昔も書いたことがあったのですが、ファンベルトの交換時期について改めて書いてみたいと思います。
現在ファンベルトと呼ばれて交換されている補機駆動ベルトですが、主に3種類あります。
・Vベルト
・Vリブドベルト
・ストレッチベルト
ちょっと呼び名がちがったりする物もありますが、主にこの3つです。
Vベルトは本当に昔の車に使われているV型のベルト。
そして主流なのがVリブドベルト。
このように溝が多数刻まれて表面積を稼いでいるベルトです。
4PKとか5PKとか溝の数で呼び名が変わってきます。
最後にストレッチベルトです。これはベルトの張り調整が一切いらないベルトです。取り付けるときには治具を必要な場合がありますが。
ストレッチベルトの利点は補機類のベアリングを保護するという面ですね。整備ミスでベルトの張りすぎ等によるベアリング類破損は未だに後を立ちません。
そういうリスクをなくすためにもストレッチベルトをメーカーが採用してきたのかもしれませんね。
そして本題に移ります。
ベルトの交換時期が変わってきたという点。そして磨耗の仕方も変わってきています。
目次
ベルトの磨耗の仕方が変わってきた
左が新品で右が劣化した部品です。
従来のVリブドベルトは右の写真のようにベルトの溝に対して直角に細かい傷が入ってきたんです。
なので、ベルトにある程度の傷が入ってきたら交換をお客さんに推奨してきました。
あとはゴムの鮮度ですね。硬くなってきたベルトもいきなり切れる可能性があるので交換を促してきたんです。
ただ、これは従来のCRゴムと呼ばれる素材で作られていたベルトなんです。
EPDMゴムを使ったベルトは亀裂が入らない
初めて知ったんですが、現在のベルトって素材がEPDMゴムを使っているらしいんです。
このゴムの特徴はベルトに従来のひび割れが発生しにくいということ。
つまり従来通りの目視点検では寿命を察知できません。
その代わりEPDMゴム製のベルトはどんどんと先っぽが尖ってきます。
ベルトの先が尖ってきて最終的に縦に裂けるといった特徴をもっています。
実は僕はこのケースを2回ほど見かけました。
ベルトに粉がかなり付着していて、プーリーが怪しいのかと思っていたんです。
ですが、どうやらベルトの素材によるところだったのかもしれませんね。
やはり縦に避けてしまった。だけど横にひび割れは入っていないんです。ベルトの寿命というよりは異物でも噛んだのか?
って今までの整備士だと勘違いしちゃうかもしれません。
ベルトは35000kmごとに交換を
それではEPDMゴムのベルトはどのくらいで交換をするのがいいのか?
というと、整備振興会で教えてもらったんですが35000kmをめどに交換してくれという。
今までのVリブドベルトにしては早めの交換サイクルかもしれませんね。
でもこの35000kmを守れば怖くないわけです。
なんでゴムの素材を変えたのかというと環境問題に配慮したということらしですよ。
そんなわけで現在主流のVリブドベルトの交換時期は35000km。そして磨耗は横に亀裂は入りません。縦に裂けてしまいます。
注意して整備してくださいね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
ええー、知らなかったー。
目からウロコ・・・。
自分は本職の整備士ではなく、DIYレベルの素人なので、今まで亀裂を基準に判断していましたよー・・・。
実は何回か遭遇したことがあるんです。横に亀裂が入らないのに、ベルトが縦に寸断されている・・。何か噛み込んだのか?と思ったらベルトの素材が変わっていたとのことでしたね