ファンベルトについてです。まず、ファンベルトと通称で呼ばれているベルトですが、エンジンの補機類を駆動しているベルトのことを言います。
厳密に言うと、昔のなごりでファンベルトと呼ばれていますが、オルタネーターベルト、パワステベルト、エアコンベルト、ウォーターポンプベルト、エアポンプベルトなどを総称してファンベルトと呼んでいます。
昔の車はラジエターのファンが電動ファンではなくてベルトで回していました。その時にファンベルトと呼ばれていたのがそのまま根付いています。
現在使われているファンベルトには、補機類ごとに1本ずつ分けられているタイプと1本の長いベルトで全ての補機類を駆動しているタイプの2つに別れてきます。
そして最近では張りの調整ができないストレッチタイプのベルトも使われています。
ファンベルトの交換時期は、ベルトに劣化や亀裂などが発生した時や、ベルト鳴きが発生した時などがまず一つに挙げられます。
メーカーによってはファンベルトの交換時期はまちまちです。リース車両などは4万キロをめどに交換が推奨されています。
昔のVリブドベルトは溝に亀裂が入ってきたら概ね交換時期です。
ただ、最近のベルトはこのように直角に亀裂が入らなくなってきています。
溝が深くなっていって、縦に断裂していく性質を持っているので、ベルトの先っぽがとんがってきたら交換をしないといけません。
ファンベルトの交換時期は距離で管理するのであれば、4万キロ前後。ベルト鳴きが発生したり、溝に亀裂などが生じてきたら交換です。
それではファンベルトの交換費用はどのくらいかかるでしょうか?
1本で全ての補機類を駆動するサーペインタイン方式のベルトは、1本の部品代が高いですが工賃は割と安いです。逆に各補機類ごとにベルトを分けている車は、2つか3つ使われているので工賃が加算できます。
ファンベルトの交換費用を算出してみると3000円〜2万円程度になってきます。
それではファンベルトが切れたらどうなるか?
まず1本で全てを駆動しているサーペインタイン方式の場合です。
オルタネーター、エアコン、パワステそれぞれ全て機能しなくなります。バッテリーのランプが点灯してエアコンはききません。そしてパワステも効かなくなるのでハンドルが重たくなります。
次第にバッテリーが消耗して最後には止まってしまいます。
複数のベルトを使ってるタイプは、その切れたベルトの補機類が機能を停止します。パワステベルトが切れたらパワステのみ効かなくなるし、エアコンも同様。オルタネーターベルトが切れてしまうと、発電しなくなるのでバッテリー容量が尽きたらエンジンが停止してしまいます。
この中でちょっとまずいのが、ファンベルトでウォーターポンプを駆動しているタイプ。タイミングチェーンの車は全てこれに該当しますが、ベルトが切れた時点でエンジンの冷却水を回すポンプが動かなくなります。
つまり走行するとエンジンがどんどん熱くなり最終的にはオーバーヒートを起こして、エンジンを壊してしまうのです。
タイミングベルトを使ってる車なら、もしかしてタイミングベルトでウォーターポンプを駆動していればオーバーヒートはしません。ですがファンベルトが切れたら今の車は8割はウォーターポンプの機能を停止するのでエンジンが壊れてしまいます。
ベルトが切れてしまったら素直に停車して救援を呼びましょう。
余談ですがベルト鳴きに悩まされることって多いと思います。そんなとき、専用のスプレーをベルトに吹きかけるだけでグリップを回復して鳴きがとまることがあります。
しばらく経ったら効果は無くなりますが、もしベルト鳴きで悩んでいるのであれば試してみる価値は大いにあります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。