エンジンをかけると、いつもと違うガラガラ音がする。何かが故障したのか?どのように故障個所を特定していけばいいか?
まず最初に行うことはオイルが入ってるかどうかを点検することです。オイルが入ってなくて、エンジン内部からのガラガラ音なのかどうか?
この手の異音はオイルを規定量入れるとパッと消えることがあります。
オイルはちゃんと入っているし、エンジンが温まっても変わらずガラガラ音がする。アイドリング時でガラガラと異音がずーっと発生している場合、補機類のベアリングが疑わしくなってきます。
目次
補機類ベアリングの異音とは?
エンジンには何種類かの補機類がついていて、それをファンベルトで回しています。エンジンからガラガラ音が出ていると思うけど、実は補機類から音が出ていることがあります。
それを確認する方法を紹介します。
まずエンジンの代表的な補機類といえば、
・オルタネーター
・エアコンコンプレッサ
・油圧パワステポンプ
・ウォーターポンプ
・エアポンプ
しかし、今はパワステも電動化されていたり、エアポンプはロータリーエンジンでなければついてなかったりするので数は限られます。
続いて確認するのはベルトの数とかかり方。
例えばファンベルトは見る限り1本しか使ってないタイプなのか、複数本使っているのか?
ポイントはどのベルトがどの補機類を回しているのか?ということになります。
ウォーターポンプの異音とは?
近年増えてきているのがウォーターポンプからの異音です。特にダイハツ系に多いです。アイドリングさせるとガラガラ異音を発生します。
クーラントがポンプから漏れてることもあるし、異音だけ出ていることもあります。どちらにしろ早めに交換しないと、エンジンがオーバーヒートを起こして壊れる可能性があります。
ダイハツのウォーターポンプはオルタネーターと一緒のベルトで駆動しています。なので、オルタネーターのベアリングなのか、ウォーターポンプの異音なのか判別がしにくいです。
確実に診断をしたいのであれば、かかっているベルトを外す。そしてそれぞれオルタネーターのプーリーを手で回してみたり、ウォーターポンプのプーリーを手で回してみる。
異音が出ているプーリーは手で回すだけでも異常がわかります。手に引っかかる感じというかゴリゴリ感が伝わってくる。
誤診を避けるのであればベルトを外して確認します。
そこまでするのが面倒だという人はサウンドスコープを使います。
サウンドスコープはお医者さんが使う聴診器の車バージョンです。
異音を特定したい補機類にあてがって異音を聞きます。エンジンが回った状態でサウンドスコープを使わないといけないので注意しながら行ってください。
オルタネーターかウォーターポンプ。音が大きく出ているほうがビンゴです。
エアコンコンプレッサの異音
エアコンのコンプレッサから異音がでてる場合。まずはエアコンのスイッチをON・OFFで音が変わるかどうかを聞き比べてください。
スイッチのON・OFFで音が変わらない場合もあります。(すでに大きな異音になりすぎてる場合)
軽微な異音の場合であれば、スイッチのON・OFFで異音の質が変わるのでわかりやすいです。
スイッチON・OFFでわからない場合はやはりベルトを外してみる必要があります。エアコンコンプレッサは異音も出すことがあるし焼き付いて動かなくなることもあります。
焼き付いてしまった場合、エンジンは回ってるのにコンプレッサはロックしている。激しいベルト鳴きを起こしたり、エンジンがエンストを起こすといった故障につながることもあります。
パワステポンプの異音とは?
パワステポンプの異音とはどんな異音か?
経験上、ベアリングから異音がでたケースはあまりありませんでした。中にはガラガラ音を出していた車もあります。
どちらかというと油圧系統の異音を発生しやすいです。それはハンドルを切ったときにギャーといった異音です。
パワステオイルが入ってないとこういう音を出します。パワステオイルが入っているなら、オイルが真っ黒になりすぎてる場合。
パワステオイルにスラッジが堆積していると、ポンプからジジジといった異音を発生します。この場合パワステオイルを何回か交換して、フラッシングをすると治ることもあります。
ベアリングの異音を放っておくとどうなるか?
これは全てに共通して言えることですが、もし異音を放っておいたらどうなるか?
ベアリングの構造って鉄のレースとレースの間にボールやローラーが入っています。異音はこのボールやローラーに傷がついてガラガラと発生します。
最終的にはベアリングがバラバラになってしまう。つまり、プーリーごと飛んで行ってしまいます。
当然プーリーが飛んで行ったらその補機類は機能を停止します。パワステならパワステが効かなくなる。オルタネーターならバッテリーを充電しなくなる。エアコンはエアコンが効かなくなる。
しかし問題なのは、高速で回転している中でプーリーが飛んで行ってしまうとどうなるか?もしかしたらプーリーがエンジンルームに巻き込んで、どこかを損傷させてしまうかもしれません。
昔リコールでクランクシャフトプーリーを交換する車がありました。リコール作業が間に合わないと、クランクプーリーが飛んで行っちゃうわけです。
ガコっという大きな音がして、バッテリーの警告灯が点灯したということで入庫すると、エンジン横のカバーなどに大きな穴が開いていたことがあります。
しかも飛んで行ったプーリーは道路に置き去りになり、後続車にもダメージを与えてしまうかもしれません。
エンジンからガラガラ異音が発生してきたら、とりあえずすぐに診断してもらいましょう。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。