自動車のディスクブレーキに使われているブレーキパッド。
ある程度走行してきたらすり減って交換が必要になってくる。
そういったことは分かっているけれど、
ブレーキパッドの交換費用はどの程度かかるのか?
気になるところだと思いますよね?
では順を追ってブレーキパッドの交換費用を計算してみたいと思います。
目次
ブレーキの種類について
最初にブレーキの種類ですが、大きく分けて2種類に大別されます。
ディスクブレーキとドラムブレーキです。
今の車の前輪は8割以上がディスクブレーキを採用しています。後輪にはドラムブレーキを使っている車はまだ5割程度です。高性能車になると、4輪ともディスクブレーキを採用しています。逆に大きなトラック等は4輪ドラムブレーキを採用しているのです。
この理由は、ドラムブレーキの方が強い制動力を生み出すからです。
ブレーキパッドを使っているディスクブレーキよりもドラムブレーキに使われているブレーキシューの方が接触の面積が多い。それだけでも制動力を大きくすることが容易です。
ディスクブレーキ
ブレーキパッドでブレーキローターを挟み込んで制動力を生み出します。
主に減るのがブレーキパッドです。
ドラムブレーキ
被せてあるブレーキドラムを内側からブレーキシューが広がって押さえつけることで制動力を発生させる仕組みです。
磨耗するのはブレーキシューです。
各整備作業における作業指数とは
自動車整備士の作業時間には指数表というものが存在しています。
この車両のこの整備は整備指数が1時間だ。タイミングベルト交換は4時間だとか。
ほぼ全ての国産車にはそれぞれの作業に指数が割り当てられているのです。この整備指数は日整連で決められているので、どこの工場で作業をしても同じになります。
ではブレーキパッド交換の作業時間はどの程度なのか?
整備士の時間工賃とは
ブレーキパッドの交換指数は大体多くが1時間から1.2時間程度です。
この指数に自動車整備士の時間工賃がかけ合わさると工賃が出てきます。自動車整備士の時間工賃は大体1時間6000円〜7000円程度です。
多めに見積もって時間工賃を7000円で計算すると
大体の国産車のブレーキパッド交換工賃
指数1時間×時間工賃7000円=7000円
これがブレーキパッドの交換工賃になります。これに部品代をプラスするとブレーキパッドの交換費用が算出できます。大体ブレーキパッドの部品代は軽自動車から普通車あたりは7000円〜10000円程度です。これに工賃をあてはめる
ブレーキパッドの交換費用はいくらになるか
ブレーキパッド交換費用(部品代+工賃)
ブレーキパッド部品代1万円+交換工賃7000円=17000円
これがブレーキパッドの交換費用になってきます。
ただ、これはある程度一般的な車種です。高性能なブレーキを搭載している場合は当然ブレーキパッドの値段が高くなります。
僕が整備士として交換したなかで一番高かった純正のブレーキパッドはフォレスターのSTI。純正のブレンボで、なんと部品代で50000円でした。
つまり、
ブレーキパッドの交換費用を幅を持たせて算出すると
ブレーキパッド交換費用 12000円〜60000円
とこの程度になってくるかなと考えられます。
ちなみに12ヶ月点検や車検と一緒にブレーキパッドを交換してもらうと、指数が0.5時間程度になります。これは点検時にタイヤを外すからで、一緒に作業をしてもらった方が工賃は半額程度に抑えられるということです。
ブレーキパッドの交換だけを整備工場に依頼すると、一般整備扱いになるので工賃は高くなります。
もう少しブレーキパッドのことを書くと、使い方によって寿命は大きく変わります。高速道路などで距離を走る車は走行距離の割には減りません。これは車が走っている距離が長い為だと思います。
逆に山道を走る機会の多い車はブレーキパッドの減りが早いです。
更に4輪ディスクブレーキの場合、フロントのブレーキパッドの方が減りが2倍程度早いです。高性能車でリヤブレーキも重要だと考えている車種はリヤもフロントと同じように減ります。
ですが、一般的な車はフロントブレーキの方が早く消耗するのです。
ブレーキパッドを交換しないでいるとこのようにブレーキローターを削ってしまいます。
ブレーキローターに筋のようなものがあるのがわかります。
そうなるとブレーキローターも交換しないといけなくなります。
ちなみにドラムブレーキのブレーキシューとブレーキパッドではブレーキパッドの方が減りが早いかなと感じます。
ブレーキパッドは2枚が対になって回転するブレーキローターを挟み込みますが、どちらか一方が極端に減っている場合は、ブレーキが引きずっている可能性があります。
油圧でピストンを出してブレーキパッドを押さえ付けるんですが、そのピストンが固着しているか、戻りが悪いか?はたまたブレーキキャリパーのスライドピンが固着しているか?
