今日はAT車においての話をします。ちょっと重要で、これらの操作を身に着けてほしいなと思います。
ここで結論を先に書いておきます。
AT車でサイドブレーキをかけるタイミングについて。
車をブレーキさせて停車→(ブレーキを踏んだまま)サイドブレーキを引く→シフトをPレンジにする
続いて発進時のタイミング
エンジンを始動→ブレーキペダルを踏み、シフトをDレンジにする→サイドブレーキを解除する
このように操作するのが望ましいです
まずはこの記事を書こうと思ったとある出張修理の話から。
お客さんから
「ギヤが全く入らなくなった!すぐにきて!」
というものでした。
このお客さんが乗っている車はトヨタのファンカーゴで、AT車でした。AT車でギヤが入らない原因は一体何か?
・ブレーキペダルを踏んでいない
・キーをONにしていない
主にこの2つです。中にはシフトワイヤーの不具合やリンケージなども考えられますが、昨日まで動いていたギヤが動かないというのは何か不具合が起きている可能性があります。
話を聞いてみたら、キーは動くしエンジンもかかる。
でもギヤが固くて動かないという。とりあえず出張に行くことにしました。
出張に行ってみたら、やけに勾配の急な場所に車が停車されていました。
症状を確認すると、エンジンはかかる。ブレーキペダルを踏んで、シフトレバーを動かそうとすると、確かに固い・・。
Pレンジから他のギヤへ入れようとしても普通の力じゃ動かない・・これは・・・。
頭の中を整理して一つずつ検証。
エンジンはかかる。つまりキーシリンダーからのシフトにつながるロックは解除されている。ブレーキペダルを踏んでみると、ワイヤーロックが外れる感触はある。
では何故レバーが動かないのか?
ここで、一度エンジンを切って、エンジンをかけないでキーをONの位置にもっていき、思い切りシフトレバーを動かしてみた。
すると
ガキンッ!
という音と共に、シフトレバーが動くようになりました。
一体何が原因でシフトレバーが動かなかったのか?
ちなみにこれは故障でも何でもないんです。AT車に乗ってる人で、サイドブレーキをちゃんとかけている人いますか?この人は正解。
ATって、Pレンジに入れるとカチャっとロックがかかりますよね?これは、AT車のパーキング機構です。Pレンジに入れると、パーキングロックボールというものがロッド背面から押されて、歯車にかみ合って機械的にロックさせています。
これだけで車が動かないかというと、そうではないわけです。
4輪のタイヤはフリーの状態になっていて、ミッション内部の小さなギヤ1つだけでロックしている状態です。ブレーキがかかっている状態とはまったく違います。
ここからが本題です。坂道でPレンジに車を入れてみるとわかります。
パーキングロックがかかる少しの距離、車が下がります。パーキングロックボールが機械的にロックするまでの間、動いてしまうわけですね。
問題なのは、この状態で車を保持してるのは小さなギヤだけだということ。ここに車の荷重がかかっていると言っても過言ではありません。
坂道でPレンジの機械式ロックで車を止めていると、車の重さがかかっているために解除するのが大変なんです。
イメージしてみてください。平らな場所で歯車を解除する場合。
坂道で、歯車にその物体の重さがかかっている状態(抵抗がかかっている状態で)歯車を解除する場合。
明らかに後者のほうが解除は大変ですよね?
出張行った車はサイドブレーキもかかっていました。だけど、こんな状態でシフトが動かなかった。原因はなんでか?
ここで結論をもう一度書いておきます。
AT車でサイドブレーキをかけるタイミングについて。
車をブレーキさせて停車→サイドブレーキを引く→シフトをPレンジにする
続いて発進時のタイミング
エンジンを始動→ブレーキペダルを踏み、シフトをDレンジにする→サイドブレーキを解除する
この手順で操作すると、ATのパーキング機構を負荷がかからないポイントでかけたり解除することができます。
AT車のサイドブレーキには操作のタイミングがあるし、やはり必ずサイドブレーキを引くべきです。(スキー場など凍結する平らな場所を除く)
AT車でほとんどサイドブレーキを使わないでいると、サイドブレーキワイヤーが固着して動かなくなる車があります。
サイドブレーキで問題を抱えているのはAT車が多いのは、普段使わないから固着しているためという理由が多いです。
お客さんには目の前で動作を再現してあげました。
坂道でPレンジに入れる→パーキングロックがかかってから車が下がる→次にシフトを操作しようとすると、車の重さがミッション内部にかかるため操作が非常に固くなる。
これを防ぐにはPレンジに入れる前にサイドブレーキをかける。すると車が下がらなくなるので、ミッションに負担がかからいでパーキングロックをかけられる。
仕組みを知っているとなんてことないですが、これは教習所では教えてもらえないことなので、覚えておいて損はないと思いますよ。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。