車検で預かったダイハツのムーブ。L910S。お客様ご用命事項で左カーブを曲がるとリヤの左辺りから異音がするといったもの。僕も早速テスト走行に出かけた。いろいろと試しているうちにわかったことがある。
まずは、結構な速度で左カーブを曲がらないと発生しない。次に、アクセルオン時の方が音がたくさんでる。
つまり負荷をかけながらカーブを曲がったほうが音がでるということだ。
右カーブを切っても音はでなかった。音の質はガラガラガラガラといった音だった。
確かに左のリヤの方から出ているようには聞こえる。僕が考えたのは、アクスルシャフトに異常がないかなぁとそう思った。以前似たようなケースに遭遇したときはアクスルシャフトが曲がっていたことがあった。
これは板金をして、まさかアクスルシャフトにまで損傷が広がっていたというケースだった。
工場でリフトアップして、ドライブに入れてアクセルを固定してリヤを駆動。
サウンドスコープで音を聞いてみた。しかし左右同じような音だ。アクスルシャフトではないのだろうか?
左右のタイヤを一つずつ止めてからデフを利かせて音を聞いても同じだった。
そうしたら、意外なことに先輩が気づいてくれた。それはマフラーをゆすってみると、クリアランスが狭いために右のスプリングに干渉することだ。よくみるとスプリングには、当たった後が確認できた。
左コーナー時なので、右のリヤのスプリングはのびている。位置的に間違いなさそうだ。
しかしこのクリアランスでは当たるよなぁ。マフラーハンガーを触ってみると、ちょっとのびてはいる。
この時点でお客さんに相談。マフラーを交換するのは一つの手だが、それは穴があいてからのほうが経済的だ。試すとしたらマフラーハンガーを新品にしてみることだ。新品のハンガーは固いので、マフラーを抑えることが今よりは可能だ。
ということで、お客さんもマフラーハンガーの交換を依頼してくれた。部品を注文したら、なんと形状の違うハンガーが届いた。部品屋に聞くと間違いないらしい。明らかにマフラーハンガーが、強化品にかえられている。同様のトラブルが起きているのかもしれない。
駆動系かと思ったら実はマフラーが干渉していたという、音の診断は難しいなぁというお話でした
異音系の診断にはサウンドスコープが必須ですね。長尺ドライバーよりもずっと鮮明に聞こえますから。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。