人生で2回目の遭遇となりました。構造上、あり得るわけですけど、まさかこんなものが折れるとは・・・・。というものです。
走行中に異音がするということで、お客さんから電話がありました。
それを受けて、気をつけて乗ってきてもらって受け入れ作業。
ゆっくりとまっすぐ動く分には問題がないんです。ちょっとスピードをつけたり、ハンドルを大きく切ったりすると途端に
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」
という凄まじい異音が発生します。ちなみにビスカスの異音ではないんです。
車両をリフトアップして確認。
ご覧の通り、フロント左のタイヤが大きく後ろへ下がっています。フェンダーに接触してしまってるんです。
なんでこんなことが起きるのか?
原因はこちらにあります。
写真中央のロアアームとスタビライザーの結合部分が折れてしまっています。
昔僕もアルトでこの事例に遭遇しましたが、これで2回目となります。
この年代のスズキ車って、ロアアームのボールジョイントが弱いということが有名ですが、スタビライザーが折れることがあるんです。
特にブッシュに挟まってる先っぽなので、どの程度痩せ細ってるのか目視できない。
ブッシュにガタつきが出たり、ロアアームを交換するタイミングではまだ問題なかったりするので見逃してしまうことがあります。
この足廻りの構成をみるとわかりますが、ロアアームはボディとナックル、スタビライザーの3点で支持されています。
スタビライザーが折れてしまうと、ロアアームが前後に動いてしまう。
加速をするとGが後方へ発生するので、フェンダー後方へタイヤが移動してしまい干渉すると。
ということを踏まえて、この年代のスズキ車はロアアームを交換するときに、可能ならスタビライザーも交換しておいたほうがいいと思います。
スタビライザーは17000円くらいの部品です。
いつ何時折れるかわからないので、ロアアームのジョイントが外れるのと同じくらい危険ですから。
もちろん錆びてしまい、それが折損につながるので交換作業も難航することがあります。
僕が昔やったアルトはすんなりと外れましたが、今回のワゴンRはスタビライザーの取り付けボルトが2本折れてしまい、リカバリーするのが非常に大変でした。
この手の作業が非常に上手な後輩整備士に作業をしてもらいました。何とか納車時間に間に合ってよかったです。ありがとう!
ロアアームとスタビライザーはセットで交換をお勧めします。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。