Categories: 駆動系

バラバラになったクラッチ

マニュアル車であれば、クラッチ機構が備え付けられています。教習所でも、マニュアルの免許かオートマの免許かで選択しましたよね?

マニュアル車のクラッチというのは、エンジンの動力をミッションに伝えるために動力をつないだり切り離したりするのがクラッチです。通常クラッチはクラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリングの3点で構成されています。

エンジンとミッションの動力をつなげているのがクラッチディスクと呼ばれる部品で、ある程度走行したらすり減ってくるのでクラッチを交換しないといけません。通称でクラッチオーバーホールと呼ばれる作業です。

ただ、クラッチというのは運転がうまい人であれば走行10万キロを超えても全く滑らなく、長く使うことができます。だいたい10万キロくらいで大半のマニュアル車はクラッチのオーバーホール時期を迎えます。

この上の写真は、クラッチが滑り出したので分解して交換したものです。きれいにすり減っているのがわかります。普通に使ってクラッチが滑ったものであればこんな感じで摩耗しています。

続いてがこちらの画像。これは走行20万キロを超えてもまだまだクラッチが滑っていない運転が上手な人の車から外したクラッチです。クラッチをオーバーホールした理由は、クラッチが切れなくなったため。クラッチペダルを踏んで、切り離そうとしてもまったくクラッチが切れない状態でした。分解して確認したら写真のようにクラッチディスクのダンパースプリングが外れてしまっていた。

ここまでは、運転には何の問題もなく経年劣化や消耗でクラッチをオーバーホールしたものです。

続いて紹介するのは運転に問題があってクラッチがだめになった衝撃画像です。

まずはこちらから

いきなり最強の衝撃画像ですが、10年以上自動車整備士をやっていて、後にも先にもこんなひどい状態になってしまったクラッチは初めてでした。クラッチディスクは見る影もなく、クラッチカバーまで割れてしまっています。エンジンをかけたらすごい音がしたんです。

「ガラガラガラガラ」

といったヤバい音。もうエンジンなのかミッションなのか何がいけないのかさっぱりわからないほどのガラガラ音。ただクラッチが全くつながらなかったので、ミッションを取り外して点検してみたら図のようになっていました。

オーナーはクラッチを滑らせる常習者ではないんですが、ぬかるみに入って無理矢理がちゃがちゃやっていたらこうなってしまったと言っています。

クラッチディスクと接触するエンジン側のフライホイールもヒビが走っていたので交換しました。ミッションが無事だったのが幸いでした。

最後にこのクラッチです。クラッチディスクのディスク面がまったくなくなるほど摩耗してしまっています。先ほどのクラッチ画像よりはおとなしめなんですが、何が強力かというと走行距離。新車からまだ1000kmも走っていない状態でここまで滑らせてしまったんです。オーナーは耳の遠いお年寄りです。クラッチ操作というのはやはり聴覚と体感に頼ることが大きいんですが、耳が遠くなってくると、エンジン回転がどうしても高めになってしまいます。

耳が遠いため、アクセルをかなりあおっていてもエンジン回転が小さく聞こえる。高回転でクラッチをつないでいくものですから10万キロ以上もつクラッチディスクが1000km弱ですり減ってしまうというのです。特に車を新車にして、今までとクラッチの遊び感覚がずれてしまっていると陥りやすいです。恐ろしいことに僕が整備士をやっている中で、最短で走行距離60kmでクラッチを滑らせてしまってお年寄りがいます。こういったオーナーたちはやはりオートマには乗ったことがなく、頑にマニュアルを選んできたので今更オートマ車なんか覚えられないと言います。仕方なくマニュアルを選ぶとクラッチを滑らせてしまう。

ある程度若いうちにマニュアルでもオートまでも車を不自由なく操作ができるように覚えておいた方が得策だと僕は思います。

というわけで、本日は驚愕なクラッチ画像を紹介しました。

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