Categories: エンジン

ディーゼルエンジンでエンジンがかからない原因

この前、出張でディーゼルエンジン車の診断をしに行ったことがありました。
エンジンがかからないという。現在のコモンレールディーゼルとは違う、噴射ポンプによる
機械式噴射のディーゼルだ。

ディーゼルエンジンって言うのはガソリンエンジンと違って、自然着火方式だ。点火系統をもたないのでエンジントラブルがおきにくい構造だ。

現場へ行って見ると、燃料メーターは一応上がっている。セルモーターを回してみる。
勢いよくセルモーターが回る。タイミングベルト確認用のサービスホールよりセルを回したときにカムが動いているかを見る。問題ない。

グローがいかれているではないかと同僚が言ってきたが、どうもそんな感じでない初爆が全く起きない。
気温だってまだ9月上旬だ。グローじゃない。
とりあえず現場での対処は不可能とし、レッカー車で運んできた。
問題は燃料系だ。噴射タイミングが間違っていても、まったく初爆しないというのが疑問だ。
以前ガソリンエンジンのタイミングベルトのコマとびを経験したが、その時は何週かに一回合うタイミングで初爆だけは起こしていた。

燃料が来ているのか、燃料ラインを確認したら原因が分った。
中に入っているのが違う。これは軽油じゃないぞ。と。原因をオーナーにさりげなく探ってみたら分った。
どうやらこの車は工事現場で使われている車らしい。そこで、軽油をポリタンクに入れて持ち歩いている。
軽油かと思って入れた燃料は水だったということだ。

燃料ラインに水を入れてしまった。ということか。とりあえずラインを全て洗浄してタンクを外し、正規の軽油を何度も何度も差し替えた。しかしエンジンが不調のままなかなか直らない。
水は圧縮できないので、もしかしたら燃焼室に溜まった水がウォーターハンマー現象に近いものを起こしてしまったか?

なんとかエンジンがかかるようになった。それにしてもどうも確信犯的な気もする。僕はガソリンスタンドで働いていたことがあり、燃料の匂いはある程度判別も出来る。この車には日常的に軽油だけではない何かをいれているなと察知した。それを踏まえて現場での誤給油が起きたのだろう。
軽油の変わりに燃料になるのはケロシンだ。しかしそれを行うと不法行為に値する。
車には何の罪もない。同様のことをすると今度はエンジンが壊れますよと念を押しておいた。

Recent Posts