MHO ENGINEERING

エンジンからガラガラと異音がしているダイハツのブーンが入庫してきました。原因を書くと、実に1年半、27500kmもエンジンオイル交換をされていなかったんです。

ブーンのエンジン異音はどうすれば止まるのか？エンジンの状態はどうなのか？

順番に見ていきましょう。

ブーンに搭載されているエンジンは1KRというエンジンです。明らかなエンジンガラガラ音で、真っ先に疑うべきなのはオイルの状態です。

最後にオイル交換をした記録が1年半前。走行距離にしてなんと27500kmです。オーナーはとりあえず半年後の車検まで乗れればあとは考えるという意向。

お金をあまりかけないで、症状改善に挑みます。

レベルゲージを抜いてみるとこの状態。

茶色に焼けています。当然のことながらレベルゲージにオイルは付着していません。エンジンを外見から確認すると、漏れている箇所はなさそうです。

オイルフィラーキャップを開けてみると、中は真っ黒になっているのがわかります。スラッジも堆積している感じですね。

とりあえずオイルを抜いてみます。

出てきたのは1リットル弱です。金色っぽい鉄粉が混じっています。この鉄粉、メタルの粉だと思います。何度か遭遇したことがありますが、エンジンブローが間近なエンジンって、オイルを排出するとこんなオイルが出てくることが多い。

これはマズイです。

2回に分けてフラッシングオイルをやってみる

急なフラッシングをすると、エンジン内部の油路が詰まってしまう可能性があります。まずは普通の鉱物油を入れてしばらくエンジンをかけておく。

オイルが規定量入ったことで、異音は少しだけ小さくなった印象です。

オイルフィルターはのちに交換するので、まずは普通のオイルでフラッシングをします。エンジンを1時間程度アイドリングさせてゆっくりとフラッシングさせます。いきなりエンジンをふかすと、やはり負担がかかってとどめを刺しかねないです。

最初のフラッシング。すでにオイルが真っ黒です。ここから本当のフラッシングオイルを投入します。

使うのはワコーズのフラッシングオイルです。

遅効性のものがエンジンには優しいですが、お客さんは早くに白黒をつけたいという。

赤い色をしています。フラッシングオイルはオイルの洗浄性能に特化したオイルです。

十分な時間エンジンをかけてフラッシングしたら、オイルを排出してオイルフィルターも交換します。

ここまで真っ黒なオイルフィルターも久しぶりに見ました。

真っ黒すぎです。

オイルフィルターのハウジング内も真っ黒です。できる限り洗浄を施します。

フィルターのケースですが、ヘドロのようなスラッジが堆積しています。こちらもパーツクリーナーで徹底的にきれいにします。

新品のフィルターを装着します。

そして新油を注ぐ。

2回のフラッシングでエンジンの異音はどうなった？

本当ならオイルパンを外して、ストレーナーも奇麗にしたかった。でもオーナーはそこまでお金がかかるなら、すぐに代替えも検討するというわけでフラッシングをしてどの程度回復するかが今回のポイントになります。

スロットルバルブもすごい状態です。タールのようになっていて、ぺたぺたバルブとスロットルの壁がくっついてしまう。

アクセルを踏もうとすると最初に固着しているからペダルフィーリングが変です。

よくもまあこんな状態で乗っていたものだなと思いました。とりあえずスロットルも奇麗に清掃を施しました。

各部を奇麗に清掃して最低限のメンテナンスで最大限の効果を目指しました。結果どうなったかというと、見事に異音が気にならないレベルまで落ち着きました。

ガラガラ音がしていたので、メタルの打音というよりはタイミングチェーンの音っぽかったのが助かった。油圧がある程度正常化されたことで、異音は解消されました。

オイル下がりやオイル上がりを起こしているからか、マフラーからは白煙が多くでています。それでも排気ガスは基準値内に収まっているし、この状態なら車検もパスできそうです。

とりあえず次のオイル交換は1000kmくらいで一度フィルター含めて交換させてほしいことを伝えて納車しました。

1年半、27500km放置していたエンジン。よくぞ焼き付かないで持ってくれたものだと思います。途中1回でもオイル交換していれば随分と状況は変わっていたんだろうなと。

やはりオイル交換は最低でもメーカー指定のタイミングで行ってほしいです。メーカー指定タイミングだと長すぎる印象があるほどです。

欲を言うと半年に1回オイル交換をしていれば、めったなことは起きないかなと。