ホンダの可変シリンダーシステムVCM(気筒休止システム)について
ホンダの高級車に搭載されているV6エンジンには、可変シリンダーシステム(気筒休止システム)という制御がなされています。
これはV6気筒をいつもV6気筒として使うというわけではなく、時と場合によって気筒を休止させるというもの
従来のモデルであればV6気筒を3気筒休止させるシステムでした。
丁度V6エンジンの片バンクを休止させる制御ですね。ですが、さすがにその切り替えのショックや騒音などが問題視され、現在ではV6エンジンで
6気筒→4気筒→3気筒
という風に3段階で調整しています。
インスパイアがそうです。
6気筒運転
大雑把に描きますが、ホンダのV6は次のようなシリンダー配列になっています。
運転席側のバンクが1-2-3
助手席側が4-5-6
このシリンダーを時と場合によって休止させています。
ちなみに点火順序は
1-4-2-5-3-6
これが3気筒運転になると
3気筒運転
赤いシリンダーが動いているシリンダー。白いシリンダーが休止しているシリンダーです。
点火順序は変わりません
1-4-2-5-3-6
丁度点火は途中を間引いた順番になるため3気筒でもさほどバランスが悪くない。
点火の間隔は240度で均一です。
これが4気筒になるとどうなるか?
1-4-2-5-3-6
赤いシリンダーが動いている気筒。白いシリンダーが休止している気筒
これを点火順序からみると、240度で点火した後今度は120度で点火。そしてまた240度で点火といった感じになり、バランスにかけてしまうところがあります。
振動も少なからず出てしまう。
これについて、苦情がこないようにホンダではいろいろな手をうってあります。
まず振動に関して。
4気筒運転のときに特に振動がでるということ。そして気筒が休止して切り替わったときにショックが大きいということ。
これを防ぐために、ホンダではアクティブコントロールエンジンマウントと呼ばれるエンジンマウントを採用。
これにより振動とショックを吸収しています。
具体的にアクティブコントロールエンジンマウントは普通のエンジンマウントと何がちがうのかというと、電子制御されたエンジンマウントだということ。
マウントの中に不凍液に近い液体を封入してあり、それをオリフィスで可変減衰させるようにしてあります。
そしてこの減衰させるタイミングを電子制御してあるということですね。
この電子制御エンジンマウントの採用で、従来の気筒休止システムよりもぐっと振動を低減しているそうです。
そしてノイズの発生について。どうしても気筒の切り替え時や4気筒状態の均等でない点火によってある程度の騒音がうまれます。この現象を押さえ込むために行われている制御これもすごい。
アクティブノイズコントロールと呼ばれるシステムを搭載しています。
これは何をするシステムかと言うと、車のフロント部に小さなピンマイクを搭載していて、ECUがノイズの音を検知しています。
室内にまで響くような音を検知したとき、このアクティブノイズコントロールシステムを使って、ノイズと逆位相の音をブツけて音を相殺させている。
では何で、逆位相の音をぶつけているかというと、それはなんと
純正オーディオとスピーカー
このインスパイアに搭載されているアクティブノイズコントロールは、気筒切り替え時のノイズを拾ったら室内に純正オーディオとスピーカーを使用して逆位相の音をぶつけて相殺させています。
なんてハイテクなシステムなんだろう。
ここで問題が発生しますね。そうです。
純正オーディオを社外のオーディオに交換するといった作業をしたらどうなるか?
これは当然アクティブノイズコントロールを使うことができなくなるので、室内へのノイズはそのままドライバーへと伝わってしまう。
なのでインスパイアのオーディオって、交換しちゃいけないんですよ。
スピーカーでさえも交換はしないほうがいいというメーカーからの回答だそうです。
いやはやココまで緻密な制御をしているとなるともはや天晴れとしか言いようがないなと思ってしまった。
ホンダの技術力の高さをうかがい知れたシステムですよね。
本日はホンダの気筒休止システムについてでした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。