兄がマツダのND型ロードスターを新車で購入して、乗り続けています。途中、パワーウインドウが壊れたり、エアコンが壊れたりしたものの、走行距離は56000kmを超えました。
このロードスターに搭載されてるエンジンはスカイアクティブGの1.5リッターです。
ロードスターは指定燃料が無鉛プレミアムです。いわゆるハイオク指定車です。
1496ccの直噴4気筒DOHC16バルブの直噴エンジンです。最高出力96kW(131PS)/7000rpm、最大トルク150Nm/4800rpm、最高回転数7500rpmというスペックになっています。
ハイオクを使う理由は何か?これは燃料をきめ細かくコントロールするためです。NDロードスターでは圧縮比は下げられていますが、1496ccで131PSを発揮させるためにもきめ細かく制御しています。
もちろんノッキングはエンジンにとっては大敵なので、そういう意味でも耐ノック性が高いハイオクを指定しているということです。
そういえば、大手正規油元売りのハイオク問題を思い出しました。昭和シェル以外のハイオクに関しては、洗浄性がないのにあたかもエンジン内部がクリーンになるという宣伝をしていて問題になりました。
このロードスター、ガソリンはいつもENEOSのハイオクを入れていました。
ENEOSのハイオクはヴィーゴからENEOSハイオクに切り替わっています。ヴィーゴには洗浄性がありましたが、ENEOSハイオクはエンジン内部をクリーンに保つといううたい文句をしています。
これって、新車当時からハイオクをいれつづけていれば、ある程度燃焼室をクリーンに保てるという事かなと。
新車から4年半、56000km走行のロードスター、エンジン内部はどうなっているのか?
点火プラグを外して、プラグホールからエンジン内部を撮影してみました。
結果を先に書くと、思った以上に汚かった。
ロードスターは1番シリンダーよりも2番シリンダーのほうが、プラグを外しやすいです。なので2番シリンダーの状態を撮影してみました。
ピストントップの状態、ビックリするくらい汚れています。
明らかにカーボンなどが付着しているのがわかります。
ちなみにロードスターの使用環境は、普段の足にはあまり使わずどちらかというと高速道路で遠出をすることが多いです。
冬はスタッドレスタイヤを持っていないので基本的に乗りません。
完全趣味のための車として使っています。普段は車庫に入っています。
それにしても汚いですね。
走行距離56000km弱。新車からずっとエンジン内部をクリーンに保つというENEOSのハイオクを入れ続けているロードスター。
思った以上に燃焼室が汚れている理由は何故なのか?
ENEOSハイオクが駄目だということではなく、一番の理由はロードスターのエンジンが直噴だからだと思います。
普通のエンジンと直噴エンジンってそもそも何が違うのか?
通常のガソリンエンジンはインテークマニホールドに燃料を噴射するインジェクターが取り付けられています。
スロットルボディから吸気された空気とマニホールド内で混合させて、吸気バルブから吸い込み燃焼させています。
これに対して直噴エンジンはシリンダーヘッドにインジェクターが取り付けられています。最大の違いは燃料を直接燃焼室へ噴射しているということになります。
普通のエンジンと直噴エンジンの大雑把な違いは燃料を噴射するインジェクターの取り付け位置。
では、直噴エンジンにするとどんなメリットがあるのか?
直噴エンジンのメリットは燃費がよくなるという点挙げられます。4サイクルエンジンは吸入、圧縮、燃焼、排気を繰り返しています。
この圧縮工程で、混合気を圧縮させています。
通常のエンジンだと、燃焼室に入ってくる以前で空気とガソリンが混合されています。大雑把に混ぜて圧縮して燃やしているイメージです。これだと圧縮度合いによってはノッキングを発生してしまうこともあります。
というのも、圧縮をすると熱が発生してしまうから。スパークプラグで点火する前に、プレイグニッションとして勝手に圧縮熱などで燃えて火炎伝播が干渉することがノッキング。
エンジンにとっては大敵です。
では、直噴エンジンはどうでしょう?
直噴の場合、圧縮されるのはスロットルボディから取り込まれた空気です。空気を圧縮したところに、最適な燃料を高圧インジェクターで噴射する。
このため、燃料の量をち密にコントロールすることができるため、理想空燃比により近づけることができます。
さらに、圧縮で熱くなった燃焼室やピストントップを、燃料噴射することで冷却する効果も期待できるわけです。
直噴エンジンのメリットは燃費に直結できるという事です。
直噴の話からロードスターのエンジン内部にもどります。
直噴エンジンのロードスター。ピストントップに煤などがたまっています。この理由は何か?
直噴エンジンは、説明した通りガソリンを直接燃焼室へ噴射します。最初から混合気として混ぜられているわけではないので、マルチホールを用いた高圧インジェクターであっても、燃料が濃い部分とそうでない部分ができてしまいます。
つまり、燃焼過程で燃え残りが発生しやすい特徴があるのです。
均等に燃焼室内を瞬時に噴射できるかというと、完全ではなくムラが若干ある。
そしてすぐに燃焼行程に移るため、燃焼が追い付かない時があるイメージです。
ロードスターの燃焼室が汚れているのは、直噴エンジンだから致し方ないという事になります。
直噴エンジンは、このように燃えカスや煤が出るのでオイルも比較的汚れやすいです。昔の直噴エンジンほどではないですが、燃料添加剤をたまに入れるのも効果的です。
とりあえずAZの燃料添加剤を添加したので、以後はフューエルワンなどを入れて変化を観察していきたいと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。