこの手の相談を受けることがあります。

よくあるのが、ドライバーがおじいちゃん。おじいちゃん自ら車検の予約の電話をもらい、車を預かりにいく。すると、預かった後に若い世代からお叱りの電話を受ける。

「車をやめさせようと思ってるんだ!車検なんかとんでもない!」

こちら側からでは、お客さんの家の事情までは全てを把握しきれません。長年お客さんと付き合いがある営業マンでもいない限りは依頼があった仕事をとりあえずは引き受けてしまう。

続いてよくある相談が、

「免許を返納してもらいたいから、車検であずかるフリをして高額な見積もりを突きつけてくれ」

これもお年寄りではなくて、若い世代から言われること。察するに事故などを頻繁に起こすようになって、困っているから免許を返納してくれ。と本人に伝えても全く聞いてもらえない。なので回りくどい方法だけど車屋のほうへ手を回す。

車検の時期なら修理代が高額だから作業をストップさせて、そのまま廃車にもっていく。車がなければ免許があっても運転できないからという苦肉の策ですね。ただ去年、この手の相談を受けて、協力したことがあります。

車をあずかるまではよかった。そのあとおじいちゃん本人から

「車検に通せないのなら新しい車を買うから早くもってこい」

というクレームを再三受けることになりました。僕から見てもそのおじいちゃんは車の運転を卒業したほうがいい状態でした。クラッチはすぐに滑らしてしまうし、よくぶつける。

車の維持費が必要以上にかかるし、そのうち大きな事故を起こしそうで怖かった。

車屋さんをやっていると、

「この人は絶対に運転を卒業したほうがいい」

という人はやっぱりいます。じゃあ免許を返納したらその先はどうやって日常の足を確保するのか?といわれると、解決策はなかなか見つかりません。

やはり都会に比べて交通の便が悪すぎる。月に1回程度の病院通いならタクシーもありかもしれません。だけどそれが週に1回の頻度になるとどうか。。年金暮らしでお金もなく、とてもそこまでの費用を捻出できない。

まさに堂々巡りです。高齢者が運転を卒業できる条件は、家庭内にお年寄りの足になってくれる人がいるということがまず1つ。それか、バスや徒歩などである程度のようじを済ますことができる地域に住んでいるかどうか?

この2つがポイントです。どちらもないお年寄りは、限界まで自分で運転しないと病院にもいけないし、スーパーにも行けない。

10年後くらいのお年寄りになれば、ネットを使える人も増えてくるだろうから、ネットスーパーを使ったりすることもできるでしょう。

ここ10年位は免許を返納する・しないというのは、なかなか平行線のまま進みそうだなというのが現場からの意見です。

僕はそれこそ後期高齢者になったら免許を潔く返納しようと思っています。今運転していてもやっぱりヒヤッとすることはたまにある。車の現場で働いていると、そのヒヤッが人生を一気に狂わすことを何度も目の当たりにしていますからね。

もう少し車が進化すれば、かなりの部分でドライバーをフォローしてくれるようになる。いずれにしろあと10年たてば、車も進化するしネットを使いこなせる人が増える。そういった解決策が出てくるかな。

日本も超高齢化社会の終焉を迎えれば、また変わってくるんでしょうけどね。今が問題のピークを迎えつつあると思います。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする