車のエンジンがからいつもと違う音がする。よく考えてみると、いつもより調子も悪い・・。昨日まではなんでもなかったのに、ある日突然エンジンから変な音がする。
エンジンからの変な音を「異音」と呼びます。このエンジンの異音は様々な原因でいろんな異音を発生させます。
ここでは、エンジンからの異音を種類別に原因と対策・修理費用などを見ていきたいと思います。
寒い日の朝、エンジンをかけた瞬間
「キュルキュルキュルキュル」
という音がする。この原因はなんなのか?これは車のファンベルトが鳴いてる通称「ベルト鳴き」が発生している音です。
キュルキュルという音はファンベルトがスリップしている音で、原因は主に4つ考えられます。
・ベルトの張りが弱い
・ベルト自体の弾力性がなくなっている
・ベルトをかけているプーリーの溝が減っている
・ベルトに張力を与えてるテンショナーが壊れている
キュルキュルというベルト鳴きは、ファンベルトを新品に交換すればある程度は治ります。もししばらくして再発するようだったら、プーリーの溝が減っていたり、テンショナーが壊れている可能性もあります。
まずはベルトを新品に変えてみて様子を見る。治らなければプーリーやオートテンショナなどを交換するといった順番が最適です。
ファンベルトの交換費用はおおよそ3000円〜15000円程度です。プーリーやオートテンショナも交換するとなると、3万円〜6万円くらいかかります。
ファンベルトは今の車の主流は1本長いベルトで、オルタネーター、エアコン、パワステなど全てを駆動するタイプです。しかし中にはオルタネーターとエアコンを分けてるメーカーもあります。ベルト鳴きが発生したら基本的に全部のベルトを交換する方がいいです。
もし、なかなか整備工場にいれる暇がない場合、ベルトの鳴きどめスプレーをつかう方法もあります。鳴きどめスプレーの効果は絶大で、ピタッとキュルキュル音は止まります。
ただ、すぐに再発するので定期的にベルトにスプレーしないといけません。
寒い朝のエンジンかけはじめキュルキュル音の他に
・エアコンを入れた時キュルキュル音
・ライトをつけた時キュルキュル音
これらも同じベルト鳴きが原因です。
エンジンをかけるといつもよりボボボボ音が大きい・・。
このボボボボ音の原因はマフラーです。エンジンは燃焼してエネルギーを発生させた後ガスを排気します。この排気管がマフラーなんですが、マフラーは金属製なので次第に錆びていきます。
長年使っていると、穴が開いて排気音が大きくなる。これがボボボボ音の正体です。マフラーの穴が小さい時は音も小さいです。穴が大きくなるにつれ音も大きくなります。
そしてエンジンの回転数が上がれば上がるほど音も大きくなる性質を持っています。
初期の穴だったら溶接修理をしてもらえますが、錆が進行すると溶接ができなくなるので交換しないといけません。
それともう一つボボボボ音の原因として、エンジンが失火してる可能性もあります。3気筒エンジンなのに1気筒死んでるような状態だとエンジンが吹けなくてボボボボ音を発生させます。
見極め方は、エンジンが吹けるかどうか。きれいに吹き上がらなければマフラーからの異音ではなくてエンジンが失火してるかもしれません。プラグを交換したりイグニッションコイルの交換。さらにはプラグコードの交換といった修理が必要です。
失火してる場合の修理代は3000円〜5万円くらいかかります。多気筒エンジンほど修理代がかさみます。
話を戻して、マフラーからのボボボボ音の修理代は溶接で済めば5000円程度。マフラーを交換しないといけなくなると25000円〜10万円くらいかかってきます。触媒が付いている部分に穴があくと、部品代がめちゃくちゃ高いです。
エンジンをかけると、たまーにカラカラ音がする・・。
これも結構多い症例です。カラカラ音の原因は主に2つです。
一つ目がマフラー内部から発生している。マフラーの遮熱板が錆びて振動を拾ってカラカラ音がする。
あとはエンジンの補機類のベアリング類からの音。補機類というのは発電をしてるオルタネーター、パワステのポンプ、エアコンのコンプレッサーなどのこと。
これら補機類のベアリングからもたまにカラカラという音がなったりします。
マフラーから発生している場合、遮熱板からの異音だったら溶接修理で直せます。内部からカラカラ音が出てきていたら交換するしかありません。
補機類のベアリングも、非分解方式の場合リビルト品に交換しないといけないので費用がかさみます。
カラカラ音を直すには5000円〜10万円程度です。エアコンコンプレッサーからの異音だとすると10万コースです。
エンジンをかけたらキーンという甲高い音がする・・。このキーン音の原因はなんなのか?
