車の寿命=エンジンが壊れたとき
このように考える人は少なくないと思います。電気自動車でもない限り車の動力源にエンジンを使用しています。部品で考えるとエンジンは車を構成する部品の中で一番高い部類に入ります。
エンジンが壊れて修理費用が多額になるため、廃車や代替えする人は多いです。
今日はエンジンにスポットを当てて、どうすれば長持ちするのか?エンジンにとって負担がかかることは何なのかを考えてみます。
エンジンのメンテナンス、基本中の基本といえばオイル交換です。これはガソリンエンジンだろうがディーゼルエンジンだろうが同じ。
エンジンは金属同士が高速でこすれあっています。オイルで潤滑をしないとあっという間に焼き付きを起こしてしまう。
オイル交換については、メーカー指定のタイミングを厳守していれば問題は出ないといわれていますが、できればもう少し早めのタイミングで交換することをお勧めします。
メーカー指定のオイル交換だと最長で15000kmくらいまで使うことになります。まだオイル交換のタイミングじゃないなと点検を怠ってしまうのもNG。
オイルは少しずつ量が減っていくもの。もしメーカー指定のタイミングまでにオイル量が減少していることに気が付かないでいると、エンジンに深刻なダメージを与えかねません。
今の新車に充填されているクーラントはスーパークーラントと呼ばれる長寿命タイプの冷却水が入っています。
スーパークーラントであれば、従来のロングライフクーラントよりも交換時期が大幅に延長できます。しかし、スーパークーラントが出始めたころの車に関して言うと、もう交換時期をとっくに過ぎています。
クーラントを交換しないとどうなるか?一番は防錆効果が失われます。不凍効果はある程度持続するために交換しないでずるずると使い続けている人が多いです。
防錆効果が失われたクーラントを使い続けると、ラジエター内部やエンジン内部が当然錆びてきます。冷却系統が錆びてくると目詰まりを起こしてオーバーヒートにつながります。
ラジエターのサブタンクがまだ奇麗だから・・・。というのは危ないです。本当に点検しないといけないのはラジエターの中に入ってるクーラントです。
ラジエターキャップは熱いときに開けてはいけないので、車検時などにクーラントをよく点検してもらって必要であれば交換してもらってください。
オーバーヒートはエンジンに深刻なダメージを及ぼします。
エンジンにとって見逃せないのがドライスタートによる負担です。
ドライスタートって何かというと、しばらく車を使わないでいるとエンジンオイルがオイルパンへ戻ってしまいます。エンジンのカムシャフトやシリンダーなどにまったくオイルが残っていない状態で、エンジンをかけることをドライスタートと言います。
これがエンジンにとってかなりの負担になります。というのもレーシングカーのようなオイルシステムを市販車は使っていません。オイルパンにたまったエンジンオイルをオイルポンプで吸い上げて、各部へ供給します。
エンジンをしばらくかけていないでいると、各部が乾燥しているような状態です。オイルポンプからオイルが吸い上げられてくるまでの間、金属同士でこすれあいます。油膜がない状態でこすれるのでエンジンが摩耗するわけです。
タクシーなどが何故あれだけの長距離を走れるかというと、エンジンを朝一度始動したら、ほぼ止めることなく一日の業務を終えるからです。
エンジンは止めたりかけたりするよりは回しっぱなしにしておいた方がいいんです。
とはいえドライスタートを防ぐ方法は難しいです。本当に価値のある旧車などはエンジンを始動する前にヘッドカバーを開けて各部へ給油。シリンダーへもオイルを垂らして手でエンジンのクランクを回して馴染ませてからスタートさせます。
ここまで普段使いの車に気を遣えないので、お勧めなのがドライスタートを防止してくれるエンジンオイルや添加剤を使って、エンジン内部をコーティングすることもお手軽でお勧めです。
エンジンにとってよくないのがノッキングです。ガソリンエンジン特有の症状でもあるのですが、通常ならスパークプラグで点火して火花を伝播します。
ノッキングはプラグで火花を飛ばすのとは別に、燃焼室内で別に燃焼が起こってしまい互いの力が振動となってノッキングを発生させます。
ノッキングって高性能エンジンだと一歩間違うとエンジンが壊れかねない怖い症状です。これを防ぐには、点火系統のメンテナンスはさることながら、燃料系統もしっかりとメンテナンスをしないといけません。
画像は僕が乗っている車のエンジンの燃焼室です。カーボンがびっちりと溜まっているのがわかります。燃焼室にカーボンが堆積するとノッキングを誘発しやすくなります。
定期的に燃焼室をクリーンにする添加剤を入れることをお勧めします。
ワコーズのフューエル1はガソリン・ディーゼル共に使える評判の高い燃料添加剤です。僕も今自分の車に入れてどの程度燃焼室がきれいになるのか検証しています。
燃料系統のメンテナンスって、こういった添加剤に頼るところが大きいのでしっかりとした商品を選んでください。
僕もさぼりがちになってしまうのですが、オイル交換をしてから次の交換距離に来てないからいいやっていうのが一番危ない。
オイルって前述したとおり、少しずつ燃えたり場合によっては漏れたりして量が減ってきます。レベルゲージの上限と下限の間にあればいいんですが、下限を下回るとオイルが足りなくなって潤滑不足に陥ります。
エンジンオイルの不足はエンジンが壊れたり、下手したら車両火災にもつながります。各自動車メーカーもオイルのメンテナンスはしっかりしてほしいと注意喚起をしています。
オイル交換をさぼっていると、スラッジが溜まってご覧の通りストレーナーがつまります。この状態だとオイルをポンプで吸い出せなくなり、オイルが入っていたとしても油圧が不足して焼き付くことがあります。
潤滑不良でコンロッドが折れたりすることもあります。
オイルが潤滑不良を起こすとベアリング部に傷がついてエンジンから打音が発生します。アクセルを踏み込んで負荷をかけたときに、ガラガラ異音を出すエンジンは壊れる前兆です。
音が出始めてしまうと、オイルをいくら交換しても止まりません。
エンジンの故障=車の寿命と考えるのであれば、最低限エンジンのメンテナンスはきちっと行うべきです。
一番忘れがちになるのがオイルの量のチェックです。月に1回でもいいのでレベルゲージで規定量入っているか点検してください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。