DIYでバッテリーを交換できる人は車の知識が豊富な人。おそらくバッテリーを脱着することによる弊害などもイメージできてると思います。
車からバッテリーを外すと何が起こるか?
これは各種設定がリセットされてしまうこと。
整備の現場であるあるバッテリー交換後のクレームのベスト3は以下です。
1、時計やラジオがあっていない
2、パワーウインドウのオートが効かない
3、バックカメラが映らない
1と2については、ほとんどの整備士が再設定をするんですが3については忘れてしまう人が結構多いんです。バックカメラが付いているというイメージができてないからですね。
僕はバッテリーを交換する時は、できるかぎりバックアップ電源を用意します。それが無理な状況下では、バックカメラなどの有無を必ず確認しておくようにしています。
バッテリー交換時のバックアップ電源はシガーソケットから給電するタイプが多いです。
バッテリー交換で一番警戒しないといけないのがダイアグノーシスも消えてしまうこと。経験上、バッテリー交換にある一定以上時間がかかってしまうとエンジンチェックランプのダイアグコードも全て消えてしまいます。
中には古いバッテリー端子を外してすぐに新しいバッテリーを接続すると、内部のコンデンサなどの影響があるのかラジオのチューニングすら消えない車もあります。しかし一定時間以上時間をかけてしまうと消えてしまう。
この辺りが車によって制限時間?が違ってきます。リセットされない車はなかなかリセットされない。
ラジオを合わせようとしたら時計が狂ってない。しかもチューニングもあっている。さらにはパワーウインドウもOK。ラッキーって具合です。なので基本的にバッテリー交換作業は時間が勝負になります。
新品のバッテリーを開封してスタンバイしておくこと。端子を外す前にステーなどを外しておくなどすると、電気がゼロになる時間が短くなるのでお勧め。
初期のダイハツ車でアイドリングストップを搭載している車で、エコアイドル警告灯が点灯しちゃった場合バッテリーの劣化がほとんどなんです。これを専用の診断機でメモリクリアができる車種もあれば、年式によっては無理なモデルもあるんです。
診断機でメモリをクリアできない場合、やはりバッテリーを外して一定時間放置しないとだめな年式があります。
バッテリーっていうのは、ダイアグコードなども消去させてしまうので交換には注意が必要です。
バッテリー交換でもう一つ厄介なのが高級車の各種シート設定です。こればかりはオーナーに再調整してもらう必要が出てくるので、やはりバックアップをとって作業したほうが確実です。
超究極の方法は、エンジンをかけながらバッテリーを交換する技。これは皆さんには絶対お勧めしません。が、僕はこの技を頻繁に使います。当然マイカーやら家族の車、会社のサービスカーやら超緊急時などだけです。
エンジンをかけたままバッテリーを交換するとどうなるか?
オルタネーターが発電をしてくれるので、メモリがリセットされない利点がありますが、作業をミスると一瞬でショートする恐ろしい技です。
一番のポイントはプラスのターミナルを外す手順です。軍手をしながらの作業がポイントになります。エンジンがかかっているとはいえ、マイナス端子を先に外してステーも先に外します。
あとはプラス端子だけという状態になったら、左手でしっかりとプラス端子を抑えて右手でネジを緩めてバッテリーから外す。そのまま左手にしている軍手をプラス端子にかぶせてしまうのです。こうすると、頼りないけど若干の絶縁になるのでその間にすぐに新品バッテリーを載せて端子を繋いでしまう。
端子を繋いだらエンジンを切ってゆっくりとステーなどを接続すると。
緊急時だけに使う技。左手の軍手をプラス端子にかぶせる。ただこの裏技にはメリットがあって、オルタネーターがきちんと発電しているかの点検もできちゃう。バッテリーが外れてるけど、エンジンがきちんとかかってるとなればオルタネーターはとりあえず動いている。
たまにあるんです。バッテリーが上がった車を出張で交換してきた。はい終わり。って帰ってきてしまう整備士が。僕はサーキットテスタを必ず持参していきます。
なぜならバッテリーを交換した後、テストにエンジンをかけてきちんとオルタネーターが発電しているかどうかも確認する。昔これで痛い目にあったことがある。
バッテリーを交換して帰ってきたら、翌朝またかからないというクレームです。行ってみたらオルタネーターが壊れたのが原因でバッテリーが上がっていたんです。バッテリーが悪いわけじゃなくてオルタネーターが悪かったのに交換しちゃった。この苦い経験をしてから必ずバッテリー交換時にはオルタネーターを点検して帰る癖をつけている。
最初に遭遇した時にびっくりしたのがアクティ・バモス・ホビオのバッテリー。
ボンネットを開けて、なんとウォッシャータンクを外さないと見えてこない・・。しかも結構奥まったところにあるので非常に作業しにくい。
こちらはBMWミニ。カウルトップベンチレーターの奥にバッテリーがあります。VWのパサートなどもこの辺りにでっかいのがあります。
そしてプリウスのバッテリー交換。30プリウスで???となりました。
まず30プリウスのバッテリーってトランクルームの右端。いつもなら車載工具が入ってそうなスペースに取り付いています。
プリウスって、リヤのハッチを開けるためのロックがワイヤー式じゃない・・。電動のスイッチなんです。トランクを開けるためにまずはブースターケーブルを繋いで、エンジンルームのジャンピングスポットで給電。
そして12Vを給電した状態でハッチを開ける。ようやくここからバッテリー交換スタートという。
プリウスでバッテリーがあがっちゃったと言われたら、ブースターケーブルを持っていかないとひどい目にあってしまいますから要注意。
バッテリーあれこれでした。これから寒い冬がやってくるので3年経過したバッテリーは様子を見て交換に踏み切ってしまうのが安心です。
毎日長距離乗ってる人は、バッテリー液の減りも確認しておいてください。長距離をのるとバッテリー液が結構減りますからね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。