今や国産車の8割程度はATになっています。それこそ軽トラックから、大型のトラックまでATを採用する時代。
でもまだまだMT車も存在するのも事実。そんなマニュアル車を車検で預かると、結構な確率で多いオーダー
「ギヤが入りにくい」
このギヤが入りにくいというオーダーは、整備士泣かせのオーダーでもあります。
ギヤが入りにくいという症状。これを改善させるにはどうするべきか?
まずギヤが入らない原因は3つに分かれます。どちらの原因かをまずはっきりさせる。
クラッチに問題があるか、それともミッション内部に問題があるか。はたまたミッションにつながるリンク系というに問題があるのか?
マニュアル車なので、当然クラッチが存在します。このクラッチ系統に問題があるとギヤが入りにくくなります。
簡単にいうと、クラッチが切れにくいということ。クラッチが切れていないのにギヤを入れようとしてもうまくかみ合わずギヤ鳴りを起こします。
判断する方法はエンジンを止めて、ギヤを入れてみる。そしてエンジンをかけてそれぞれのギヤを入れてみる。
この2つを試してみる理由は、エンジンを止めてギヤがスムーズに入る。だけどエンジンがかかってる状態だとギヤ鳴りしてなかなか入らない。この原因はクラッチが切れていないからということです。
クラッチが切れない原因も様々。ワイヤー式のクラッチなら、単純にクラッチの遊びが大きすぎるのかもしれない。この場合なら調整することができます。油圧式のクラッチなら、レリーズシリンダやマスターシリンダからフルードもれを確認。エア抜きをしてみるのも一つの手です。
あとはクラッチのレリーズベアリングの動きが悪いなどになってくる。こうなるとやはりクラッチをOHしないとだめです。
エンジンを止めている状態でも、ギヤの入りが悪い場合。
これは、特定のギヤが多いです。よく使うローとかセカンドですね。エンジンを切ってるにも関わらずギヤがうまくカチッと入らない。
こういった症状が出ている場合はミッションの内部です。よくミッションオイルを交換してみるといった提案をされることもありますが、ミッションオイルを交換しても治りません。
内部のギヤが物理的に磨耗してしまってるので、ミッションOHをしないと治らない。一番お金がかかるコースです。
最後にミッションのリンケージです。
フロアからシフトレバーがニョキッと生えてるFRにはあまり該当しません。ですがエンジンを横置きにしている車など。
こういう車はシフトレバーとミッションをワイヤーなどで接続しています。それがロッドなどを使う場合もあります。
これらワイヤーの動きがおかしかったり、ロッドのジョイントにがたつきなどがあると、その部分で遊びが大きくなりシフト操作が正常に行えなくなる。
ワイヤーはプレートでステーに固定されているんですが、このプレートが外れちゃったり、ロッドのブッシュが経年劣化で磨耗して無くなってしまったり。そういう場合は通常のセレクト、シフトができなくなるのでどこにギヤが入ってるかもわからない状態になります。
これはそのブッシュなどを交換すればきちんと元に戻ります。
ギヤが入らないというオーダーは、お金をかけるだけの意識がお客さん側にないことが多いです。簡単に調整で治るとかそういうのならいいんですけど。
大体が大掛かりな修理が必要になります。その多くは最低でもクラッチをOHしないと治らなかったりするので
「そんなにお金がかかるならいいや」
となるケースが多いので、整備士泣かせなのであります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。