夏のとある日ですが、一台の車を点検していました。
その車は、珍しい部類にはいるハイオク指定車。
ロードスターもそうなんですけど、レギュラーではなくてハイオクを入れないといけない車です。
欧州車もそうですよね。そもそもなんでレギュラーガソリンとハイオクガソリンがあるかというと、耐ノック性能が違うため。
ハイオクを使う理由は、例えば圧縮比を上げてパワーを絞りだすエンジンだったりして、レギュラーガソリンだと耐ノック性が足りないからです。
昔の車だと、そういう場合カリカリカリとノッキングが発生したものです。しかし、インジェクションになってしばらくすると画期的なセンサが続々と搭載されました。
その中の一つがノックセンサです。エンジンブロックにねじ止めされていて、ノッキングを感知すると点火時期を遅らせるようにECUに伝達する。
このノックセンサが登場してから、ハイオク車にレギュラーを入れてもコンピューターで補正するようになったのでエンジンが壊れなくなったと。
前置きはここまでで、ハイオク指定車に乗ってるお客さんが、なんか車のパワーがいまいちになったと言って点検することになりました。
僕もその車には何度も乗ったことがあり、加速フィールなどはある程度体で知っていました。
とりあえず車を預かって、負荷のかかる山道などでアクセルを踏み込んだりして試してみたんです。
するとやっぱり調子がいまいち。とりあえず診断機をつないでデータモニターを表示、ログをとりながらテスト走行をしていきました。
診断機って便利なもので、走行中の各センサのデータをリアルタイムで表示することも可能だし、それをデータとして記録しながら走ることができるんです。
とりあえず助手席に診断機を載せて、なんかおかしかったなというタイミングで路肩に車を止めてログを確認すると、どうも点火時期で補正されていました。
調べてみると、ノッキングが出ているようでノックセンサからの信号でECUが遅角制御をしているようです。
その日は確かに暑くて、吸気温度も真冬とは比べ物にならないくらい熱いのは確かです。それにしてもこんなアクセル開度とこれしきの負荷で、ノッキングがそこまで発生するのかなと。
とりあえず症状はある程度確認できたので、工場に戻ってプラグなどを外して点検してみました。
プラグなど点火系は特に問題なさそうです。
おかしい。ふと気になって、燃料キャップをあけてみました。蒸発ガスはたぶんハイオクのにおいっぽいような気はします。
お客さんにハイオクちゃんと入れてますか?と聞いたら入れてるよと。
いつ頃からこの症状になったのかと聞いたら、去年くらいからだと言ってました。
エンジン側に問題が見つけられず、どこでガソリンを入れてますかと聞いたら、僕が知ってる限り激安のガソリンスタンドでした。
結果どうだったのかというと、激安スタンドのハイオクに問題があるようでした。
とりあえずガソリンが空になったら、ちゃんとしたメーカーのスタンドでハイオクを入れてみてくださいと伝えました。
その後、どうなったかと聞いたら、症状がおさまったようだと。
つまり、激安スタンドのハイオクが、どうもオクタン価が足りてなかったんじゃないかって。怖いのが、これがチューニングされた車で、ち密にセッティングされている場合だと、エンジンがすぐに壊れてしまうということです。
そんなにいじってないノーマルに近い車で、ある程度ノックセンサやECUでリカバリーできる車だからまあよかったものの。
この件を受けて思ったのは、ハイオクは絶対にしっかりとしたブランドのスタンドで入れるべきだと。
仮に激安スタンドを使うのなら、レギュラー車にしておくこと。
こんなことってあるんだなと。ターボ車もできればちゃんとしたスタンドのほうがいいですよ。まあ昔僕も若いころRX-7に乗っていて、常に金欠だったのでアルコール系燃料とかいれたこともありましたけど。
調子を崩した場合、燃料添加剤をいれてみるのもいいと思います。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。