これはウォーターポンプからの異音です。
ウォーターポンプは読んで字のごとく、エンジンのクーラントを各部へ圧送するポンプです。ここのベアリング部分にがたつきがあったり、メカニカルシールに問題があるとキーンという音が発生します。
ウォーターポンプの交換はタイミングベルトを使ってる車だと、タイミングベルトを外さないと交換ができないエンジンが多い。なので修理費用は結構かかります。
エンジンをかけたらキーン音の修理費用は15000円〜8万円程度かかってきます。
エンジンをかけたらゴーという音がする。
このゴーという音は結構大きな音で、ちょっとまずいんじゃない?という印象を与えてきます。原因は何か?
これは各ベアリングからの異音です。代表的なのはオルタネーターのベアリング。ファンベルトでエンジンの回転をオルタネーターに伝えていますが、このローラー部分のベアリングにがたつきなどがあり、ゴー音を発生している。
見極め方はベルトを1ずつ外していく方法やサウンドスコープで直に音を聞いていく方法があります。
長尺ドライバーなどを耳にあてて聞き取るのもいいんですが、ピンポイントで聞き分けるにはサウンドスコープが一番です。
ベアリングだけで交換できるタイプならいいんですが、そうでないとリビルト品などへ交換する必要が出てきます。
エンジンをかけるとゴー音の修理費用は1万円〜5万円程度になってきます。
エンジンが振動してガタガタ音がする。これは2種類に分けられます。単純にエンジンをボディに結合しているエンジンマウントというゴム部品が劣化してしまっているケース。
それと、エンジン自体が失火やアイドリング不調を起こして正常に動いてない。アイドリングが不安定すぎるということ。
エンジンマウントの交換は15000円〜4万円程度かかります。ダイハツのエンジンマウントは保証延長がかかってるのもありますし、デミオのものはよく壊れます。
アイドリングが不調を起こしている場合は考えられるのが、失火なのかそれともISCVなどの不良なのか?失火の修理は3000円〜5万円くらいです。ISCVの交換などになると3万円くらいの修理代がかかってきます。
エンジンが暖気中カチャカチャ音が大きい。
この原因はなにか?これはいわゆるバルブクリアランスが大きくなってる場合です。昔ながらの手でロッカーアームを調整できるエンジンだと、クリアランス調整をすることができます。
が、油圧でラッシュアジャスタを使ってるタイプだと、ラッシュアジャスタを交換しないと完治しません。しかもバルブの数だけラッシュアジャスタは使われているのがほとんどで、4気筒エンジンのDOHCだと16個。ラッシュアジャスタは1つ3000円〜5000円くらいします。
それが16個。工賃も相当かかります。
バルブクリアランス調整ができる車であれば、修理代は1万円くらいです。ラッシュアジャスタを使ってる場合修理費用は10万円を超えるでしょう。
オイル添加剤などを使って抑える方法もあります。
ラッシュアジャスタを交換するのはちょっと現実的じゃないかも・・。
そして最後です。エンジンをかけたらガラガラ音がする。
これは即決。エンジン内部がダメです。いわゆるエンジンが壊れる寸前の異音。
それがエンジンをかけたらガラガラ音です。ガラガラ音が出始めてしまったら、修理する方法はエンジンを載せ替えてしまうというのが現代の主流。
エンジンかけたらガラガラ音の修理代は中古エンジンをつかえば10万円〜50万円。車によっては100万円を超えるケースも考えられます。
エンジンからの音を症状別に考えてみました。
エンジンというのは車の中で一番高い部品になります。その一部だけを修理できる場合と、内部がダメになることで、載せ替えないといけなくなるなど費用は雲泥の差です。
エンジンを長持ちさせるにはもうオイル交換が基本です。メーカー指定のオイル交換時期もいいんですが、それよりも若干早いスパンで交換することを推奨します。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。