ワゴンRのMH21Sです。エンジンが不調で入庫してきました。
搭載されているエンジンはK6Aです。NAエンジンです。
エンストしそうになってようやくここまでたどり着いたとの事。
症状を確認すると、すぐに再現ができました。もうすぐにでもいきたえて止まってしまいそうなエンジンです。
とりあえず原因を詳しく調べてみました。
まずはダイアグノーシスをチェック。現状エンジンチェックランプは点いていません。
一応何かしらのエラーコードを拾っているかなと、テスターを当ててみると何も拾っていませんでした。
つまり、センサーなどが目に見える誤作動を起こしてるというわけではなさそうです。
続いて、症状を分析するためいろいろと試してみます。
まずアクセルを踏んでみると止まりそうなエンジンがどう変化するか?これが意外にも普通にふけ上がります。
アクセルを踏み込んだ瞬間に少しノッキングを起こしているときもありますが、吹け上がりにはさほど問題はなさそう。
この時点で点火系統は後回しに考えます。もし点火系統にトラブルを抱えていたらアクセルの開閉中にどこかで失火する可能性が非常に高いからです。
失火現象は一度もなかったので、違うところを探ります。
エアコンを入れると、オンになったりオフになったりを繰り返し始めました。
これは、エアコンコンプレッサの負荷がかかるとエンジンが本格的にストールする寸前になるので、ECU側でカットを入れているんだと思います。
アクセルを吹かしながらエアコンを入れているとオンなりっぱなしです。
こうなってくると、スロットルやISCが非常に疑わしくなります。エアクリーナーとプラグは3か月前の車検時に交換されています。
ここで試しにエアクリーナーを外して試してみると、少しだけ改善するときが見えられました。
ここまでで一旦整理。
・お客さんが訴えてる症状はアイドリングが低すぎてエンジンが止まりそうになるということ
・アクセルを吹かすと普通にふけ上がる
・エアコンを入れるとアイドリングだとオンとオフを繰り返す
考えられる原因はアイドリングの制御系統になります。
ちょっと古めのテスターですが、この時代のスズキ車では結構いろんな事ができるものです。
アクティブテストという機能やデータリストでヒントをつかみます。
アイドリング時の各センサなどの状態をまずはモニタリング。
ここで読み取る数字は正常時のセンサとどの位乖離しているものがでているか?アクセルをオンオフしたりして各部をじっくりとモニターします。
ISCも一応アクセル開度に応じてリニアに変化はしているようです。
続いてはアクティブテスト。
アクティブテストでは、パワーバランスの状態を見たりすることもできます。
このテスタでは目標アイドリング回転数制御という項目があり、自分で設定したアイドリング回転へISCのみを動かしてどうなるか変化させることができます。
一番高い1600回転までISCのみで回転を上げようとすると、失敗する時の方が多い。この時、一応ISC開度はモニタ上ではきちんと変化しているようなので、指示を出しているECUはとりあえずシロとします。
ということで、一番怪しいのはやはりISC。そもそもこのワゴンR走行距離が12万キロオーバーです。
外したISCの画像を撮り忘れてしまいましたが、やはりカーボンがびっちりです。
ISCのカーボンやスロットル廻りのポートを奇麗に清掃して組み付けると、症状は改善されました。カーボンが詰まって既定の空気が流れない為、アイドリングが上がってこなかったということです。
ワゴンRのエンジン不調でした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。