実際に自動車検査員になるまでは、検査員ってかっこいいよな。なんていうちょっとした憧れをもっていたんです。僕がこの自動車整備業界に就職した時はまだ国家1級整備士がなかったので、事実上自動車検査員という資格をもつ整備士が、自動車の車検をメインに取り扱う会社にとってはトップの称号であったのです。
今では国家1級整備士ができたので、検査員よりもさらに上のレベルが出来てしまった。ここでこの業界に苦言を呈します。前にもブログなどで述べたことがあるんですが、国家1級整備士という資格は学校では取得しない方がいいということ。そういう受験資格を与えないでほしい。いかにも古風な意見になってしまいますが、僕は何の資格も持たないまま整備業界の門を叩いた。先輩のアシスタントみたいなものをしながら資格をとっていったんです。
整備の仕事に従事して1年間経って3級整備士の受験資格が得られ、3級が合格したら実務経験を3年間つむ。そうしたら今度は2級整備士の受験資格です。2級整備士を取得して整備主任に任命してもらえたら、そこから1年経過して検査員の受験資格が得られます。当時の部長に言われたけれど、検査員までたどり着きたければ10年は我慢しないと駄目だと思うと。
確かに僕が自動車検査員になったのはちょうど会社に就職して10年目だった。今は違う整備会社に勤めていますが、僕より10年も若いような連中と2級整備士を取得した時期が一緒なんですよ(笑)で、さらに1級整備士でしょう?これって、実際の業務に携わる前に専門学校で取得できるようになっているわけですよ。おかしくない?国家1級は少なくとも2級整備士をとって実務経験を何年か積んでから受験資格を与えるべきだと思うんですよね。
と、こんなことをぶつくさ言っていても仕方ないので自動車検査員のお話です。
うちの整備工場では僕を含めて3人の自動車検査員がいます。主に検査をしているのが僕の上の先輩です。僕が検査をするのは1日車検や先輩の手が忙しいとき。なので絶対的台数は先輩の5分の1程度です。僕と先輩の上には更に親方がいます。この人は普段は検査をしません。事業場管理責任者をやっていますので、僕と先輩の検査を監視している立場になります。
タイトルに憂鬱なんて書いてしまいましたが、実際に自動車検査員は憂鬱な仕事です(笑)
見なし公務員と呼ばれて、何か違反をしたら公務に従事する公務員と同様の罰則が与えられてしまう。これが公務員ならいですよ?いわゆる国土交通省の職員ね。この人たちは整備じゃなくて検査を専門とする。そこに血も涙も必要ない訳で、いいか悪いかだけに専念できる。だけど僕たち町工場の整備士検査員はお客さんの顔もわかるし、整備している同僚もいるわけです。当然自分で整備した車は検査してはいけないので、同僚の整備した車検を検査する。
このとき憂鬱なことその1が年上整備士の受け持った車検の検査で不適合を出すとき。なんだかちょっと微妙な空気ですが駄目なものは駄目なので落とします。ですがいやーな感じです。さらに、激しいオイル漏れをしているような車を洗って車検に通せるかと言われればどうでしょう?知ってしまっている限りはNGですよね?僕がまったくわからないうちにエンジンを洗われていれば気がつかないかもしれない。こういうのって憂鬱ですよね。オイルが漏れてれば車両火災のリスクがでてくるでしょう?だけど知らないで検査に適合していますよということをしてしまえば、何かあった時は僕はお縄になってしまうということです。
基本的には同僚の整備は疑ってかかります。どんなに腕のいい整備士だろうがなんだろうが疑いながら検査をしないといけない。こういう余計なことを考えているから検査業務が憂鬱になってしまうんでしょうね。検査は清く正しく行わないといけないのです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。