整備士泣かせの異音修理の中にベルト鳴きがあります。
夜にライトを点灯した時にキュルキュル。暑いからエアコンを入れたときにキュルキュル。ハンドルを切ったときにキュルキュル。
エンジンを始動した時にキュルキュル。整備士にとってブレーキ鳴きとベルト鳴きの修理はなかなか厄介です。ベルト鳴きはどのようにすれば止まるのか?
ベルト鳴きが発生した場合、一番最初に試したいのが張り調整です。ベルトの張りが適切でないと鳴きが発生します。
どちらかというと、ベルトの張りが緩いとベルト鳴きが発生します。
しかしベルトの張り調整が効果的なのは、新品ベルトに交換して間もなくベルト鳴きが発生した時です。新品のベルトは初期に若干の伸びは発生します。ちゃんと調整したつもりでも、伸びてスリップする。
これを再調整するのが目的です。長らく使ってきたベルトの張りを再調整しても鳴きが止まらないことがほとんどです。理由はベルト自体が硬化しているからです。
次にベルトを交換しないと駄目な場合。ベルトを交換しないといけないのは、ある程度の期間使いこんだベルトです。
ベルトを使いこんでくると、ベルト自体の溝がすり減っている。そしてベルトが硬化してくる。こうなったらベルトは交換しないと駄目。
ベルトが硬くなると弾力性にかけるので鳴きが発生しやすい。溝が減ってくるとプーリーとの密着度がよくなくて鳴きが発生します。
走行距離4万キロ前後、4年くらいをめどに交換をお勧めします。もうちょっと早くてもいいと思います。
今の車、ファンベルトは1本ですべての補機類を駆動しているものが多いです。サーペインタイン方式といいます。この手のファンベルトはオートテンショナというものを使って張りを自動調節しています。
オートテンショナの中にはシリコンオイルが封入されていて、常に最適な張りに自動的に調節を繰り返します。
しかしこのオートテンショナがへたってくると、規定の張りをベルトに与えられなくなり鳴きが発生します。ファンベルトオートテンショナは部品もそこそこ高額です。交換は2万円をこえる車種もザラです。
オートテンショナが壊れると、ベルトを新品に交換してもだめです。オートテンショナを交換しないと治りません。
最後にあれこれ試しても治らない場合の原因は?
それはベルトを回しているプーリーに問題がある場合です。どれだけベルトを新品にしてもテンショナを交換してもだめ。
では原因はどこにあるのか?
実はベルトを回してるプーリーも走行距離がかさんでくると削れてきます。ベルトのほうが材質が柔らかいんですが、長く使ってくると金属製のプーリーも減ってくるのです。
プーリーの溝が減ってくると、ベルトを交換してもすぐにベルト鳴きが発生します。まずはクランクシャフトプーリーを交換して、そこから各プーリーを交換していく順番がいいと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。