整備工場で車の故障や板金など全てを修理できるのか?というと、その工場の規模によっても変わってきます。
小さい整備工場だと、板金整備は外注を使わざるを得ないかもしくは板金整備自体は断るか。うちの整備工場も支店単位では板金部門をもちません。
会社に集中の板金センターがあるので、そこへ車を移送して直すようになります。あと、自社工場で完結できない作業の1つにリコール。
リコールの内容にもよりますが、ディーラーでしかできないリコールとそうでないリコールがあります。台数が多いリコールで軽微な物であれば、リコールの部品とステッカー、要領書をディーラーにもらって代わりに作業ができる。
作業した分の工賃は決まった金額になりますが請求することも可能。ですが、ECUの書き換えとかエアバッグ関係になるとディーラーで作業をするようになります。
ここで気をつけないといけないのは、作業を外注に出そうが出すまいがお客さんにはあまり関係がないということ。一番最初に依頼された工場に全ての責任がかかってくるので注意しないといけません。
僕が一番気をつけているのは、作業前と作業後で車に傷が付いていないか?という点です。
例をあげると、エアバッグリコール。車種によってはインパネを脱着しないと外せない車があります。インパネを脱着するのって年数が経過している車はリスキーです。
一つのパネルを外そうと、最新の注意を払っていても経年劣化でパネルにヒビが入ってしまう。などなど。エアコンもそうですよね。エバポレーターを交換しようにもやはりインパネを剥がさないとできない場合。
外注作業で脱着するであろう部位は、依頼する前に全て写真を撮るようにしています。同じ作業をする整備士としては、相手の仕事を信用していないように取られてしまうかもしれませんがやむを得ない。
お客さんにとっては最初に依頼している自社工場に責任を求めてきます。そこで、
「この作業は外注先でやったから当社の責任ではありません!」
なんて返答するのは一番無責任ですよね。
あくまでも仕事を引き受けている以上、外注先の完成作業を確認するのは当然。もし傷が付いていたりするとすぐに電話します。作業が終わって日数が経過してから傷があった!なんて言われると責任をうやむやにされてしまうわけですから。
笑えない話として、知り合いの整備工場でこんなことがあったそうです。
車検で預かった車なんですが、エアコン修理も追加で依頼された。とりあえず車検整備を終わらせて、外注先の電装業者にエアコン修理を頼んだんだそうです。
そして修理が終わってユーザーにとどけて、1週間後。クレーム発生。何かと思ったらタイヤのネジが緩んで、ガタガタと音が出たという。どうしてそんなことになるのか?車検の時はきちんとトルクレンチで締めたはず・・。
思い出したのがそのあと外注でエアコン修理に出していた。この車はタイヤを外さないとエアコンコンプレッサーを交換できない車種だった・・。
外注先のタイヤの締め付けトルクが甘かったため、その一本だけ緩んでしまったという。うーん恐ろしい。
僕は車検整備と一緒に外注作業に出さないといけない依頼をもらったら、先に外注作業に出します。そして車検整備をしながら外注先の仕事も確認をとる。
こうしないと、全ての作業に対して完成検査でOK出せません。
整備工場で働いていると、どうしても仕事が詰まってくることもあります。そんな時、仕方がなく外注にだす。外注に出さないとできない作業など。
こういったことはよくある話。
ですが、外注先とはいい関係を築くためにも言いたいことは言える中になっていないとマズイ。
さすがに、
「今日きたから今すぐ見てくれ!」
なんて言われても、OKしてくれる業者は少ないです。お客さんに事情を話して、まずは時間と作業の予約。急かして作業してもいいことなんかありません。
時間を短縮するのは当たり前だけど、まずは確実な作業から!を心がけるようにしたいですよね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。