車検整備をしていると、ブレーキパッドの交換には2日に1回、もしくは1日1回近くは遭遇します。
車検に限らず、ブレーキの修理ってエンジンの修理よりも重要です。
エンジンがかからなくても命にはすぐに直結しませんけど、ブレーキが効かないとすぐ人命にかかわるからです。
車検の検査では、ブレーキの制動力判定があります。
その基準を超えていれば、例えブレーキパッドが残り1mmであっても検査はパスできます。
安全かどうかは別問題で、検査をパスすることは可能です。
もちろんそれって、ただ単純に検査だけをする陸運局ならいいんですけど、指定工場や認証工場のように、自前でお客さんの車を整備している場合は許されません。
検査に通ったとしてもブレーキの残量が1mmしかなければ、酷い話明日にでもブレーキが効かなくなる可能性があるからです。
次に、ブレーキパッドだけ交換すればいいのか?
ブレーキローターも変えないといけないのか?
ここは判断が分かれるところです。
この車は、パッドとローターを交換しています。
ローターとパッドの接触面はとりあえず8割以上は確保できています。
ですが、ベンチレートの部分がかなり錆びています。
制動力は出ていても、錆びてローターが割れる危険を除去するために交換しています。
ブレーキパッドを交換すれば、部品代8000円くらいで工賃が4000円くらいだとします。
ローターを交換すれば、ローターは安いもので5500円くらいのメーカーもありますが、大体7000円くらい1枚します。交換工賃も1時間を超えるので、ローターの交換って2万円を超えてきてしまいます。
ブレーキパッドだけなら1万円弱。ローターも一緒にやると3万円オーバー。
ここの判断がなかなか微妙になります。多分しっかりした整備士だったら即交換という判定を出すからです。
しかし、お金を出すのはお客さんです。次の点検や車検まで使えるのならローターはそのままにしておいてほしいという人もいます。
なので、整備士にもフロントマンにも伝えていますけど、最終的にはお客さん判断に委ねることが大事だなと。
整備士のエゴを押し付けてもダメだし、かといって超危険なものは絶対にやっておかないとダメだし。
ローターって、Aという整備士はまだ大丈夫だというし、Bという整備士は交換!というケースが多々あります。
整備代が非常に高額になってくるので、そこはやっぱりお客さんと相談しないと良くないかなと。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。