MHO ENGINEERING

先週ネットで盛り上がったネタです。

「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」

昨今のゲリラ豪雪によって、各地で雪が原因で大混乱してしまったことを受けて国交相がなんとかせねば！と考えついたものです。

この内容をメディアがこぞって取り上げました。問題とされているのが、スタッドレスタイヤを装着していようがなかろうがチェーンを巻け！ということ。

国交相のプレスリリースを引用すると

１．改正の背景 ・ 大雪時における道路交通の確保を図ることを目的として、本年１１月１日に国土交 通省で開催された第４回冬期道路交通確保対策検討委員会で、大雪時の道路交通の確 保のためにいわゆるチェーン規制を実施すべき旨が示されたことを踏まえ、道路標識、 区画線及び道路標示に関する命令（昭和３５年総理府令・建設省令第３号）の改正を 行うことを予定しております。 ・ 大雨等に伴う道路の保全や交通の危険の防止のために一時的に通行の禁止又は制限 を行う場合等において、可変式の道路標識を活用するニーズは高まっております。ま た、近年のＬＥＤを用いた電光表示は、表示できる画像の色彩や精度が向上し、多彩 な表現で分かりやすく画像を表示することが可能なことから、大雨等の発生に合わせ て電光表示により速やかに道路標識を表示できるよう、同命令の改正を行うことを予 定しております。

２．改正の概要 （１）「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の規制標識の新設 タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止する意味を表示する規制標識 を新設することとします。

 

これを読み解く限りではチェーンをつけていないと通行止めの標識ができあがるということですね。

運転のプロであるドライバーさんたちは、チェーンを巻くことなど毎シーズン遭遇するかもしれません。ただ一般ユーザーがこれにきちんと対応できるかどうかが焦点になります。

そもそも、チェーン巻いたことありますか？

僕も１０数年以上自動車業界で働いていますが、チェーンを巻かないといけない状況になったことって数えるほどしかありません。

それはどんな時か？お得意の会社のトラックを車検で預かる時です。このトラックはノーマルタイヤしか持っていなくて冬は使わないんです。だけど、車検は真冬。しかも山のど真ん中。

引き取りに行く時って大体が雪まみれなのです。しょうがないから軒先でチェーンを巻かせてもらって引き上げる。

しかもWタイヤなのでチェーンを巻きなれない人間にはなかなか難しい・・。

チェーンの爪はタイヤの外側にむくように巻きます。反対側に巻くとタイヤを傷つけてしまいます。チェーンの種類にもよるんでしょうけどね。

ノーマルタイヤのFRトラックをこの山道から引き上げてくる。

しかも空荷なのでチェーンを巻かないと１０m進むことすらできない。

この車を引き上げる時くらいしかチェーンを巻かない。プライベートでは一度も巻いたことありませんし、自前では持ってません。

僕が住んでいる地域もたまに結構な雪が積もります。それでも４０cmくらいですけど。長野の街中では１０cm〜２０cmくらいの積雪がたくさん降って、たまに４０cmクラスの大雪が降ったりします。

当然みんな総出で雪かきをしますので、車が通る道路や生活道路などは除雪します。実際に４０cm積もった道路を車で走れっていわれると非常に厳しいですよね。

きちんとしたスタッドレスタイヤを履いて、4WDでない限りは一度止まってしまえばスタックする可能性があります。雪国の人はそういうことが知識として普通に持っているし、すぐに雪かきをします。なので大渋滞とかそういうことにはならないです。

話を戻してチェーンを巻かないと通れない標識が出来上がると、いろいろと混乱が起こる可能性もありますよね。

プロのドライバーなら感覚でこの程度の雪であれば大丈夫だという判断が下せます。プロドライバーがきちんとスタッドレスタイヤを装着して大丈夫だと思っていても、この標識が出現すればチェーンを巻かないといけない。結構手間です。

逆に、チェーンが巻けない一般ユーザーが遭遇したらその時点でアウトです。チェーンを持ってない可能性もあるし。

もしこのチェーン標識を新設するのであれば、新車の車載工具にはタイヤチェーンだってあったほうがいいですよね。万が一っていうときにチェーンがきちんと車にある安心感です。

いずれにしろ毎年のように雪でスタックするというニュースが年始にかけて流れますが、そのほとんどがノーマルタイヤですからね。

つまり本来雪があまり降らない地域にたまーにゲリラ的に降る。備えをしていないユーザーたちがスタックするということがほとんどです。

雪国に住んでいる僕は、暖かい地方へ引っ越しても多分スタッドレスタイヤって常備しておくと思うな。もうそれが当たり前として生活の中に溶け込んでいますから。