うちの実家には古い軽トラックがあります。
このキャリィですが、生前親父が新車で買ってそれを兄がずっと引き継いでいる車です。
この軽トラックそろそろ25年オーバーに差し掛かってきています。パワステもないしエアコンももちろんついていません。
キャブレターを未だに使っているし。軽トラックってメンテナンス性がいいので、自分も整備士だしずっと使おうかなという気持ちで兄弟かわるがわる使っています。
実はこの軽トラ、ハイオクを入れていました。結構前から数年くらいハイオクを入れ続けてきた経緯があります。
何故軽トラにレギュラーよりもリッターあたり10円も高いハイオクを入れていたのか?
最初はあまり意味もなく入れていました。当時は燃費の悪いスポーツカーに乗っていました。たまに軽トラックに乗ると燃料代が安く感じるのです。実際にスポーツカーよりも燃費はいいし燃料タンクの容量が少ないので、一回満タンにしたところでさほど燃料代が高く感じなかった。
そして、ハイオクを入れるようになった頃、ガソリンスタンドのハイオクが進化していたからです。
多分15年くらい前になるのかもしれません。当時ENEOSのハイオクが変わったんです。ENEOSヴィーゴというハイオクになって、従来のハイオクよりも洗浄性などの機能が上がった。
次いでシェルのハイオクなどもよくなった経緯があります。
これって、車にとっていいことなんじゃない?そう思って燃料タンクの小さい軽トラックにハイオクを入れるようになりました。
現在はENEOSヴィーゴというハイオクは販売が終了しています。今ENEOSで売られてるハイオクはENEOSハイオクガソリンです。
ヴィーゴに比べると若干機能が変わっています。
ヴィーゴがエンジンのインテークバルブやインジェクターに付着した汚れを徐々に削減する機能を持っていたのに対し、ENEOSハイオクはインテークバルブに新たな汚れが付着するのを防止するとなっています。
それでは、レギュラー仕様でいい軽トラックにハイオクを入れてみて何が変わったのか?
おそらくしばらくの期間、ENEOSヴィーゴを入れていたため、吸気系統が洗浄されていると思われます。実際にバルブを分解してみたわけではないのであくまで推測です。
エンジンのバルブを確認するためには、スコープのようなものでプラグホールから内視鏡みたいに確認するか、シリンダーヘッドを外してみるしかありません。
写真は2バルブで大きいほうがインテークバルブです。エキゾーストバルブのほうが焼けているのは排気ガスの通路になっていたり、素材が若干違ったりする為です。
ハイオクを入れると、バルブがきれいになるということですが(ハイオクの種類による)、それはどんな効果に現れるのか?
バルブの密着がより増して、圧縮が若干上がってパワーが上がる。燃焼室のカーボンを取り除くことでよりノッキングを防止できる。こんな効果が考えられます。
カーボンがきれいになればちゃんと混合器を吸い込めるので、アイドリングの安定にもつながります。
では実際にそれを体感できたのかと聞かれるとNO!です。
はっきり言って、ハイオクを入れようがレギュラーを入れようが効果は体感できるものではありませんでした。おそらく高負荷時にノッキングは減ってるんだろうけど、普段使いで
「パワーがあがったな!」
などとは感じません。点火タイミングなどをいじればそれなりの効果はでると思いますが。
そもそもこの車にはインジェクターがついてません。燃料装置はキャブレターです。キャブのカーボン除去にも一躍をになっているのであれば、アイドリングの安定や始動性の向上などの効果が表れてもいいと思いますが、体感ができませんでした。
ではレギュラー車にハイオクをいれることはいいことなのか?と聞かれると、いいことだと答えます。
その理由はエンジンのノッキングを抑えてくれるし、エンジン内部をクリーンにしてくれるから。だったらハイオクをお勧めするかと聞かれるとNOと答えます。
レギュラーとハイオクの価格差を考えると、そこまでの効果は表れにくいからです。ものすごく車を大事にしているのであればハイオクを入れてください。
そうでなければオーバースペックになります。
マツダのスカイアクティブXのようにハイオク推奨のエンジンだと、レギュラーとハイオクの差はおそらく体感ができるレベルまで違ってくると想像ができます。
しかし従来車のレギュラー仕様の車にハイオクを入れても、費用の面からあまり効果は出にくいかなと。
ハイオクを入れるくらいだったら、レギュラーを入れ続けてたまに燃料添加剤をいれてあげるほうがいいんじゃないかなと。差額を考えるとこちらのほうがコスパが高いですから。
レギュラーとハイオクの価格差できちんとしたフューエルワンなどを入れてあげたほうが、エンジンにとってはいいと僕は思います。
ハイオク指定車にレギュラーを入れることは駄目ですよ。ちゃんと制御してくれるエンジンもありますが、制御してくれないエンジンはダメージを蓄積させていきます。これは本当です。
まあこんなこともあって、今は軽トラックにはレギュラーガソリンを入れています。たまに添加剤を入れてあげる。
25年くらい前の車ですが、ちゃんと整備をしているのでまだまだ現役で走っています。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。