このような原因が考えられます。いずれにしろ、そうなったらディスクブレーキをオーバーホールしないといけません。
錆などで固着してしまったディスクブレーキ
ディスクブレーキのオーバーホールについては以前書いたこちらの記事を読んでください
以上でブレーキパッド交換費用の解説です。
ブレーキパッド交換に予約は必要か?
実際にブレーキパッド交換をしようとした時に、予約は必要かどうか?
これは必要です。
その理由として、ブレーキパッドは大まかに車種別で部品が違います。同じメーカーの車であれば、AとBという車種で同じものを使っている場合があります。
ですが、そのほとんどが在庫をしていない部品です。ブレーキパッド交換をしたいからといっていきなり整備工場に持っていっても部品がないからできないのです。自分で部品を持ち込むなら話は別ですけどね。
さらには前述しましたが、ブレーキパッド交換時にブレーキキャリパーに引きずりがあったり、ブレーキオイルが漏れ出すということも考えられます。
そうなったらブレーキパッドを交換しても無駄。ブレーキをオーバーホールしないといけません。ブレーキパッドの交換自体であれば1時間程度あれば大丈夫。オーバーホールとなると半日ほど作業時間はかかります。
緊急時であればディーラーに聞いてみましょう。ディーラーであれば該当車種を取り扱っているので部品の在庫があるかもしれません。
あとは大きなカーショップですね。オートバックスなど。ある程度在庫しているはずなのですぐに対応してくれるかもしれません。
参考:クラス別ブレーキパッド交換費用
現場で整備をしている立場からクラス別のブレーキパッド交換費用を参考までに記載しておきます。
軽自動車:14000円程度
ワゴンR・ムーブ・ライフetc
小型車(5ナンバー):16000円程度
マーチ・ヴィッツ・フィット
普通車(3ナンバー):18000円程度
クラウン・エスティマ・アテンザ
スポーツカー:50000円程度(装着されているブレーキパッドによる)
フォレスターなどSTI
外国車:30000円程度
ゴルフ・BMW・ベンツ
あくまでも目安です。さらに言うと、整備士数はブレーキパッドのみの作業だと概ね1時間前後の指数が入っています。車検や12ヶ月点検と一緒に作業をすると指数が0.4程度まで下がります。
つまり車検時に交換してしまうのが工賃を節約できるということです。
なんで工賃が変わるのかというと、車検の時はリフトアップしてタイヤを外しますよね?ここからブレーキパッドを交換するとなると、指数は0.4程度で済む。
ブレーキパッドだけを交換作業になると、車をリフトアップしてタイヤを外して、ブレーキパッドを交換して・・。
と、このように工程が増えるため工賃が割高になります。
ブレーキパッド交換を安く抑えるには
もし、ブレーキパッド交換を安くしたい!とお考えなら、こんな方法もあります。
部品と必要部品を持ち込む!
まずチョイスするブレーキパッドは純正品ではなく、準純正メーカーのものがオススメです。
トヨタならDJブランド
ホンダならHAMP
日産ならPITWORK
これらのメーカーは自動車メーカーでも推奨されてる準純正部品。それでいて価格は純正の半値くらいで手に入ります。
工賃を下げることができないなら部品代で下げるしかない!
この3つのメーカー外の車はakebonoのブレーキパッドをオススメしておきます。
akebonoブレーキは国産ブレーキメーカーです。車だけでなく新幹線やなんとF1にもブレーキパッドを供給してたことがあります。信頼性抜群。
アケボノなら各車種ラインナップされています。
あと、ブレーキパッド交換で持ち込める部品としてはブレーキクリーナーです。
ブレーキパッド交換の明細をみると、ブレーキパーツクリーナーで請求されることがあります。これが高い。1000円くらいで売りつけられるケースもありますが、自分で買えば300円以下で買うことができます。
ブレーキパッドとブレーキクリーナーを持ち込んで交換してもらう。そして交換作業をしてもらうのは、一般整備ではダメです。
オーダーでブレーキパッドだけを交換してもらうと、作業指数が1時間くらいで計算されます。車検時にブレーキパッドを交換すると、0.4時間くらいに指数がさがります。
なんでかというと、車検の作業の時って必ずタイヤを外すから。その工程の中にブレーキパッド交換を組み込んでもらう。すると工賃は3000円程度で交換してもらえるのです。
ブレーキパッド代金は半値以下のブランド品を持ち込む。。工賃は安い車検か12ヶ月の法定点検の時を狙う。ブレーキパーツクリーナーも持ち込む。
ここまでやれば完璧です!これより安くしたいのなら自分で交換するっきゃありません!
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。