今年、11月の初めにいろは坂でホンダのハイブリッドカーがあちらこちらで故障しているという書き込みがSNSでありました。
いろは坂って行った事ありますか?
栃木県にあるいろは坂は対向車がこない登り坂です。漫画イニシャルDでも登場した場所です。
僕も実はちょうどホンダのステップワゴンでいろは坂を通ったことがあります。栃木に旅行に行っていて、ちょうど紅葉シーズンだったのかな?
もうものすごい大渋滞ですよ。そして頂上にしかトイレがその当時なくて、トイレに行くにも渋滞を2時間近くかけて突破しないといけない・・・。
行楽シーズンのいろは坂の渋滞って、僕が今まで経験したことがないくらい凄かったです。
旧車はところどころ道端に車を止めてボンネットを開けていたのもありました。オーバーヒートしたんでしょうね。
いろは坂を突破しようと思ったら、仮に電動ファンが故障していようものなら速攻でオーバーヒートします。それほどいろは坂の渋滞は過酷です。
話を戻して、今年のいろは坂ではホンダのハイブリッド車があちらこちらでエンコしていたようですが、これは何故なのか?
今回トラブったのはホンダの1モーター式ハイブリッド。
結論を先に書くと、構造上に原因があり、メーカーが追及していた耐久テストよりもいろは坂の渋滞が過酷だった。
ということに尽きると思います。
一体何がおきてしまったのかというと、マニュアル車をイメージしてみてください。
マニュアルって、クラッチペダルを踏んだり離したりしてギヤを切り替えていきますよね?
そして、発進するときはスムーズに動かすために半クラという状態にします。半分クラッチペダルを離して、エンジンの動力を少しずつミッションへつないでいく動作です。
いきなりクラッチを離すと、急に駆動がかかってどかんと動き出します。危ないのでマニュアルでは半クラという操作が必要になる。
これはマニュアルで免許を取った人ならみんな知ってます。
ここからが問題。半クラを多用すると、クラッチがどんどん減っていきます。というのも、クラッチを離せばエンジンとミッションが完全につながります。
半クラを使うと、クラッチ板をすり減らしながら徐々に回転をつなげていきます。
半クラの時間が長ければ長いほどクラッチ板は減っていくんです。
この動作をホンダのエンコしたハイブリッドは自動で行ってくれています。
i-DCDと呼ばれる機構で、このホンダのハイブリッドは通常だったらハイブリッドバッテリーの電気をつかってモーターで走り出します。
でも、モーターで走り出すには電気が必要ですよね?渋滞すると、走行用の電池は減っていくため、モーターで走り出せなくなります。
すると次に何をするか?DCTと呼ばれるデュアルクラッチを使って走り出すのです。
デュアルクラッチっていうのは、2つのクラッチをうまく使っているミッションです。
例えば6速あるとすれば、1.3.5速と2.4.6速に分けます。
今1速に入っていれば、次にシフトアップされるであろう2速側のクラッチを繋げておきます。
奇数段のクラッチを切った瞬間に偶数段のギヤへつないでおく事で、切れ目なくシフトチェンジが出来る。GT-Rなどにも採用されています。
じゃあGT-Rもいろは坂の渋滞にはまると駄目なのかというと、このホンダのハイブリッドはクラッチが乾式タイプです。
GT-Rは湿式多板を採用しており、オイルで耐久性が高い。
乾式タイプのi-DCDは極端な話マニュアルクラッチと同じなので、ヒートしてしまうと。
その時、メーターに
「トランスミッション高温 安全な場所に停車して下さい」
というメッセージがでるので、クーリングさせないといけないのです。これがホンダのメーカーが思っていた以上にいろは坂の渋滞が強烈過ぎたわけです。
もう少し耐久性を持たせておけば良かったんでしょうけど。
マニュアル車であっても、かなりきついですよね。多分運転が上手な人だったら問題ないですけど、運転が苦手な人だとそれだけの渋滞にはまるとクラッチを焼いてしまうと思います。
まさかのDCTがこんな形で仇となるとは、多分今までも起きてたと思うんですが、今年はやけにホンダ車が目立ってしまって、SNSに上がったのかもしれないですね。
やはり車はマニュアルが楽しい
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。