今の世の中みたいに、とりあえず車検に通れば必要な整備は後日に行うという
「後日整備」
が当たり前になってくると、メーカー指定の整備に関してもおろそかになりがちになります。その代表的なものがブレーキの分解整備。
車検で検査するのは制動力の判定です。それさえ基準値をクリアできれば、たとえブレーキパッドの残量が1mmであっても問題ないのです。
ブレーキの残量ですらこんな感じなので、メーカー指定のオーバーホールをきちんと行っている車両の方が珍しくなってきています。
ブレーキのオーバーホールっていうのは、それぞれのゴム部品を交換する作業。
ブレーキマスターシリンダーのオーバーホール
ブレーキキャリパーのオーバーホール
ブレーキホイールシリンダーのオーバーホール
などなど。ブレーキはゴム部品で油圧を保持しているので、定期的にゴムのシールキットを交換してくださいというものです。
この交換を怠ると、ブレーキの引きずりやらブレーキフルード漏れなどが起きてきます。
ブレーキはパッドやシューをローターやドラムに押さえつけて制動力をえています。自転車のブレーキも同じ仕組みですよね。
自転車のブレーキはブレーキペダルを握ると、ホイールの部分にゴムのパッドが押さえつき制動力をえています。
このブレーキですが、ブレーキフルードが漏れると油圧が保持出来なくなって、ブレーキが効かなくなります。もう一つ怖いのが引きずりというもの。
ブレーキを長期間使わなかった場合や、ダストブーツが破れて内部が錆びついたりすると、スムーズに動くブレーキが動かなくなり引きずりを起こします。
ブレーキが引きずると常にブレーキをかけている状態になり、発熱して車両火災に繋がります。
ブレーキフルードが漏れているなら、お客さんはすんなりオーバーホールを受け入れてくれるんですが、引きずりってなかなか信じてもらえない。
今まで普通に乗っていたのに・・。としぶしぶオーバーホールを了承してもらうことが多いです。
ブレーキの引きずりはどのように点検するのかというと、
タイヤ交換時にでも点検できます。それは車両を持ち上げて、タイヤが浮いたら手でタイヤを回してみる。
スムーズに手でタイヤが回れば大丈夫。左右でタイヤを回す力に大きな差を感じたら、引きずっている可能性があります。
タイヤを回すと言っても、リヤブレーキならサイドブレーキをかけない状態で行わないといけませんし、オートマでPレンジに入れていると機械的にロックがかかって回りにくくなる。
ブレーキが引きずってれば少しもタイヤは回りません。
シフトロックがかかったとしたら、15度くらいは前後にタイヤが回ります。少しでもタイヤが回ればまあ大丈夫です。
タイヤ交換時に車両をジャッキアップしたら、タイヤを外す前に手で回してみてくだい。違和感を感じたらプロに点検してもらうのがいいと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。