昔に比べると、ハイブリッドカーの割合がかなり増えてきましたね。ハイブリッドカーやエコカーには低粘度のエンジンオイルが採用されています。
そもそもその理由は燃費向上の為だけなのかを改めて考えてみます。
ハイブリッドカーやエコカーの目的っていうのは、環境問題につながる燃費を向上させること。車に限らず、止まっている物体を始動させるには相当なエネルギーが必要になります。
一度動き出してしまえば、ギアさえニュートラルになっていれば人力である程度移動させることだって来ます。
始動時にモーターの力を使うことで、従来のガソリン車よりも燃費が大きく改善できるという事。
エコカーも考え方が似ていて、アイドリングストップ搭載車であれば信号待ちの不要なアイドリングを停止することで燃料消費量を抑えています。
エンジンのON、OFFを頻繁に繰り返すところが共通点です。
エンジンオイルは低粘度化へ進化してきています。これはハイブリッドやエコカーだけに限らず、NAエンジンやターボエンジンでも0W指定が珍しくありません。
昔の車には柔らかいオイルであっても5W-30などの粘度が主流でした。車検工場で使うスタンダードオイルは10W-30が多かったです。
ちょっといじってある車などには15W-50など高粘度オイルをチョイスしていました。
ハイブリッドカーに高粘度のエンジンオイルは不向きです。その理由は何か?これは燃費向上の妨げになるということももちろん考えられます。しかしそれよりもハイブリッドカーの仕組みを考えると、やはり低粘度オイルが向いているということがわかります。
ハイブリッドカーはエンジンのON・OFFを頻繁に繰り返します。ハイブリッドバッテリーの充電状況に応じて、エンジンを頻繁に停止させるんです。
つまり、水温や油温が従来の車よりも上がりにくいのが一つの特徴です。その為、高粘度オイルを入れるとフリクションロスが増えてしまいます。ターボ車など発熱量の多いエンジンに高粘度オイルは向いていて、エンジンを頻繁にストップさせるハイブリッドにはやはり低粘度オイルが求められます。
そして頻繁にエンジンを停止するということは、油膜も従来のエンジンよりもすぐになくなってしまいます。ドライスタートとまでは言いませんが、エンジンが停止しているので再び油圧が上がるまで時間もかかる。
その為、オイルのグレードはSN以上が推奨されます。これはドライスタートを防ぐ為の添加剤が入っているからです。
ハイブリッドと同様にアイドリングストップを備えているエコカーも、同じ理由です。
頻繁にエンジンを停止したりかけたりを繰り返すので、高粘度オイルは不向きです。油圧の問題もあるので、SNグレード以上の低粘度オイルを入れることが望ましいと言えます。
では日産GT-Rに代表される、0W-40などのワイドレンジのオイルはどうなのか?
一見すると、0W-20指定車なら0W-40ということで、その粘度域をカバーするように見えます。もちろん使用すること自体は可能です。
しかし、高温側の粘度指数が高いというのはやはり油温が上がりづらいハイブリッドカーなどには不向きです。
使用自体は問題なくても、いたずらにオイルが抵抗になって燃費悪化を招きかねません。
もしハイブリッドカーでサーキット走行をするというのであれば、0W-40のワイドレンジオイルを入れるのはOKです。
きちんと用途を考えてオイルをチョイスしないと、燃費の悪化やエンジンへの負担にもつながりかねないので注意が必要です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。