ここのところ、続発しているのでちょっと書いてみたいと思います。最初に結論を書いておくと、タイミングチェーンを使っているエンジンのオイル交換で、最悪の場合コマとびを起こしてエンジンが不調になるというものです。
どういうことか?国産車でそのようなケースには遭遇したことがないんですけど、外国車にはままある症状です。僕も3,4件ほど遭遇しました。VWとMINIでした。
以下、詳しく書いていきます。
まずタイミングチェーンは何をするものなのか?というと、タイミングベルトの代わりに採用されて、金属製のチェーンでカムシャフトとクランクシャフトをつなぎ、バルブタイミングをつかさどってる部品です。
カムとクランクの回転にズレが生じるとバルブタイミングがくるってしまい、極端な話圧縮工程でもバルブが開いていたり、吸入や排気行程でバルブが閉じてしまったりするということ。
こうなると、エンジンが正常に可動できなくなるので、まともに走れなくなります。最悪な場合ピストンとバルブが干渉してエンジン本体が壊れてしまう。
ではオイル交換とこのタイミングのずれの関係はなにか?
こちらは国産のエンジンですが、オレンジ色のバーが見えると思います。あれはタイミングチェーンガイド。その右側に四角い部品があります。
あの部品がチェーンテンショナです。
タイミングチェーンはチェーンテンショナでたるんでいるチェーンを張っているんです。
そしてそのテンショナを動かしているのがエンジンオイルの油圧。
スズキのK6Aなどわかりやすいですが、朝一発目のエンジン始動時にガラガラガラって音がするのあります。これは油圧が上がらないので、タイミングチェーン付近から音がでています。
もちろんエンジンが動き出して、油圧がかかれば音がとまります。
問題は外国車です。外国車のエンジンで、同じようにエンジンの油圧をつかってチェーンを張っているエンジン。
オイルを交換してしばらくしたらいきなりエンジン不調になる事があるんです。
これまでの統計をとって推測してみると、外車のエンジンの中にタイミングチェーンに問題をかかえているものがあります。
ようするにチェーンの素材が良くなくて、比較的伸びやすいもの。
いつも通りの使い方なら、チェーンテンショナが張りを与えて、チェーンのずれを補正しているんです。
しかし、オイル交換をするとどうなるか?いきなり粘度が変わったオイルを入れたりすると、朝一の始動時に油圧が立ち上がるまで時間がかかります。
その油圧の立ち上がりの間に伸びてきたタイミングチェーンのコマとびが生じてしまうというもの。
これはオイル交換後のタイミングでおこることがあります。オイル交換をしてもらったのにどういうことだ!となるわけで、ほとんど悪いタイミングが重なって引き起こされたトラブルです。
おそらくオイルを交換しなければコマとびをしないかもしれません。しかし、確率は高くなりますというのはディーラーの弁。
問題のエンジンは単純にタイミングチェーンが伸びるものもあれば、チェーンテンショナのテンションが弱くなる2パターンあります。
チェーンの交換は若干手間ですが、チェーンテンショナならさほど手間がかからないで交換ができる車があります。
とりあえず、チェーンテンショナだけでも交換しておくのがベストの車があります。MINIとかがそうですね。
VWの場合は、チェーンがやはり伸びてくるようなので、時期を見計らって交換してしまうのがベストです。
今供給されているチェーンは耐久性の問題はクリアしているということなので、伸びるチェーンよりさっさと交換してしまうほうがいいです。
町工場などでオイル交換を依頼すると、オイル交換のタイミングでコマとびをすることがままありますので気を付けてください。
その時に純正オイルを入れていたら、もしかしたらしのいでいるのかもしれません。この辺りは机上の空論っていうものになってしまいますけど。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。