この前ですが、急にクラッチが切れなくなったという相談をうけました。
その車は走行距離が5万キロ足らずで、ちょっと前に車検をやった時はクラッチが滑るなどと言ったことは全くありませんでした。
マニュアル車のクラッチですが、使い方によっては寿命が大きく変わります。
半クラッチの使い方次第で、20万キロもたせられる人もいれば、わずか100kmで滑らせてしまう人もいるんです。これは実話です。
今回紹介する車はハイゼットトラックです。
急にクラッチが切れなくなった原因は何か?
マニュアル車でクラッチが切れなくなる原因は主に二つあります。
クラッチレリーズの不具合(ワイヤやシリンダー)とクラッチ本体の不良です。
たとえばこのハイゼットになると、クラッチペダルとミッションのレリーズフォークはワイヤーで繋がっています。
このワイヤーが切れたり伸びたりしてしまうと、ペダルを踏んでもスカスカになってクラッチは切れません。
油圧式の場合は、クラッチペダルにクラッチマスターシリンダーがついていて、ここの油圧をミッションのレリーズシリンダーへパスカルの原理で油圧を伝えています。
マスターシリンダーやレリーズシリンダーに問題があったり、フルードが漏れたりしてしまえば切れなくなります。
これはクラッチの使い方云々というよりは、定期消耗部品の類ですね。誰が使ってても起こり得ます。
今回はワイヤーは問題なかったので、ミッション内部だと判断しておろしてみました。
すると構成部品の中に金属片が入っていました。
この鉄のかけらはどこの部品のものかなと見ていきました。
レリーズフォークにはさほど損傷などはありません。
ベアリングもバラバラになることがありますけど、まだ大丈夫そうです。
問題はクラッチディスクでした。スプリングの部分をよくみると割れてきているのがわかります。
ディスクの残量はまだ残っていますけど、こうなってくるとクラッチが切れなくなってきます。
たまにこのスプリングが脱落してしまってる車もあります。
クラッチって、長距離走った方が当然長持ちします。
それは常に繋がりっぱなしだから。これが、切ったり繋いだりを繰り返すとベアリング、カバー、ディスクそれぞれに負担がかかります。
短距離走行ばかりを繰り返していると、一連の半クラッチ動作が増えてくるので、中の部品にはきびしのかなと。
それでも10万キロくらいは持ってくれるのが多いんですけど。たまにこういう故障も見かけます。
古くなってきたら一度オーバーホールするのがいいと思います。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。