久しぶりにこれはあんまりだなという出来事がありましたので紹介します。
とあるお客さんの車検を引き受けて、その結末がひどかった。最終的には土壇場で身勝手なキャンセルをされてしまったということになります。
このお客さんは、最近うちの工場整備をするようになった人で、シルバーで働く高齢者です。
車検の予約を受けて当日概算見積書を渡して、代車と引き換えに車を預かりました。
お客さんの要望はとにかくお金をかけたくない！ということの一点張りでした。
そのため、スタートは下回りの洗浄塗装はなしです。オイル交換なども前に点検をやった時に交換してもらったからいいということでした。
車両を受け入れして、各部を点検すると明確に車検に通らない箇所と、修理をしたほうがいい箇所がありました。
車検が通らない部位としてタイヤです。4本とも1.6mmの残り溝が全くない状態です。そして対ロッドエンドブーツが左右切れていました。ロアアームのボールジョイントブーツも切れています。
あと何故かウォッシャーノズルがなくなっていたので、それは取り付けないといけない。
最低限ここまでは手を入れないとダメです。
車検には通るけどやったほうがいい部分はフロントブレーキ。ブレーキパッドは3mmまで減ってきていて、ブレーキローターもかなり真っ赤かに錆びています。
おそらく修正研磨はできないだろうなというほどの錆びっぷり。その辺りを
その他やったほうがいいところは、エンジンオイルがやっぱり交換時期に達しているということ。ブレーキフルードも車検ごとに交換を推奨。
ワイパーゴムも端っこが切れてきてる・・・。
オルタネーターベルトとパワステベルトもヒビが大・・・。エアクリーナーも詰まっている・・・。
走行距離が7万キロだったので、いわゆる消耗品の交換タイミングが重なっている状態でした。
タイヤ4本、フロントブレーキパッドとローター、補機駆動ベルト、足廻りのブーツ類・・・。
概算見積もりで計算していくと車検費用などを込み込みで18万円ほどになっていました。
見積もりは3パターン。しっかり整備コース、ほどほどコース、車検だけ通ればいいコース。
いつもこういう3パターンを用意します。
目次
お客さんに車の現状を伝えたら激怒
3パターンの概算見積もりを作って、お客さんに電話しました。
現状の車の状態を伝えて、全部やると18万円くらいかかること。そして、車検だけ通ればいいというのであれば、8万円くらいでなんとかなるということ。
ただタイヤはどうやってもダメなので、スタッドレスタイヤを持ってきてもらえればそれで車検を通すことができるということ。
ある程度最初の接触でリアクションはこうくるだろうなと思っていましたが、やはり激昂して怒りました。
年金暮らしのシルバーが18万なんか出せるわけがない！と。
そのために見積もりを3パターン用意しています。ただ、今回の交換推奨部品っていうのは、いわゆる消耗部品であるということ。車が悪いんじゃなくて、どの車でも距離を走ってくれば交換しないといけない部分だと。
この辺りを丁寧に説明して、どうしますかと問いかけました。
すると、こんなにお金がかかる工場なら車検は取りやめだから車を返せ！と捲し立ててきます。こちらとしても、納得してもらってない状態で作業を進めるわけにもいかないので、車検をやらないならやらないで、車は本日中に返しますと。
そうしたらタイヤはスタッドレスを持っていくから8万円コースでやってくれと。
毎回のことながら、怒りの感情をぶつけられることが多いので、消耗します。
気持ちがわからないでもないですけど、特にぼったくりとかそういうわけじゃなく適正の値段で出しているし、選択肢はお客さんに委ねています。
ようやく落ち着いて8万円コースで話がまとまったので、車検に通らない部分のブーツとウォッシャーノズルなどをオーダーしました。
ブーツは社外部品があるだろうから、それほど時間が掛からなくて安いもので提供できるだろうと。ただウォッシャーノズルは純正新品しかないので、すぐに部品をおさえないと翌日に届かない場合があります。幸い在庫有りで部品をおさえることができました。
そして30分後・・・
またこのお客さんからの着信です。もう嫌な予感しかしないです。スタッドレスタイヤが実はツルツルだったとか、そういう話じゃないだろうな・・と。
今すぐ車を返してくれ！
電話の内容はそれら全てを吹っ飛ばす内容でした。
「他の工場に電話して聞いたらもっと安く車検してもらえるところが見つかったから、車を今すぐ返してくれ！」
と。
あまりに身勝手なことを言い出すので、さすがに僕も驚きを隠せませんでしたが、オーダーした純正部品はキャンセルができないから買い取ってもらわないといけない。
一応部品屋さんにオーダーを止められるか聞いてみるから、車をとりにくるのなら1時間以上してからきてくださいと。車はリフトアップされていたし分解もされていましたから。
案の定部品はキャンセルできませんでした。その結果を電話で伝えようとしたら、もう車を取りにきています。1時間はまってくれって言ったのに・・・。
あまりにも人の話を聞いてくれないので、久しぶりに参りました。キャンセルできなかった部品は意地でも買い取ってもらいましたけど。
全員がそうだとはもちろん言いませんけど、年齢が上がるにつれ人の話を聞いてくれなくなるように感じます。
ということで、先週にあった嫌なやりとりでした。この車だって2年ほど前にどこかで中古を買ってきたらしいんですよね。車自体は問題ないんです。ただただ消耗部品を交換しないといけないタイミングなだけなのに。
もう接客やフロント業務はAIにやってもらったほうが、感情のぶつけ合いがなくなって業務がスムーズに運べると思う次第です。
純正部品はキャンセルが効かないけど、社外部品はキャンセルを許容してくれるので助かります。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。