ダイハツもリコールを出して、その規模たるや1100万台にも上ると言われている燃料ポンプのリコール。
トヨタもホンダも同様のリコールを出していますが、根底にあるのは同じメーカーの不良燃料ポンプです。
ダイハツ車も100万台規模に膨れ上がっています。
どのような不具合がでるか?
燃料ポンプのインペラ(樹脂製羽根車)において、成形条件が不適切なため、樹脂密度が低くなって、燃料により膨潤して変形することがあります。そのため、インペラがポンプケースと接触して燃料ポンプが作動不良となり、最悪の場合、走行中エンストに至るおそれがあります。
ダイハツHPより引用
燃料ポンプが停止すると、エンジンが止まることは容易に想像できます。
しかし、実は重篤なケースが出ることだって考えられるんです。
リコールの文章には
「最悪の場合、走行中エンストに至るおそれ」
このように表現をしていますが、エンストはエンストでも、最悪のパターンはエンジンブローに至る危険性があります。
燃料の供給がストップすることで、エンジンが停止するという事はわかりやすいことですが、エンジン本体が壊れてしまうのは何故か?
ガソリンエンジンは、ガソリンを燃やすだけの役割ではなく、冷却要素としても使っているからです。
ガソリンを噴射することで、ピストンやシリンダーの放熱もしているからです。
燃焼して爆発させるのとは相反しているところもありますが、ガソリンが切れるとエンジンがヒートしてピストントップに穴があいてしまうことがあります。
レーシングカーなどは、燃調をきちんと取って通常よりも薄いセッティングにしてあります。もちろんハイパワーを絞り出すために、燃料ポンプは大容量のもの。
インジェクターは噴射量の多いものに交換してあります。
空燃比をセットする時に、燃料を薄くすればその方がパワーが出る。しかし、行き過ぎるとエンジンが壊れてしまうんです。
燃料ポンプが壊れるという事は、エンジンが止まるではなくて壊れるケースも出てくるという事。
今回のリコールを受けて、エンジンが破損する可能性のあるシチュエーションを考えてみました。
普通の街乗りなどではなく、真夏の高速道路で登坂車線を全開走行中。
趣味のサーキットランを全開で行っている時。
エンジンの発熱も負荷も相当大きい時、まさかの燃料ポンプが停止したら、冷却が追い付かずにピストンが溶けてしまう危険がゼロではないというわけです。
リコールの文章ではエンジンが停止する恐れという記述になっていますが、その停止の中には故障してしまい、止まってしまうという意味合いも含まれているという事です。
リコール部品は燃料ポンプなので、もし走行中にピストンが溶けてしまったら、それは保証外にする可能性も考えられますよね。
街乗りやら高速走行などでは、通常の使い道だから保証にするかもしれないけど。サーキットなど自己責任の使い方をしている時に、まさかのポンプトラブルが怖い。
もしかしたらサーキット走行との因果関係にされて、保証外にされてしまうかもしれません。
高速道路を頻繁に走る人や、サーキットなどを走る人は燃料ポンプのリコールは早めに受けておいた方が安全です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。