燃料噴射をになっているインジェクターという部品があります。燃料タンクに入っている燃料をポンプが吸いあげて、その燃料をインジェクターを使って各気筒へ噴射しています。
普通のエンジンにはインテークマニホールドに取り付けられていますが、直噴エンジンになると高圧のインジェクターがシリンダーに直接取り付けられています。
この燃料噴射の肝となるインジェクターですが、たまに壊れることがあります。
そしてその壊れ方が非常にグレーな症状で困惑させてくれます。
実際に僕が遭遇したインジェクターの故障とその症状について。
最初はトヨタの直噴エンジンでの出来事です。
初代ヴォクシーなどに搭載されているエンジンですが、症状としては普通にアイドリングはするんです。
アイドリングは奇麗に安定しているのにもかかわらず、エンジンに負荷を与えるとパワーがでない。
アクセルを踏み込んだ時に追従しない。吹けないんです。その時の症状はデータモニタしたらシリンダーがリーンになっていた。
原因を突き止めるとインジェクターが壊れていたんです。
インジェクターが詰まっていて、必要な燃料が噴射されない為、負荷を与えたらふけ上がらなかったということですね。
続いて遭遇したのが、また紛らわしい症状です。
朝一発目のエンジン始動で、不調になるということです。
症状を確認すると、明らかにエンジンが失火しているのがわかりました。診断機のデータモニタで失火信号を出してるシリンダーが特定できたので、最初はダイレクトイグニッションを入れ替えてみる。
そのあとプラグを正常のシリンダーと入れ替えてみた。
すると症状の逆転がまったくおこらない。気になってインジェクタの作動音を聞くとちゃんと作動はしています。
暖まると、この症状が緩和されてしまうという意味不明な症状でした。
いろいろと試してみて、インジェクタで間違いないと判断したんですが、そういえばこのエンジンは意外と簡単にインジェクタが外せる。
ということで、インジェクタを正常の気筒と入れ替えてみたら症状が逆転しました。
原因はインジェクタからどうやら微妙に燃料が漏れていたっぽいんです。
燃料がリーンではなくリッチになりすぎていて失火し気味だった。
今度は逆のパターンです。
エンジンが完全暖機状態になると不調がスタートする。
ファーストアイドルはさほど違和感なし。アイドリングが落ち着いて暖機が終わると不調が発生。
こちらも失火しているシリンダーがモニタできていたので、部品を入れ替える診断をして最終的にインジェクタにたどり着きました。
どうもこちらは固着し気味になっていたのか、うまく燃料がでなかったようです。
インジェクタの故障って、あまり多くないです。イグニッションコイルやプラグに比べると圧倒的に品質は安定している部品だと思うんです。
しかし、ひとたび壊れるとコイルやプラグを疑いたくなる症状と似ている。でもちょっと変だなぁって。
車によっては簡単にインジェクタを外せるものもありますが、そうでない車もあります。やはり診断機などでインジェクタを停止するパワーバランスなどを入念に行って、たどり着くのがいいと思います。
国産のインジェクターも1本あたり2万円弱はしますから。
ヴォクシーのインジェクターは死ぬほど交換しにくいです。もうエンジン降ろしたほうが早いだろうってそんなレベルの場所についています。
インジェクターをメンテナンスするにはPEA配合の燃料添加剤を定期的に入れる事。
壊れてしまえば仕方がないですが、煤が溜まって固着するなどは燃料添加剤を定期的に入れることにより、効果的な清掃ができます。
直噴エンジンには効果大ですから、定期的に入れましょう。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。