なかなかショッキングなニュースが流れました。
某会社の整備士さんが、保険会社にわからないように車をパンクさせるには・・・。
などという動画が出回ってしまった。これ、真面目にやっている整備工場からすると非常に迷惑を被ってしまいます。
お前のところもそうなんだろう。と、色眼鏡で見られてしまいそうで。
過去にはトヨタディーラーですら不正車検がありました。
整備工場の不正っていうのはどうして起こるのか?防ぐにはどうすればいいのか?
僕もイチ整備工場で働く整備士という立場で書いてみると、不正が起きやすいのは仕事量のバランスだと思います。
かくいううちの工場も12月のタイヤ交換時期、3月の決算月、4月のタイヤ交換時期。この辺は非常に仕事量が増えてパニックになります。
正直な話、タイヤ交換なんかきて欲しくないわけです。その都度、手を止めないといけないので、予約業務が進まなくなります。
自社ユーザーのタイヤ交換は仕方がないと思いつつも、うちで車検も点検もやってない車が何故かこの時期になると急に来店したりするんです。
多分いつも整備してもらってる工場に断られるからでしょう。他で整備してる車のタイヤ交換って、怖いですよね。最後に脱着した状況に左右されます。
クリップボルトが噛み込んでいたら、外した瞬間にねじ山がダメになってしまったり。二次災害に発展します。
3月なんかは車検台数も多いので、現場もピリピリするわけです。
そういうゆとりが全くない状況下だと、
「このくらいならまあいいか」
と言った不正が生まれやすくなるのは想像に難しくないです。
本社などから設定された目標があって、それを達成しないといけないんだけど手が足りてない・・。
そんなシチュエーションになりがちな工場は危険です。うちはそうなるのを避ける為、タイヤ交換は予約制にしました。
自社ユーザーを優先させてもらっています。混んでない時はいいけど、混んでる時はお断りすることもするようになりました。
本当に必要な作業をちゃんと見極めて、時には勇気を持って断ることも大事であると。
続いて不正が起きやすいだろうなと思うのは、逆に常連さんからの圧力。
例えばタイヤがすり減っていて、1.6mmなかったとします。電話で違うタイヤを用意してもらうか、買ってもらうかの提案を当然します。
すると、
「そのくらいわかってるから今回は通しておけや」
と、一言。
この一言、かなり多いです。もういろんな人から言われます。本当に。
結構強力なお客さんからは
「通さねえともう他の車も全部違う工場で車検やるぞ」
というキツーい一言を言われることもあります。
でも、ダメです。気の弱い人間だと上司に相談を・・。というパターンもありますけど、通らないものはダメ。
僕が自動車検査員になる時、専門官に言われたことは
「会社と検査員のあなたは切り離して考えてください」
の一言でした。
検査員の自分がOKといえば、どんな状態であっても車検は通ってしまうわけです。会社から、時間が厳しいとか予算が厳しいとか、あのお客さんとは穏便にやりたいとか言われても、不正が発覚したら検査員が責任を負わないといけない。
陸運局の検査員は、持ち込んでくる車両に対して白か黒かをいいわたすだけです。
指定工場の検査員は、自分が整備をしてお金をいただいているお客さんの車に対して、白黒をつけないといけない。
板挟みにあってしまう。
これに耐えきれなくて、OKを出してしまう検査員、もしかしたらいるかもしれません。
周りからの圧がきついところだと、ダメ出しするのが厳しくなる。こういう時も不正が起こりやすいと思います。
単純に悪巧みをして不正をしている業者なんか、そんなに多くないと思うんです。仕方なく通してしまった。忙しすぎて見落としてしまった。
これらも発覚すれば不正になってしまいます。
整備工場の不正を減らすには、お客さんとの間にも相互信頼関係をもっと構築しないと難しいかもしれませんね。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。