いや、今日はちょっと意外なものを発見してしまったので、注意喚起を含めて記事にします。
何かというと、日産のE12という型式のノート。これのバックドアが開かないという相談を受けました。最終的にその原因を突き止めたとき、驚いたのは構造が悪いんじゃないのって。
どのノートでも起こりえる可能性があったため、お伝えします。
順番に書いていくと、症状はどうだったか?
このノートはインテリジェントキー搭載車でした。バックドアを開くにはインテリジェントキーやバックドアのアンロックスイッチを押して、ロックを解除する。
バックドアの開閉は、普通のワイヤー式アウターハンドルを使っています。
症状は、オーナー曰く
「後ろからゴロゴロ音がしたりしたかと思ったら、開かなくなった」
というものです。
入庫した時はきちんと症状もでていました。インテリジェントキーでロックの開閉をすると、バックドアのドアロックアクチュエーターが作動する音が聞こえます。
そして、ちゃんとロックもかかっているし解除もしている。
しかし、アウターハンドルを開こうとすると、ドアロックとストライカーに何かが挟まっているような感じで、半ドア状態になるけど完全に開けられない。
何度試してもダメなので、車内からバックドアを開けることにしました。
目次
室内からバックドア内張をはがして、バックドアを開ける
室内からバックドアの内張をはがして、強制的に手動で開けることにしました。
バックドアロックが壊れたときのサービスホールが開いていますが、今回はドアロックの施錠・解錠は出来ているので原因は違うところにある。
バックドアのドアロックに何かが噛みこんでいるようなのです。
内張をはがすのは簡単です。全てクリップなので、手で引っ張れば外れます。
それでは原因究明に入ります。
ドアロックアクチュエーターはやはりきちんと作動しています。
バックドアのアウターハンドルを内側から手で操作。ワイヤーでドアロックにまでつながっています。
ワイヤーが切れているとか引ききれていないという状況でもなさそうです。
きちんとドアロック側でワイヤーの動きを追従しています。
では問題はどこにあるのか?
バックドアのアウターハンドルを操作すると、ワイヤーが引っ張られて、ドアロック側のリンクを動かします。
しかし最終段階で何かが引っかかる。写真中央に見える一番奥の四角い突起部分をドライバーで動かしてやると、バックドアはようやく開きました。
どうやらあそこが最終的にストライカーから切り離すリンクのようです。
バックドアを開けたら奇妙なものが落ちてきた?
バックドアを室内から開けることに成功しました。ドアロックに何かが噛みこんでいたのか?
と、ストライカーに噛みこむものがないかを点検。
ドライバーをストライカーに見立てて、動作確認しましたが問題なく動きます。
どういうことなのか?この時点でバックドアロックASSYを車体から外して点検をしようと思ったら、思わぬものが落ちてきました。
え?何これ?
バックドアの内張から降ってきたんです。え?
???例えるのならガレージジャッキのあてゴムみたいな部品なんです。結構重さもあって、ダンパーになっているのか?
ここでピーンとひらめきました。そういえばオーナーがバックドアからゴロゴロ音がしたって言っていた。
もしかしてこいつが挟まっていたのか?
では一体これはどこからやってきたのか?
部品がどこにあったのか?点検すると怪しいところが。
リヤワイパーモーターがとりついているすぐ横にいかにも不自然なビスとゴムの棒状のものがあります。
ここにあてがってみると、ぴったり。どうやらこのゴムの物体はここにあったもののようです。
最終結論を書くと、このゴムの部品が経年劣化でもげて、落下。真下のバックドアロックASSYに挟まってしまった。
それが理由でバックドアのドアロックがゴムが挟まって、物理的に動けなくなって開かなくなった。
これで合点がいきました。
しかしこの部品はなんなんだろうか?
部品展開図を取り寄せてみた。
ここには載ってませんね。これは整備書の部品掲載図。
ではパーツリストはどうだ?と同様に取り寄せたらありました。
90870Pという部品です。
何という部品なのかというと、そのまんまです。
ダンパーアッセンブリバックドア。ちなみに1740円。
これが存在している理由がイマイチわかりませんでした。振動防止なのか、バックドアを閉めたときにクッションになっているものなのか?
でも取りついている部分には相当なクリアランスがあるので、バックドアパネルが開閉時に少したわんだとしても干渉しないような気がしますけど。
おそらくは開閉時に内部の干渉を抑えるパーツなんでしょうか。ちなみに板金の調整書を見ても記載はなかったです。
ノートのバックドアが開かないというトラブルは結構あるようで、一番はバックドアのヒンジ部の配線切れが多いようです。
配線が切れていると、ロックとアンロックが効かなくなります。今回僕が対応した症状は、ロックとアンロックは正常に動きました。
そこから先のアウターハンドルで開かないというものです。ドアロックとストライカー部の動きに問題があったわけ。
それにしても、部品がある位置が良くない。ドアロックの真上です。あんな重量物が途中でもげたらそりゃドアロックアクチュエーターに挟まりますよ。
エンジンマウントみたいにゴムでつながっていますが、もげたらもれなく脱落する構造になっています。
もし、ノートでバックドアが開かないという人は、ここも疑ってください。走行中にゴロゴロ音がしたらもげていると思います。経年劣化でこの故障は増えるのではないかなと。
ちなみにこの車両は新車から乗っていて、走行は6万キロほど。板金歴は一切ありません。純粋な経年劣化です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。