自動車メーカーのメンテナンスノートには、その車に対するメンテナンス基準が書いてあります。
具体的には、エンジンオイルやミッションオイルなど油脂類の交換時期。そしてオーバーホールが必要な部位に関しては、どの程度の期間を目途にするのかの記載があります。
ことエンジンオイルに関しては、長寿命化されてきています。昭和は3000kmで交換をしていた人が多かったです。
平成の終わりには低粘度オイルが出てきたり、メーカー純正オイルも化学合成油になったりしてロングライフ化されてきました。
国産の乗用車なら1年15000km。外国車に至っては25000kmオーバーのものもあるくらいです。しかし、今回はメーカー指定の交換距離をうのみにして故障したケースを紹介。
目次
メーカー指定オイル交換で行っていたらエンジンブロー
この排出されたオイルを見てどう思いますか?
金色ですよね?エンジンが末期症状の場合、このようにとてもキラキラしたオイルが出てくることがあります。
もちろん、エンジンはすでにガラガラ音がしています。
こちらははがしたオイルパンの中身です。鉄粉だらけ。メタルが損傷しているのがよくわかります。
ストレーナーからは大きなメタルのかけらがでてきます。
メーカーが指定している距離で交換をしていたとしても、エンジンが駄目になる事があります。普通に潤滑不足に陥り、メタルが損傷してエンジンが駄目になる。
こんなケースを今ままで何度も目撃してきました。
オイル交換の時期はちゃんとメーカー指定のスパンで行われていたんですけどね。
油圧で動くソレノイドバルブが詰まり、エンジン不調に
今ではほとんどの車に採用されている可変バルブタイミング。これを制御しているのがVVTと呼ばれるアクチュエーターと油圧で通路を変えているソレノイドバルブです。
エンジンオイルの油圧でVVTに送る油路を変えています。
オイル交換をさぼっていると、このソレノイドバルブがスムーズに動かなくなります。下手したら途中でスラッジのせいで引っかかって、ものすごくエンジンが不調になる事があるんです。
普段はカムシャフトが位相していないといけない時に、ひっかかって固定してしまう。
するとバルブタイミングがズレてしまいますので、タイミングチェーンがやベルトがズレているのと同じ状態に陥ります。
タイミングチェーンがズレてエンジン不調に
外国車のエンジンオイル交換時期は国産のそれよりも長いです。
そんなに長く使って大丈夫なの?ってこっちも心配になるほどです。もちろんその間オイル消費はするので、規定量以下になるようなら補充をしなさいという指示があります。
しかし、果たしてそれで大丈夫なのか?
よくある故障が、タイミングチェーンのずれを誘発させてしまいます。チェーンテンショナを油圧で動かしているので、オイル交換をさぼると油圧が正常にかからなくなることがあります。
スラッジが堆積してくると、動かないといけないアクチュエーターの動きが渋くなる。
それが原因で正規の張りを与えられなくなり、走行中にタイミングチェーンがズレるというもの。
この症状も何台も見てきました。
エンジンチェックランプが点灯して、いきなりエンジンが不調になります。タイミングを確認するとなんとずれている・・。
チェーンが伸びたり、チェーンがコマズレを起こしたり。
この辺りはエンジンオイルの影響が非常に大きなところです。
エンジンオイル交換はメーカー指定距離よりも早めに推奨
ではメーカー指定のオイル交換時期って何のためにあるのか?
メーカーでは壊れないであろう安全マージンをとっているのかもしれません。ですが実際に壊れる事があります。
オイル交換ってどの位ですれば壊れないの?と聞かれると、NAエンジンなら半年または5000kmくらいまでにしておいたほうがいいと思います。
もちろん軽自動車などでシビアコンディションになる場合はもっと早めでもいい位です。
環境問題などで早めの交換は環境に悪いって言われるようにもなりましたが、そもそもエンジンが壊れたほうがよっぽど環境に悪いと思いますけどね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。