営業マンのつながりで、とある車の整備の相談を受けました。
ことの発端は、ヘッドライトが点かなくなったから、お店で交換してもらったというのです。
ここまでなら何も不思議なことはないのですが、交換したら明らかにヘッドライトがおかしくなったとオーナーが感じた。
おかしいからもう一度見てくれ!と、そのお店にクレームを持ち掛けたら
「問題なく正常です」
と言われた。要約するとこんな流れになります。
それでもオーナーはヘッドライトに異常を感じて、相談に来ました。
車が入庫してきて、まずはライトが点いているのかどうかを目視。LO、HIともに点灯しています。
昼間だったので、ちょっとわかりにくいです。
ライトを交換してもらったらおかしくなるっていうのは、どういうことなのだろう?間違えて24Vの電球でもつけられてしまったのかな?
と、ヘッドライトテスタで計測してみることに。
ヘッドライトテスタにライトをあててみようと、照射したらその時点で気が付きました。
明らかに光軸がおかしい。
おかしいというレベルじゃないほどおかしいんです。助手席側のライトがカットラインも見えないし、規格外に上を照射しています。
これは・・・・。
異常をきたしている助手席側。
多分正常であろう運転席側。
どうでしょう?写真で気づいた方もいると思います。
助手席側のヘッドライトバルブが180度さかさまに取りついています・・・。
本来は平らな部分が下に来ないといけません。
無理やり装着されていました。
ヘッドライト側には、バルブの位置を合わせるための溝が存在します。
間違った方向にはつけられないようになっているのですが、固定するピンを無理やり装着して取り付けられていました。
つまり正常の位置からバルブの位置が180度ズレていて、なおかつ浮いている状態だったわけです。
これの何が問題かっていうと、ライトのカプラーって接触不良を起こすと熱をもって溶けることがあります。
車両火災とまではいかないかもしれないけど、気が付かないでいると配線もダメにしてしまう。
そもそも、お客さんがおかしいってクレームを入れている時点で、何でよく見ないのかっていう話ですよね。怖い。
多分お店によっては対応が変わってくると思うんですけど、ヘッドライトバルブを交換したら光軸を調整するべきなんです。
バルブを換えると少なからず光軸にズレが生じます。
それを適正値へもっていってあげないと駄目です。うちの会社はバルブを交換したら、必ずライトテスタで光軸を調整するところまでセットで行います。
ヘッドライトテスタを持っていないお店もあると思うし、ガソリンスタンドでも交換される人がいるかなと。
上の写真はライトの軸が明るさと上下方向が赤くなってますよね?
この数値では車検には通りません。バルブを適切な位置に取り付けなおしてもこの狂いようです。
ここから軸を調整していく。
基準値へ調整していきます。
もちろん、片側しかバルブを交換していない場合でも、反対側のライトも測定します。
僕は両方のヘッドライトの光軸を調整して渡すようにしています。
それにしてもビックリです。バルブの交換がしにくい、エンジンルームが混みあってる車なのかと思えば、助手席側のバルブ交換には十分なスペースもあるし、なんなら鏡などを使えば裏側もちゃんと見えます。
久しぶりのやっつけ仕事に遭遇してビックリしています。ヘッドライトの交換は、テスターのあるお店でやってもらうのが安全だと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。