ダイハツのムーヴです。型式はL185Sというものです。
オイルが漏れた跡があるということで入庫してきました。リフトアップして点検してみたら、オイルはオイルでもエンジンオイルが漏れているわけではない。
よく確認してみたら、ミッションのオイルが漏れてきました。
この車に搭載されているミッションはCVTです。うーむこれはちょっと難解な修理になりそうな・・・。一番CVTフルードが滴り落ちているのはトランスファ近辺。
とりあえず漏れている箇所を確認するために4WDなのでトランスファを取り外すことにしました。
ちなみにトランスファを降ろすにあたり、最初にトランスファオイルとCVTフルードを抜き取ろうと、トランスファのドレンボルトを外したらジャバジャバと流れ出るCVTフルード。
通常このドレンボルトからはトランスファの潤滑をしているギヤオイルが出てくるはず。ここからCVTフルードが漏れてくるということは・・。なんとなくミッションオイルが漏れている場所がわかってきました。これは軽症かもしれない。
マフラーが邪魔になるので取り外して、右前輪のドライブシャフトをナックルごと引っこ抜きます。
パッドとローターを外して、ABSのセンサを外す。ロアアームとタイロッドエンド、ストラットとの連結を外して準備完了。
ドライブシャフトをズルズルと引っこ抜きます。
ドライブシャフトを抜いた状態です。トランスファは横から数本のネジ、あとはマウントを外せば割と簡単に外れるのです。
ネジを外していく。
プロペラシャフトもフランジ部分で外しておく。
センターベアリングは外さないでも大丈夫です。
トランスファとミッションの結合を外したら
マウントのネジを外す。ここを外すとエンジンの重さにつられて車両前方へ動きますが、そんなに動くわけでもないので大丈夫です。
あとはトランスファをミッションから取り外すだけ。ちょっとこじればすぐに外れます。
トランスファを外した状態。この状態で、ミッションオイルが他から漏れているかをよく確認すると漏れていない。
と、いうことは
これはトランスファの展開図なんですが、この車のトランスファはCVTのフルードとの隔壁をドライブシャフトとオイルシールだけで密封しています。なので、CVTのフルードを抜かない状態で、ドライブシャフトを抜くとおそらくトランスファの方へCVTフルードが混入する。
今回不良になっているのは、そこのオイルシールだと思われます。
ドライブシャフト側も点検。
特に目立った傷はなし。
とりあえずトランスファを分解していきます。
オイルシールは数点使われているだけ。
Oリングなども全部交換します。
この内部のオイルシールが原因だと考えられる。
デフみたいなものですね。
内側から外側へ打ち込まれているオイルシール。
原因がありました。オイルシールがめくれている部分がありますね。ここからCVTフルードがトランスファ側へ流れてしまったということですね。
どうしてこうなってしまったのか?いきなりめくれるなんて考えられないけど・・。もしかしたらドライブシャフトを以前に抜いたり挿したりする整備をしたのだろうか?分解記録簿が残っていないので真相はわかりません。
デフのベアリング部分にシムが入っています。
オイルシールを交換。この内側のオイルシールが一番高い。1つ1100円程度。これを2つつかっています。
Oリングを交換。洗浄して組み付けます。マニュアル参照です。
最後にドライブシャフトが刺さる部分のオイルシールを交換。これが一番外側のシールですね。
63mmのカップレンチがピッタリ。
組み上がったトランスファを搭載します。
載せるのは簡単です。
元に戻していくだけ。
ナックルを接続。
組み上がったらトランスファのオイルを給油します。
そしてCVTフルードを給油してテスト走行しまくりました。
異音もなく、漏れもなくなおりました。
ダイハツのムーヴL185SのCVTオイル漏れでした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
住んでる地域的に四駆が少ないので知らないことが多いです。
今回のムーヴのように、CVTもしくはATフルードを抜いてからドライブシャフトを抜くという工程の車種はけっこうあるんですか?他メーカーで同様の手順もあるのでしょうか?
基本的に、トランスファがミッションから外せる構造のもので、マニュアル車以外の場合は潤滑しているオイルが違うので
このケースと同じ順序になってくることが多いです。
4WDの場合、トランスファ側のドライブシャフトがかなり長いのが特長です。シャフトを抜いた瞬間にミッションオイルがトランスファ側へオイルが流入してしまうということですかね。
例えば、ドライブシャフトに不具合があって交換する場合や修理する場合は、まずCVTやATフルードを抜いてからシャフトを抜いて、修理が終わったらまた逆の手順で行えばいいって感じですかね?ザックリでいいんですがここは気をつけたほうがいいってポイントはありますか?
ムーヴの記事でも書いてありますが、ドライブシャフトの抜き差しは気をつけたほうがいいかもしれませんね。
ドライブシャフトの抜き差しで、トランスファのオイルシールが傷ついてしまったとしかこの場合考えられませんから。
トランスファを突き抜けているドライブシャフトは通常の2WDのものよりもかなり長いのが特長ですね。