Categories: 日記・戯言

車の「稼働時間」から考える、カーシェアリングとコネクテッドカーについて

皆さんは車の稼働率というものを考えたことはありますか?僕は車で生計を立てている身として常日頃考えています。

例えば僕が住んでいる長野県だと一家に一台では車は足りません。一人一台は必要なのが現状です。それでは毎日どの程度車を使うのか?おそらく大半の人は通勤で30分前後くらいが多いのかな。それ以上の人もいるし、それ以下の人もいます。

平均をとって片道30分の通勤。往復で1時間です。これを稼働率として割り出すとどうなるか?

1日は24時間です。

往復1時間を24時間で割ると0.042となり4.2%という数字が出てきます。車が生活必需品として考える田舎でこの数字です。

逆に東京などの大都会では車を持ってる人の方が少なくなるので、割合がもっと下がるでしょう。

そう考えると、日本全国の自動車稼働率の平均値を導き出すとおそらく4%は切って3%くらいになってしまう。

100%のうち、3%しか車の実質的な稼働率がない。これってどうなのか?マイカーが4.2%しか稼働しないとなると、不経済であると言わざるを得ない。

車は動かさなくても維持費がかかります。自動車税から各種保険代に駐車場代。乗ってなくても車検代は2年に1度かかってくる。そういった維持費、たった3%弱のために払い続けるのか?

最近の若い人はとても賢くて、この辺りも計算に入れて考えているのかもしれない。若者の車離れなどと揶揄されますが、実質的に不経済であるのは明白だったりします。

前置きが長くなりましたが、ここから先はこれから起こり得る近未来の話です。

カーシェアリングとコネクテッドカー

カーシェアリングってもう聞いたことがないという人は少ないでしょう。みんなで1台の車を共有しよう!というものです。僕も実際に自分が住んでる場所の近くで利用できるカーシェアリングなどを調べたことがあります。

ただ、僕の住んでいる一番近い駅などにはまだカーシェアリングのプールがない。なのである程度大きな駅まで移動しないと利用ができないので、実質的にマイカーを持っている方が経済的なんです。

もし僕が住んでいる最寄りの駅で、タイムズカーシェアリングが利用できるようになったらマイカーを辞めるという選択肢も現実的に考えるかもしれない。

それほどカーシェアリングというものがこれから浸透していくだろうと考えています。

マイカーを4.2%の稼働率で保有しているよりも、カーシェアリングのほうが利便性とお金を天秤にかけた時効率がよくなれば無理してマイカーをもつ理由は無くなります。

カーシェアリングって、スマホでシェアリングプールに止まってる車を予約します。自分が使いたい時間帯を予約して車を使ったらまた元に戻しておく。料金はクレジットカード決済もOK。

1台の車をみんなでシェアすることで、その車の稼働率は飛躍的に上がります。例えば4.2%の稼働率は1人に対しての数字です。これが使う時間がバラバラだとすると2人が年間利用すれば単純で2倍になります。10人で1台の車を利用すれば40%を超える。

これは車を維持する側からすると、なかなかいい稼働率になりますよね。利用者が増えれば1台の稼働率はどんどんと上がっていきます。

ではそこから生まれる弊害はないのか?これは走行距離が極端に伸びるということ。稼働率4%弱だった車は10年10万キロだとすると、10倍の稼働率になると10年40万キロです。当然点検整備は12ヶ月点検程度じゃ間に合わなくなります。

カーシェアリングで一番困るのは車が故障するということです。運営する会社はそれだけは避けたいので点検整備の需要はあがります。おそらくカーシェアリングがもっと広まっていくと、整備する時間帯はみんなが車を使わない時間帯に合わせてくる。

夜中ですよね。みんなが寝静まって極端に稼働率が落ちている時間帯に定期的なメンテナンスをするのが一番効率があがる。カーシェアリングが広まることで、自動車整備は夜型にシフトしていくと考えられます。

そしてコネクテッドカーです。これはカーシェアリングととても相性がいいと思います。

コネクテッドカーのメリット

トヨタのクラウンやカローラがコネクテッドかーとしてデビューしました。コネクテッドカーって何かと言うと、車がネットと繋がってると単純に考えるとわかりやすい。

車がネットと繋がることでどのようなメリットが生まれるのか?

一番のメリットは車の各種センサの状況をディーラーなどが車がなくても把握できるという点。例えば、いつもは水温センサの数値が90度で安定しているAという車。ここのところ一週間で水温が80度くらいまで下がっている。

外気温度に大きな変化がないので、何かしらの故障を起こしてる可能性がある。それが水温センサなのかサーモスタットなのか?ディーラーはオーナーに電話をしてその事実を伝えます。

そして、考えられる部品を先に用意しておいて、オーナーの使わない時間帯にピンポイントで整備をして直してしまう。こんなことが可能になります。

これってカーシェアリングを運営する会社にとっては大きなメリットになる。自分たちが維持しているシェアリングカーの状態をディーラーが常にモニタリングしてくれている。消耗部品の交換はさることながら、微量な車の変化を感じたら予防性をして故障が表面化して問題になる前に修理することができる。

これがおそらく未来型自動車整備になると思う。整備する時間帯は稼働率が低い時間帯。ディーラーはカーシェアリングの運営会社と提携して、24時間体制で車両データを受信。健康状態をずっと管理してくれる。

カーシェアリングとコネクテッドカーはものすごく相性がいいということです。

もっと身近なところまでカーシェアリングが広まってくれば、自動車整備業界は大きな変革の時期にさしかかってくる。そこにコネクテッドカーです。

おそらくはディーラーなど専業の工場以外は少しずつ淘汰されていくかな。今僕が勤めている会社もやはり右肩下がりの業績です。みんないろんなアイデアを出して施作を打ち出しているけど、決め手がない。

自動車整備に関して言うと、専業ディーラーがこれからはもっと強みを発揮していく時代になるでしょう。町工場はどうするか?本当に独自路線を打ち出していかないと生き残りはとても厳しくなっていくのは容易に想像がつきます。

と、このようなことを上司に提言してもなかなか理解されないし、上司もどうしていいのかわからないんだと思います。

自動車整備はここ10年で考えられないような展開になっていくでしょう。僕も考えただけで今できることはなんなのか?毎日模索しています。

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