点検で預かったお客さんの車で
「エンジンスターターでエンジンがかけられなくなった」
というご用命があった。担当したのは大先輩の整備士。
症状を確認するとスターターモーターを回すことはまわす。
が、エンジンがかからなかった。そこにいる整備士の誰しもが
「クランキング時間をながくすればいいんじゃない?」
と口を揃えていった。実際にボクもそう思った。が、その先輩整備士は思わぬ行動を取ったのだ。エンジンの
基本診断である、コイルを外してダミープラグをつける。プラグをアースさせてエンジンスターターでクランキング
させてみたのだ。そしてこういった
「火がすごく弱い」
と。思っても見ない先輩の行動に他の先輩が口を出す。
「バッテリーがないんじゃないの?」
しかし大先輩はブースターをつないだ状態でもエンジンスターターを始動させて試したといっていた。
先輩同士がなんだか口論になりそうだったので、僕が車両をちょっと点検してみた。
そうしたら原因が一発で分った。
他の先輩はバッテリーがないという。車両を診断している先輩は火が弱いという。
答えは後者だ。火が飛ぶはずがないとぼくは確信した。それはなぜかというと
、エンジンスターターでクランキングをしているときにメーターパネルがまったく点いていない。
つまりセルモーターだけから回しされている状態だということ。
ここまできて、エンジンがかからない理由が分らない人はいないでしょう。
つまり、エンジンスターターでセルモーターまではまわしているけれど、
何故かイグニッションがONになっていない。
これじゃ火が飛ぶはずがない。
大先輩もメーターパネルまでは確認していなかったらしい。
エンジンスターターの本体を取り出してカプラーをつなぎなおすと、
ATのシフトポジション検知の音がなりだしたので、ATのシフト再設定をしてあげた。
それでエンジンスターターを使うと、エンジンがかかったのである。おそらく本体が駄目になりかけているのか、
カプラーの甘噛みかな。いずれにしろ、ビックリしたのが大先輩のエンジンスターターを使っての点火点検だった。
でもそれをしてくれたおかげですぐに原因がわかった。基本点検は大切だなと思いました
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。