先日エンジンから変な音がする。ということで入庫してきた車があります。音を聞いてみたら、負荷をかけた時に打音がしています。
負荷をかけた時に打音というのは、どういう音か?
例えば、アクセルをガッと踏み込んだ時。坂道などでアクセルを踏み込んで加速しようとした時など。エンジンに急加速を求めようとすると、負荷がかかります。
負荷をかけたときに、エンジンから
「ガラガラガラ」
「ダッダッダッ」
というような音が聞こえ来るのは要注意です。エンジンのノッキング音ではなく、打ち付けるような音はどのような原因か?
目次
エンジンの打音はメタル損傷の合図
こちらのエンジンは、実際に打音が出ていたエンジンです。
途中でいきなりパワーがなくなって、停止してしまったものです。
音の原因はこちらです。
コンロッドベアリングがこの状態。
コンロッドベアリングは、クランクシャフトとコンロッドをつないでいるベアリングです。ここには潤滑用のオイル供給穴があり、高速回転するクランクシャフトとコンロッドの軸を潤滑しています。
メタルが損傷すると、このようにオイル通路の穴もつぶれてしまい、さらにはシャフトとロッドのクリアランスも変化します。
通常コンロッドベアリングとクランクシャフトのメインベアリングは、相当精密なクリアランスを要求してくる部位です。
隙間がズレるという事は、エンジンにとって深刻な問題です。
結果、エンジンが高速回転中にコンロッドが破断することもあります。
相当なスピードで動いているコンロッドが、クランクシャフトから離れてしまうと勢い余ってエンジン内部から突き破ってしまう。
エンジンの打音は車両火災の黄信号
エンジンから打音やガラガラ音が発生してくるのは、怖い話車両火災への黄色信号になります。
自動車メーカーはそれを危険として、注意喚起を促しています。
しかしながら、この手の音が発生すると修理代が高額になるのが現実です。打音がでてきたエンジンを実際に修理した人は数える人しかいません。
打音が出ていると、コンロッドやクランクシャフトが損傷していることもあり、リビルトエンジンに載せ替えるほうが安上がりになるほどです。
それでも車種によっては20万円くらいからかかってくるので、金額を聞いたら乗り換えを検討する人が殆どです。
オイル交換を普通にしていれば異音は出ない
普通にエンジンオイルを交換さえしていれば、打音や異音って発生しません。
発生してくるのは、エンジン側に問題があります。製品不良だったり、何かしら最初からトラブルを抱えているという場合です。
例えば走行距離が20万キロを超えてきたら、エンジンから異音がでるのかというと、異音という部類には入りませんが音は大きくなってきます。
それは、ヘッド回りのメカニカルノイズだったり、油圧が立ち上がるまでのラッシュアジャスタの音だったりです。
エンジン腰下からガラガラ音が出てくるということは、普通に使ってオイル交換をしている限り20万キロになったとしても出てきません。
エンジンから打音やガラガラ音が出てくるという事は、車両火災への黄色信号ということを覚えておいてください。異音が発生したエンジンは根本的に修理をしない限りは直りません。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。