車に積まれているエンジンには、エンジン型式というものがあります。車に型式があるのと同じで、エンジンにも型式がある。
詳しくは車検証に記載があります。例えばK6A、R06A。EF、KF。などなど。車検証にはそこまでしか記載がありませんが、EF-VEとかエンジン型式の後に‐表記で細かく指定しているものもあります。
車検の同一性検査では、車検証と同じ型式のエンジンが積んであれば適合ということになります。なので、F6Aという型式のエンジンであっても、SOHCとDOHCが存在します。SOHCのF6AからDOHCのF6Aに載せ替えても、型式の同一性は適合なので、車検はパスできる。
詳しい検査員がいれば、物言いをつけてくる可能性はありますけどね。
エンジンって、モデルが長いです。大体10年近く使います。やはりメーカーとしては大枚はたいて開発しているだけに、長く使って開発費の元を取らないといけません。
リリース初期のエンジンと、モデル末期のエンジンとでは実は大きくちがってくるのです。
長いエンジンでは、実に30年以上も使い続けているものもあります。有名なのがスバルのEJ20です。レガシィやインプレッサなどに搭載されていたモデルです。
実に30年です。しかし、当然のことですけど30年間同じエンジンを載せ続けているわけではありません。初期モデルは燃料系統がキャブレター方式だったり、それがインジェクションに変わったり。
さらにはダイレクトイグニッションに変更されたりと、エンジン本体にももちろん小変更は加えてきますけど、それにともうなう制御方法も違えば点火システムなども変わってきます。
基本ベースは同じ型式エンジンであっても、初期と末期では大きく性能も変わってくるものなんです。
それではここから本題です。開発されたばかりのエンジンに指定されていたオイルが10W-30だったとします。
それがモデル末期になると、熟成が進んで指定オイルが0W-20になっていた。
この場合、初期モデルに最新の0W-20のオイルを入れても大丈夫か?という点です。
これは、僕自身マイカーで試したことがあります。僕が当時乗っていた車は5W-30がしてオイルでした。そこに最新の0W-20を入れてみました。もちろん、同じ型式のエンジンで、最新型は0W-20になっていることを知っていました。
どうなったかというと、普通にい使うことはできました。しかし、エンジンのメカニカルノイズが大きくなったのをはっきりと体感できました。
あまり長く使うのはよくないなと思い、早いタイミングでオイルを普通の粘度に戻しました。
これって、ありなのか、なしなのか?
正解を書くと、やめたほうがいいということになります。
理由は何故か?
同じ型式のエンジンであっても、指定オイルが変わっていたということは、オイルのクリアランスが変わっているという事になります。
元々はネバネバしたオイルを使って設計をしていたけど、省燃費オイルに対応したオイルクリアランスでエンジンを組んであるということになります。
つまり、古いエンジンに最新のエンジンのオイルを入れると、サラサラすぎて潤滑不良になる可能性があります。もちろんサラサラなオイルなので、メカニカルノイズが大きくなることも挙げられます。
ホンダの軽自動車に搭載されていたエンジンもダイハツのKFエンジンも長い間使われ続けてきました。
ですが、初期モデルと最新モデルでは別物に近いほど熟成が重ねられているわけです。
まだ逆のパターンだったら安心です。低粘度オイル指定の最新エンジンに、粘度の高いオイルを入れるなど。ただこの場合も、いたずら番手を10とかに粘度アップをするのも良くないですけどね。
これもクリアランスの問題で油圧が上がるまでの時間などが心配です。
オイルの粘度を上げるのであれば5番手くらいから試したほうが無難です。
開発初期のエンジンに、熟成の進んだ開発後期のエンジンオイルを使うのはよくないという話でした。
旧車にはその時代のオイルが最適なんですよね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。